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XTC→マイルス→山本精一→メルドー→キース→ECM

京都でたまたま見つけた山本精一さんの『ギンガ』という本を買って大分衝撃を受けたのは随分と前ですが、人の行き来が制限されたころ、今思えばXTCを久しぶりに聴いて、アンディのインタビューを読み、エレクトリック・マイルス時代の聴いたことのないアルバムを聴く日々の中、少し間が空いて、しばらくして度々自分の中に来る『Crown of Fuzzy Groove(山本精一)』のブームが来て、『PLAYGROUND(山本精一)』を聴き、『ギンガ』を思い出し、それから山本精一さんが書いたものが他にないか気になり、いろいろと調べ始めました。

兼好法師について書かれたものは独特でとても面白かったですが、最近の自分にとってのキース・ジャレットやECMに繋がっていく流れは、山本さんの文章を載せた雑誌『文學界』の「JAZZ×文学特集」にありました。

最近ピアノ・エレベ・ドラムのトリオ『warp jam』を始めたのは、ジャズきっかけではなくXTCやリゲティのピアノ協奏曲、そして山本精一さんの音楽がきっかけなのですが(ちなみに自分の持っている山本さんのアルバムからはピアノは聴こえてはこないのですが)、その『文學界』で山下洋輔さんと菊池成孔さんの対談を読んで、幸い聴きにいくことができた日比谷公会堂での結成40周年記念ライブ(ダブル・レインボウ)での『ミナのセカンド・テーマ』を思い出し、同じく雑誌で紹介されていた坂田明さんの本を買って読んだりしていました。

この『文學界』で何人かの方が名前を出していたのが、ブラッド・メルドーでした。メルドーさんのアルバムは昔『Largo』というアルバムを持っていたのですが、その頃は多分自分の好きなものが違ったのか、あまり聴かなかったのですが、トリオを始めたこともあり、自分が持っていなかったものを聴き始めたのですが、『Highway Rider』が思いのほか良かったので、トリオの『Where Do You Start?』を聴き、これが結構お気に入りでした。THE ART OF THE TRIOでのレディオ・ヘッドのカバーはようやく最近聴きました。エレクトロニックなアルバムからクラシカルなものと幅広いですよね。今年に出たピアノ・ソロも良かったです。
2007年のキース・ジャレットのインタビューではキースさんはメルドーさんに対して割とウーン…、という感じの印象を自分は持ちましたが、ソロのボウイのカバー『Life On Mars?』なんて本当初めて聴いた時は正直感動しました。
キースさんがスタンダーズで自分の思い入れのある歌をピアノで歌うということをしていますが、たぶんこのボウイの曲もメルドーさん相当好きだからあれだけ歌えたんじゃないかな、と思っているのですが。まあ、『Life On Mars?』の最後のサビのところとか、ちょっとうますぎるよな、これ、と思わなくもないですが(笑)まあ、それだけすごい音楽家なんだと思います。

『文學界』ではECMのことも話題に出ていて、また『フェイシング・ユー』という短編をピアニストの山中千尋さんが書かれていたこともあり、自分の中でキースさんに繋がっていきます。しばらくして、この夏本格的にキースさんフィーバーということに自分の中でなっていました(笑)正確には6月23日の『warp jam』のワンマンライブの後ですね。その前にトリオでのリハでスティーリー・ダンの『ガウチョ』の「バビロン・シスターズ」でのパーディ・シャッフルの話題が出たので、それでいろいろと検索していたのだったと思いますが、そこでたまたま収録曲「ガウチョ」が、1974年にキースさんが作曲した「Long As You Know You're Living Yours」に似ているということで裁判があったことを知りました。今ではクレジットにキースさんの名前も入っているようですが。昔からよく知っていた好きな曲ですが、この話は全く知らず、友達も自分のLPには書かれていないし知らないと言ってたので、CDになってからなんですかね(ちなみに自分の持っているCDは調べていません^^;)。
そんなこんなで、キースさんのソロやスタンダーズは聴いたことがあってもヨーロピアン・カルテットは聴いたことがなかったので、「Long As You Know You're Living Yours」が収録されているアルバム『Belonging』を聴きました。どう思ったかはご想像にお任せいたします(笑)

興味が行くと本を探す癖があるので、いつもと同じように検索したら出てきたのが、『キース・ジャレット : 音楽のすべてを語る』です。この本は本当に面白かったです。読み進めるのが勿体無くて、ゆっくり読みました。途中に挿入される他のアーティストや思想家の言葉も良かったです。編訳の山下邦彦さんはたぶん昔、坂本龍一さんの本を作られたと思うのですが、こちらはチラッとしか読んだことはなく、それほど内容は知らないのですが、それよりも前に作られたのがこの本です。
自分が読んだ感想としては、今の自分だから面白く読めたのかもしれない、と思いますが、なぜキース・ジャレットの演奏が、押し付けがましいものではなく静かに、しかし確かに心に響くのかが少しだけかもしれませんが知ることができたように思います。そして、言葉にならない確かなものというものがあるんだな、ということをこの本を通して自分の中で再認識されたというか、確信したように思います。大きな意味で、いろいろと得ることがありました。
ちなみにこの本をキースさん側の視点で再編集した『インナービューズ』も後日買ってしまいました(笑)

今は先日ECMのカタログ本を手にして、カンパニー社から出ている『ECMの真実』という本を読んでいまして、この流れもちょっと落ち着いたかな、というところです。
未聴のECMのアルバムは膨大ですが(笑)


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