見出し画像

山梨一泊車中泊ツアー

3/31(日)の17時過ぎ頃にわが家の中古小型キャンピングカー、ピクニック・ゲリラ号でかみさんと出発した。静岡市内で給油してからR52に入り、北上して19時過ぎに道の駅なんぶに到達して休憩。

道の駅なんぶからは中部横断道の無料区間に入り、無料区間の終わる六郷でまた一般道に戻る。途中2軒ほどコンビニに立ち寄って必要な物の買い物をする。2軒目のコンビニでは「信州山賊焼き」というなんだか物々しい名前の弁当を二つ買って、夕食とする。すでに20時を回っている。

市川三郷町に入ると、市川大門駅の比較的そばにあるドラッグストアにも寄り、コンビニで買い切れなかった食材を入手。日曜の夜とあって、道路も店内もガラガラだ。市街地の外れなので、回りにはけっこう家も多いのに、静岡市あたりと全然違う。やたらと物静かである。

ここからものの5分ほどで、本日の車中泊予定地である身延線の某駅に到達。温度計で分かってはいたが、外に出て見るとかなり暖かい。静岡市よりは温度計の数値で5℃くらい低いはずだが、それでも寒くないので、これは寝やすそうだとほっとする。

キャンピングカーの中でレイルファン行動。ローカル線の駅は通過する特急もごく限られているので、まったく静かなのであった。

駅前には桜の老木が一本あり、これが三分咲きぐらいになっていた。日曜の夜とあって、ときおり発着する電車の乗降客もほとんどいない。ここで車中泊をしても誰の迷惑にもならないので安心する。まあ今回この駅で泊まるのは2回目ということでもあるし。

車中泊の条件としては、人の迷惑にならない場所であることはもちろんだが、別の条件として夜間も使えるトイレがあることだ。飲み水等はペットボトルの2ℓ入りを持参すればいいので、あまり気にしなくてもいい。

夜間停泊中はサブバッテリーからの電源供給で車内灯とは別のLEDライトを点灯させておく。コンポーネントの電源スイッチを入れると、バッテリー電圧が表示され、13.0Vとなっているのでまずまずである。就寝時にはもちろん電源を切る。

フロントウインドウと運転席、助手席のサイドウインドウに断熱カバーを装着し、ほかの窓にはカーテンを引いて就寝準備はほぼ完了。寒い季節には、リヤウインドウなどにも断熱カバーを付けるのだが、きょうは暖かいので無くてもよしとした。

いよいよ寝るときには、かみさんは2階の寝台で、私は1階の2列目3列目シートを就寝モードにして寝袋の中に入る。以前には二人とも2階の寝台で寝ていたが、そうするとどうにも狭いので、夜中にトイレに起きるときに相当に体をよじらなくてはならず、大変なのだ。

駅前といっても、通りがかる車は20分に1台程度しかない。静かなものである。そのうちに寝入ってしまった。寒くない。もちろん寝袋は冬用のものを使っている。

明け方にトイレに起きる。二人してトイレに行く。隣に止まっている車は終電のあともドライバーが戻って来なかった。泊まりで出掛けているのであろう。

じきに目が覚めてしまった。しばらくもぞもぞしているうちに、始発の時間になる。甲府行きが入線してきた。

甲府行きの始発電車をピクニック・ゲリラ号の車内から撮る。

やがて三々五々乗降客がこの無人駅を通り過ぎるようになり、きょうが月曜の朝であることをあらためて思い起こす。とはいっても、乗降客は数名程度なんだけどね。

日が出てきたので、こちらも起床モードとなり、カーテンを開け、断熱カバーを外す。外したカバーは丸めて縛っておく。これがけっこう面倒なんだが、小型キャンピングカーなので致し方ない。

そのうちに腹が減ってきたので、まずは車内で湯を沸かす。酸欠にならないように、天井の換気扇カバーを開け、寝台の窓、1階の窓を開けておく。

朝食はカレーメシ。アルファ米を使ったインスタント食品はこれまでもあったが、5分で食べられるようになったのは画期的でもある。旨かった。

駅の北側にあった桜の老木も懸命に花を咲かせている。その様子がなんだか切ない。駅の南側の土手には、かつて桜の大木が何本かあり、身延線撮影の名所にもなっていたが、今は切り倒されてしまった。

そんなこんなで時刻は早くも9時になり、車内を移動できるような状態にして、駅の南側にある歌舞伎文化公園に移動する。

公園では桜がかなり咲いていた。五分咲き以上だったように思う。月曜だというのに駐車場の混み具合はなかなかだ。芝生があるので、花見がてら子供を遊ばせに来ている家族連れが多いみたいだった。

歌舞伎文化公園の桜。甲府盆地を遠望できる。ここはもう七分咲きぐらいになっている感じであった。

この歌舞伎文化公園では、一昨年2022年の12月にやはり同じ駅で車中泊した翌朝、エナガの群れを初めて見ることができた。静岡ではエナガを見ることは少ないのだ。

鳥見用の双眼鏡を二人分積んできているので、取り出して周辺を散歩する。残念ながら今回はエナガを見ることはなかったが、シジュウカラとキセキレイを見ることができた。

それにしても春だなあと実感する。冬も温暖な静岡よりも、東京や甲府盆地は桜が咲くのが早い。気温の上昇曲線が急になるからだろう。

11時近くなったので、次の目的地に向かって出発する。歌舞伎文化公園のあるところには金川曽根広域農道という道路が通っていて、これに沿って右左口(うばぐち)方面を目指す。

甲府精進湖道路との交差点をいったん精進湖と逆方向に左折し、しばらく先のコンビニに寄る。この先はもうまともなコンビニはないのだ。

ここで昼食の材料を買い込む。昼は本栖湖キャンプ場でメシらしいメシを食べるつもりでいる。

再び甲府精進湖道路に出て、南下し、御坂山地を標高差600mくらい登る。こういうときの燃費はなかなかに悪く、ℓあたり6~7kmくらいしか走らない。なにしろ車体が重いからね。

長い登り坂を走ってゆくと、標高が上がるにつれ、まだ山肌が冬の雰囲気を残していることが知れる。御坂山地は杉林は少なく、ほとんどが落葉広葉樹の世界だ。

精進湖畔に出たところで右折し、湖を左手に眺めながら本栖湖方面を目指す。本栖湖キャンプ場でデイキャンプの受け付けを済ませると、もう12時を回っていた。

いつもの一等地を目指して森の中を進んでいくが、すでに先客がいた。その近所でも悪くはないのだけれど、ガラガラに空いたキャンプ場内で近くに店開きするのも気が引けたので、別の場所にすることにした。

風もなく陽だまりが暖かった本栖湖キャンプ場。これからテーブルや椅子を出そうとしているところ。

デイキャンプなので、撤収時間の目途は16時だ。あまりのんびりもしていられないので、そそくさとテーブルと椅子と器具を取り出て広げる。

暖かい日とはいえ、やはり標高900mぐらいあるので、陽だまりが恋しい。陽光を浴びるところにテーブルを広げた。それからメシの支度である。

きょう4/1(月)は、本栖湖キャンプ場のテントサイトがオープンする日なのだ。水場にシェラカップを洗いに行ったら、さきほど受け付けしてくれた係の方が「ゴミ袋渡したっけ?」と訊いてきたので、「もらいましたよ」と話が始まり、今年は雪や風による倒木がたくさんあって、大変だったことを伝えられた。

facebookの本栖湖キャンプ場のページでは、オープンが遅れるかもしれないという旨が書かれていたのであった。我々は林間のキャンプ場が好きなので、本栖湖キャンプ場ばかり使わせてもらっているが、林間だけにメンテの苦労もおありなのだなあとあらためて感じ入った。営業期間内に倒木などがあったら大変である。

サイトに戻ってからは、まず無洗米を水浸する。炊く量は1.5合。45分くらいは浸しておきたい。

何種類かバーナーは持っているが、きょう使うのはイワタニのジュニアコンパクトバーナー。気温も低くないし、CB缶で充分だ。水浸が終わったので点火。前回炊くときに風の影響を考えずに弱火炊飯して、今ひとつな炊き上がりになってしまったので、今回はやや強めの火で炊く。

炊き上がったメシを蒸らしているあいだに、おかずの準備をする。

どうやら無事炊けたようなので、おかずの準備を開始するが、チョリソーを炒める油を忘れていたことに気付き、キャンプ場の売店で買ってくる。

スキレットを持ってくるのも忘れてしまったので、3合メスティンで代用する。湯を沸かし、インスタント味噌汁の準備をする。卵焼きとツナ缶も用意する。サラダはコンビニで買ったキャベツの千切りとドレッシングを使う。

これが本栖湖キャンプ場でのランチ。やはり外で食べると旨い。

ランチを食べ終わったのは、もう14時頃だ。鳥見をしたいが、湖の外周道路に近いところのせいか、ときどきここで見かけるアカゲラの姿は見られない。ただし、「コゲラの声がするよ」とかみさんが言っていた。ギ~というような声で鳴くのである。

コーヒーを淹れ、菓子をつまむ。陽がだんだん回ってきて、ちょっと肌寒くなってきたこともあり、ユニフレームのネイチャーストーブを組み立てて、そこいらに落ちているアカマツの小枝などを焚く。ティッシュ2枚で着火できた。

薪と違ってすぐに燃え尽きてしまうので、そばについていなければならないが、こういう小さな焚火にもそれなりの風情はある。

焚火には亡くなった人を送るようなニュアンスがある。盆の迎え火や送り火があるからだろうが、そういう季節と関係なく、焚火にはどこかしら切なさがあるのだ。

そのうちに時刻は15時半頃になってきたので、撤収の準備をする。食器やコッヘルの類を洗い、テーブルの上のものからまず片付ける。

16時を過ぎた頃にはほぼ撤収準備が完了し、車内にテーブルや椅子を戻した。ネイチャーストーブの残り灰も事務所の前の指定場所に捨てにいった。ゴミ袋も引き取ってもらった。

帰途についたら、富士山の姿が異様にきれいだ。そうか、きょうは空気が澄んでいるんだということが分かり、道の駅あさぎりに着いたところで、さきほどキャンプ場で変えなかった牛乳を買おうと売店に向かうが、ちょうど17時で閉店。残念だったが致し方ない。

道の駅あさぎりからの富士山。富士山を見慣れているはずの我々からしても、この日の富士山は見事だった。

空気がこれほど澄んでいるということは、きょうは星空が相当に期待できるんじゃないかと思い、19時頃まで道の駅あさぎりの第二駐車場で待機するが、日が暮れた頃から横の建物の照明が気になるようになり、それじゃあということで田貫湖に移動する。

その移動の途中で鹿の群れに遭遇して、ちょっと驚いた。朝霧高原では鹿が多いのだが、10匹ぐらい群れになって行動していたので面食らった。

駐車場に入れて外を見上げると、かなりきれいな星空だった。ぱっと見で天の川が見えるほどではなかったけれど、光害が少ないため、光のないところが漆黒なのだ。しばらくぶりに燦然と輝くオリオンや北斗七星を見た。プレアデスも双眼鏡の中で見事に輝いていた。

田貫湖を出発しては富士宮方面に下り、市街地のめん店でそばを食べて夕食とした。わが家に帰り付いたのは22時頃。30分ほど休憩してから荷物を下ろし、車をガレージにしまう。

ざっと燃料ゲージを見たところ、燃費は全部で7~7.5km/ℓくらいだった。走行距離は200kmあまり。思ったより暖かで快適な旅だった。

車中泊ではテントの設営というような手間のかかる作業は不要とはいえ、フロントウインドウなどに断熱カバーを装着し、また取り外すなど、それなりに就寝&起床準備に手間はかかる。

キャンプ場で泊まるならともかく、道の駅やローカル線の駅前で就寝する場合には、周囲に騒音をまき散らすような車がいないか、夜通しのアイドリングなどがないかどうか、怪しい連中が出没したりしないかなどの見極めも必要になってくる。

それでも、車中泊は愉しい。つまりこれは車でやる野宿のようなものなのだ。そして野宿はどこかにゲリラ的な匂いがするのだ。そういうわけで、うちのキャンピングカーの名前は「ピクニック・ゲリラ号」なのである。




ご支援ありがとうございます。今後とも、よろしくお願い申し上げます。