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人前で歌う恐怖症を克服する35歳の挑戦

私は幼少期から人前で歌うのが怖い。

『苦手』とか『恥ずかしい』とかではなく、ただただ怖い。



決して人前に立つのが怖いわけではない。


むしろ目立ちたがりで、学生時代は劇の主役や体育祭の応援団長も務めてきた。


大人になった今でも、プレゼンなど人前で発表する際、
もちろん緊張はするが、目の前の人に想いを届けるぞ!と思うとわくわくの方が勝る。



ところが一転、『歌う』となると恐怖で声が出てこない。



小中高時代、音楽の歌の授業なんて苦痛でしかなかった。

歌のテストの時間は、私にとって拷問だ。

普段は「静かにしなさい!」と注意されてばかりの私が、「もっと大きな声で!」と促される。


私の声が全く出ていないもんだから、音楽の先生のピアノの音はどんどんどんどん小さくなる。

ピアノの音がほとんど聞こえないくらい小さくなっても、私の口からは蚊の鳴くような声も出てこない。

私をまっすぐに見つめる先生の視線。
背後から突き刺さるみんなの視線。

針の筵に座らされているようで、早く終わってくれと必死に願う。



私の“歌う恐怖症”は、音楽の授業に限ったことではない。

遠足のバス内でのレクリエーション、
クラスのみんなで行くカラオケ、
仲間の沖縄料理屋で円になって歌う時も、

いつもいつも盛り上げ役に徹して自分は歌わない。 



合唱コンクールの時は、リズム感なんて皆無やのに、歌わなくて済むし目立つ指揮者に立候補した。

高校時代にバンドを結成した時も、ボーカルに憧れはあるものの、歌わなくて済むギターを選んだ。




決して歌うことが嫌いなわけではない。

むしろ歌うこと自体は好きで、自転車を漕いでいる時や一人の時はよく歌っている。




なんで、私は人前で歌うことがこんなにも怖いんやろう。
20歳の頃、真剣に分析した結果辿り着いた原因はこれ。


私は物心がついた頃から、両親や姉に「ほんま音痴やな〜」とからかわれてきた。

NHKのみんなのうたやアニメの主題歌など、
自分が好きになった歌を歌うたびに、

「みーやんの音痴リサイタルが始まった!」
「ほんまよくこんなにも音外せるよな〜」

と毎回毎回、みんなが笑うのである。



家族の名誉を守るために書いておくが、馬鹿にされていたわけではないと思う。

家族の仲は良いし、私にとっては自慢の両親やし、
なんならシスコンってくらい姉ちゃんのことが大好きだ。


父がおならをする。
「もう!お父さんくさいー!!!」と私たちが言う。
父が面白がってまたおならをする。

きっと、この一連の流れと同じで、

私が歌う。
「ほんま音痴やな〜」と家族が笑う。
私が戯けてもっと歌う。

こうなることを期待していたのかもしれない。
家族にとっての「音痴やな〜」は「可愛いなあ〜」と同義だったのかもしれない。


でも、私は家族に笑われるたびに、
『私は音痴なんだ』
『私が歌うと笑われるんだ』
ということが刷り込まれていき、
小学生に上がる頃にはすっかり人前で歌うことが怖くなっていた。


この原因に気付いた20歳の頃、母と姉に打ち明けた。
2人はびっくりしたように、「え!?ごめん!」と謝ってくれた。

私を音痴と笑っていた姉ちゃんとカラオケに行ったら、この恐怖症は克服できるかもしれないと思って2人でカラオケにも行った。



それでも、20年近く心身に染み付いた恐怖心はなくなることはなかった。


…そして、気付けばそこから15年も経っていたのだからもうびっくり!




正直、35歳になって、そんなに人前で歌う機会なんてない。
友人とカラオケにも数年行っていない。


このまま人前で歌うことなくおばあちゃんになってもよかったのかもしれない。



けど、

世界一周の船の中で出会った仲間たちと、
一緒にギターを弾いて、みんなで歌う時間が最高に楽しすぎた。

その時も、結局私はいつも歌えなかった。


「コブクロの轍を弾きたいから歌って」と仲間のたっつんに言ったら

「自分で歌えばいいじゃん。
 そうやって人に頼むの、俺は好きじゃない。
 音楽をする人は全員がプレーヤーだよ。」と言われた。


厳しい言葉にも聞こえるが、
たっつんは、船にいる間も、帰国してからも、なんとかして私が歌えるように、
いろんなコツを教えてくれたり、私が歌いやすい曲を選んでくれた。

それでも、やっぱり声が出てこない。



帰国してからの約3ヶ月、みんなと過ごした時間が楽しすぎてほぼ毎日ギターの練習をしている。


先日、船で出会った仲間のクラッシュが石巻に来てくれた。
3ヶ月ぶりに、深夜の川辺で一緒にギターを演奏した。


1人で練習するギターも楽しいけど、やっぱりみんなで演奏する時間が最高に楽しい。


今、強く思う。
私も歌いたい。


シンガーソングライターになりたいわけじゃない。
音楽を仕事にしたいわけでもない。

ただ、大好きな仲間と集まった時に、またみんなと一緒に歌いたい。




高校時代、バンド仲間のぽんちゃんが話してくれた。

「俺も、昔めっちゃ音痴やったで。やから、音楽の先生にボイトレしてもらってる」と。

その彼は今、アニメの主題歌も歌うバンドマンになっている。



私も、家族に音痴と笑われた時に、
「もっと上手くなりたい!」といっぱい練習していたら違う未来になっていたかもしれない。

でも、私は逃げる選択をした。


逃げることが悪いとは思わない。


やけど、実現したい目標があるなら、逃げずに挑戦しないと。



5歳の娘が新しいことに挑戦する時、「できない〜」と溢す。

その度に「最初からできる人なんていないで。みんな、何度も何度も失敗して、それでも挑戦して出来るようになるんやで。」と伝えてるのは私じゃないか。



私は音痴だ。正直、音程とか全然わかんない。
リズム天国で見事に全部外すほどリズム感もない。
応援の時などは大声が出せるが、歌う時の声量はミジンコレベル。

…今はまだ!


練習したら、必ず上達すること。
挑戦するのは何歳からでも遅くないこと。

それを娘に伝えるのも、母親である私の役目。


そしていつか、娘にこう話す。

「ママ、昔はめっちゃ音痴で、35歳まで人前で歌うことが怖かったんだー」と。



いきなり人前で歌うのは私にとってハードルが高すぎるので、
リハビリも兼ねて、インスタのストーリーで練習の様子をアップしていきます。

お見苦しい(聞き苦しい?)とは思いますが、
長い目で見守ってもらえたら嬉しいです。

最後まで読んでくださりありがとうございます。 ほんの少しでも、あなたの心に響いていたら嬉しいです。