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取引会社のAPIを検討する_ラズパイ打出の小槌  其の6 外貨預金取引

前回のまとめ
前回は株式取引について、国内の証券会社からは個人が気軽に利用できるAPIが提供されておらず、今回のラズパイでの自動取引の対象としては相応しくないということが判明した。
あらためて、短期売買による収益目的でラズパイで自動取引をするのに適している資産が備えていて欲しい性質について再掲する。

・管理画面を利用せずにプログラミング可能なAPIが用意されていること
・一取引あたり1万円以下、できれば5千円以下で取引できること
・売買手数料が0円に近い、または売買スプレッドが0に近いこと
・買いからだけでなく売りからもエントリーできること


今回は、外国為替、およびそれらの派生取引としてのFX、そして仮想通貨取引について、性質を満たしているかどうか調べていく。

外国為替取引としての外貨預金

まず、銀行で利用できる外貨預金について考えてみる。
銀行取引については、Fintechの流れを受けて、2018年12月頃から、銀行APIという仕組みが産まれつつあるが、まだまだ普及しているとは言えず、個人が直接APIを利用するほうほうもごく僅かに限られている。
(GMOあおぞらネット銀行はAPI開放に積極的で拡大していこうという姿勢がみられるので今後ぜひ期待したい。)

次に、外貨預金取引について見てみよう。まず、1取引あたりに必要な金額だが、これは外貨定期預金だと10万円相当からなどという銀行が多いが、外貨普通預金ならば1000円程度から外貨を購入することができる。

売り買いについては、銀行から外貨を買って預金する流れなので、保有していない外貨の「売り」から取引を始めることはできない。円と米ドルの交換によるドル預金を例に考えれば、円が高いときに、ドルを銀行から円払いで買い預金する。そして、ドルが高くなったとき(円が安くなったとき)にドルを銀行に買い取ってもらい、円で代金を受け取れれば、売買益が出ることになる。

預金なので、もちろん預けておくことで金利を得られるという期待もある。通常は低金利が続く日本円よりも、その他の通貨の方が金利が高いため金利は日本円よりも高いことが多い。が、最終的に円に戻すのであれば金利よりも円に戻すときの為替レートの方がたいていは影響が大きいし、高金利の通貨は一般的には将来為替レートが悪化する(その国の通貨が安くなる)ことが見込まれるので、高金利につられてマイナーな外国通貨を選択すると、将来円に戻すときに手痛い為替差損を被ることにもなる。
たしかに、外国為替証拠金取引いわゆるFXのようにレバレッジを10倍くらい効かせる場合は、100万円の証拠金で1000万円の取引ができるので、1000万円の金利が年2%だとしたら、100万円に対しては20%相当に値する。したがって1ヶ月程度の短期の取引でも日本円との金利差に注目して取引する手法もある。が、外貨預金はレバレッジを効かせるものでもないし、今回は短期のトレードで遊ぶことを考えているので、金利差は外貨預金ではあまり大事な要素にはならない。

短期の外貨預金取引で収益を分けるのは、手数料だ。一般的に、外貨預金の手数料の主なものは、外貨預金を円で買うときの価格(銀行様が外貨を売る価格)と外貨預金を円に戻すときの価格(銀行様が外貨を買う価格)との差額だ。
例えば、つい最近まで一般的に外貨預金の預け入れのときは円から外貨に買えるときは、TTS(Telegraphic Transfer Selling rate)というレートが適用され、外貨預金を円預金に換金するときは、TTB(Telegraphic Transfer Selling rate)というレートが適用される。TTSとTTBの中間の価格を仲値とかTTMなどと言う。
参考:三菱UFJ銀行の外国相場一覧表


さて、では1ドル100円がTTMだったとして、1万円分円預金からドル預金にしたいとおもったら、TTSは101円だったとすると、99ドル分購入することができる(99ドル×101円=9999円投下)。そして即座に円預金に再び変えたとしたら、TTBが99円だったとすると、1ドルを99円で銀行が買ってくれるので、99ドル×99円=9801円となる。つまり円から外貨預金にして、また円預金に戻すときに、外貨預金に転換したときよりドル円の相場が2円以上ドルが高くなっていないと損をしてしまう。ドル円の振幅幅が1日2円もあることは、めったになく、検索サイトで「ドル円 1日変動幅」などと検索すれば、だいたい1日0.7円くらいの幅に収まることが多く、なかなか短期売買で外貨預金で儲けることは難しいいことがわかると思う。蛇足だが高金利通貨で人気があるニュージーランドドル(NZD)のTTS-TTBの差は4円くらい。年間の日別の平均変動幅は0.7円くらいだ。。。外貨預金が短期売買に向いていないことがよくわかると思う。

ただし、最近はいろいろな銀行がネット取引の場合の外国為替手数料を優遇していて、住信SBIネット銀行ではドル円だと外貨普通預金だと4銭+4銭。外貨積立預金だと外貨購入時2銭+円換金時4銭と大変手数料が安くなっている。
執筆時のドル円レートが106円程度なので、往復の手数料は0.06%くらい。
ドル円の1日の変動幅が0.7円とすると106円に対して0.7%くらいの変動幅なので、1日以内の短期売買でも取引回数を押さえれば、売買益を狙えるかもしれない。
SBI銀行外貨積立預金手数料

また取引方法も、単純に外貨を買うー円に戻すという取引だけでなく、指定した金額になったら外貨を買う・売るという指値取引や、それらを組みあせたIFD(If done)取引やOCO(One Cancels the Other)取引なども住信SBIネット銀行ではできる。

外貨預金をまとめると

・APIはなく自動取引はしにくい。
・1回あたりの取引額は外貨普通預金ならば1000円程度で参加可能。
・対象資産の売りから入る取引はできない。
・金利よりも為替手数料の影響が短期売買においては重要。

以前は、為替手数料が高くて短期売買にはまったくむかなかったが、ネット銀行が充実してきたおかげで為替手数料は随分下がってきた。
1日の値動きの変動幅に対して、手数料がかなり下がってきたので、指値取引などを組み合わせれば、短期売買でも売買益を狙うことはできるようになってきたと言える。

んんん、APIが開放されたらなあ。残念ながら、今回の打ち出の小槌遊びには向かないということで見送り。

長くなってしまったので、FX取引と仮想通貨取引についてはまた次回調べよう。

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投資日数: 76日
投資金額:404円
評価損益: 75円
実現損益: 15円





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