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キーパーソン21が教えてくれた“親の役割” そして、見つけた自分のわくわくエンジン®

わくわくして動き出さずにはいられない原動力「わくわくエンジン®」を持って活動している方たちを紹介する連載「わくわくエンジン®図鑑」。
認定NPO法人キーパーソン21がお届けします。 

事務局としてキーパーソン21を支える、“さっちゃん”こと奥野幸子さん。プライベートでは2人の娘さんのお母さんです。そんなさっちゃんがキャリア教育の世界へ入ったキッカケから、キーパーソン21との出会いによっておこった人生の変化について聞きました。母親なら誰もが抱える葛藤ーー。それをひらりと乗り越えさせた「ある言葉」とは?!

【図鑑 No.7】
お名前

奥野幸子
お仕事
◎全国普及担当として各地に「夢!自分!発見プログラム」を届けて地域の大人も子どももみんながつながれるまちづくりをサポートすること
◎会員コンシェルジュとして、キーパーソン21 の会員が自分らしく活動できるためのお手伝いすること

わくわくエンジン®
先を見通して今を整えること

結婚・育児・介護を経て、偶発的にキャリア教育の世界へ


ー ー そもそもキャリア教育に携わることになったキッカケを教えてください。

私は大学卒業後に一般企業に就職し、いわゆるOLになりました。その後、結婚して夫の海外駐在に伴い、退職。帰国後は子育てをしながら、義母が経営する会社をお手伝いするかたちで働いていました。ところが、上の子が3歳の頃、実母が倒れてしまい、仕事を続けることができなくなってしまったんです。そこから育児と介護の生活が始まったのですが、下の子が小学校に入学したくらいのタイミングで実母が亡くなって…。

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上の子が生まれてから10年くらいずっと育児に追われて、そこに介護も加わり、とにかく育児と介護でがむしゃらな時間を過ごしていたのに、それがパタッとなくなってしまったんです。ちょうど下の子が小学校にあがったこともあり、子どもたちも今までのように手がかからなくなったため、急に自分の時間ができた感じがしました。それで、ふと自分自身に気持ちを向けることになったんです。「今の私にできることはなんだろう?」って。考えると大学時代から社会人に至るまでほとんどアシスタントや秘書などの事務職しかやったことがなくて、なんのスキルも特技もない。

その時に、たまたま友人からキャリアコンサルタントという資格があるということを教えてもらって興味を持ちました。同時に、今すぐ自分にできることとして幼児教室の講師の募集があると知り、「じゃあ、講師をやりながらキャリコンの資格取得を目指してみよう!」と思ったんです。

幼児教室の講師をするなかで拭いきれなかったモヤモヤ


ー ー 幼児教室の講師とキャリアコンサルタント資格取得に向けた2足のわらじだったわけですね。どちらも、今のお仕事に関係している気がします。

その幼児教室は知育と小学校受験対策もおこなっている教室でした。講師をしているなかでたくさんのお母さん方の相談に乗るわけですが、お母さん方との会話を通じて違和感を覚える自分がいたんです。

ー ー どういうことですか?

たとえば、「主人の家系は医者なので、子どもも絶対に医者にしないといけないんです。だから、○○学校に入れたいんです。」とか、「これからは理系の時代だから、子どもを理系に進ませたいのですが、どうしたらいいでしょう?」みたいな相談がとても多くて。そういう相談を受けるたびに、「え?そこまで親が決めるの?」っていう気持ちでした。親が考える“こうなってほしい子ども像”に合うように枠にはめたり、レールを敷こうとしていることになんとも言えない違和感が…。私は子どもが大好きで、一緒に遊んだり、おしゃべりしたりしながらその子の無限の可能性を少しでも引き出せるお手伝いができるとといいなと思って仕事をしていたけれど、親が求めるのはそこじゃない。賢い子、いい学校に入れる子にすることなんだなと。

一方で、キャリコンの学校では、「すべての経験がその人のキャリアに繋がっていく。決して、まわりが決めるものではないんだよ。」とおっしゃっていたんですよね。このキャリア教育の考え方が、私にはすごくしっくりきて。幼児教育もキャリア教育も同じ『教育』なのに、なんでこんなに違うんだろう?って思いました。キャリアに対する考え方が対極にある気がして、モヤモヤが増していく感じでした。

そんな中、無事にキャリコンの資格を取得し、「この資格を生かして、これから私は何をしよう?」と思うわけです。幼児教室の講師でもキャリコンの学びは生かせると思いましたが、どうもモヤモヤが晴れない。このまま講師を続けても苦しいなと思いました。
それで、ハローワークかな?大学のキャリアセンターかな?と悩んでいる時に、たまたま友人から「キャリア教育を専門にしているNPOがあるよ!」って情報をもらったんです。早速説明会に行き、そこで出会ったわくわくエンジン®の考え方に「これだ!」と。いままで自分が感じていた幼児教室でのモヤモヤの正体はきっとここなんだなと、ストンと腹に落ちた感じがしました。

親の役割に気づかせてくれた代表の言葉


ー ー どんなところに共感されたのでしょう?

「自分の未来は自分で決める」そんな当たり前と思えることが親という肩書きがつくと急に我が子にはできなくなってしまう。

もちろんそれは私自身も同じでした。一人でも多くの大人にもっと子どもの可能性を信じてもらいたい、そして子どもには自信をもって自分の進む道を決めてほしいと考えています。

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でも、子どもが自分で職業や将来を決めていくためには、その子自身が何が好きなのか、何がやりたいのかを知る必要があります。キーパーソン21では、職業ではなくて、やりたいことに繋がるその人の中にある原動力を見つけます。つまり、木に例えると、枝葉の部分じゃなくて、幹になる部分を太くしっかりしたものにするのがキーパーソン21のプログラム。

私は幼児教室での違和感を通じて、自分に向き合ってやりたいことの原点を探すのは、早ければ早いほうがいいと思いました。そういうこともあって、キーパーソン21のやっていることはとても意味のあることだと感じたんです。だから、仕事を探しにきたはずなのに、お金がもらえるどころか逆に会費がかかっちゃうけど、まずは会員になろうって決めました。

ー ー 実際にキーパーソン21の講座を受けてみて、いかがでしたか?

講座中、代表の朝山の言葉には納得することが多かったです。たとえば、「ネガティブワードを使わない」ということ。ネガティブなことでもポジティブな言葉に置き換えられないかと考えるんです。でも、実際は結構難しいですよね。私も子育てをしていくなかで気をつけてはいましたが、とは言え、子どもに悪い点を知ってほしいと思う時には、やっぱりそのまま指摘してしまうじゃないですか。だから私、朝山に聞いたんです。「じゃあ、全部ポジティブに褒めていればいいんですか?!」って。

ー ー おお!直球ですね(笑)朝山さんは何とおっしゃったのでしょう?

「そうよ!」ときっぱり(笑)。それでも私は納得できなくて、「褒めてばかりいたら、子どもはいつまでたっても悪い点に気づかないんじゃないですか?」と食い下がりました。

そしたら、

「いつか気づくから大丈夫!!!」

いともあっさり。子ども自身が、「褒められなかった部分についてはどうなんだろう?」と考えるようになるし、親以外の他者との関わりや社会生活を通じて、必ず自分で気づく時がくると言ったんです。

そんなことよりも、社会生活の中で自分の至らない点に気づいて帰ってきた時に、「あなたにはこんなに素晴らしいところがあるじゃない。だから大丈夫。」と言ってあげられることが、親にしかできない大事なこと。

この言葉に、一気に背中を押された気がしました。

私は、社会生活について教えるのが親の役割だと思っていたんです。でも、そこはもう社会にお任せして、私は、子どものいい点を引き出して、認めて、伴走するーー。それでいいんだって気づかされました。

ー ー 徹底して子どものいい点を引き出す役に回るというのは目から鱗です。でも、そのやり方だと親のほうが苦しくなってしまう気もします・・・。

私も、「ああ、また今日も悪い点を指摘しちゃった・・・」とか、「あんな言い方しちゃった・・・」とか、自己嫌悪に陥ることがあります。でも、自分の悪かった点に囚われるのではなく、そんな未熟ささえもポジティブに変換してしまえばいいんだってことを教わりました。そうすることで、子どもや周囲に対してもポジティブな思考に切り替えられるのだと思います。

徹底的に自分に焦点を当てて、言葉を削ぎ落とした先に見えたもの


ー ー そんなキーパーソン21のプログラムを通じて発見したご自身のわくわくエンジン®については、どんな感想を持たれましたか?

正直言うと、最初に出てきた自分のわくわくエンジン®にはあまりピンとこなかったんです。それはきっと、周囲の目を気にして、自分を着飾っていたからだと思います。言葉が多すぎて、嘘くさい感じでした(笑)。

ー ー どうやって、今のわくわくエンジン®にたどり着いたのでしょう?

それまでは、「○○をして人の役に立つ」みたいなことがわくわくエンジン®だと思っていたんですよね。どちらかと言うと、他者や社会に視点が向かっていました。でも、わくわくエンジン®って、もっと自分中心でいいということに気づいたんです。自分が何をしている時が一番楽しいのか、一番わくわくするのか、っていうことが大切で、結果としてそれが人の役に立つことに繋がるんだなって。そうやって自分自身に焦点を当てながら回数を重ねていくうちに、本当にしっくりくる言葉だけを選べるようになって、どんどんシンプルになっていったんです。それで、ようやく「これだ!」と思えるものに出会えました。

ー ー ようやく出会ったわくわくエンジン®について教えてください。

たどり着いたのは、「先を見通して今を整えること」です。今までは「みんなが前に進むためのお手伝いをすること」とか「心の拠り所になるような場所をつくるお手伝いをすること」がわくわくエンジン®だと思っていたのですが、「先を見通すこと」を基本に、いま現在の場を整えたり、誰かのために手伝ったりしたいという気持ちが出てくるんだなと腑に落ちました。

私は、「この先にどんなことが起きるかな?」ということを見通すのが好きだし、想像することは自分の思考の癖みたいなものです。さらに、私は裏方が好きなんですよね。だから、見通した未来に備えて、みんながスムーズに仕事や生活ができるように場や状況を整えるのが私の役割かなと思っています。未来に進むための場所を整えたり、準備したりするのが楽しいです。

行動の意味づけができたことで、もっとわくわくした人生に


ー ー その気づきによって、何か変化はありましたか?

行動自体が変化したと言うよりも、自分のわくわくエンジン®を意識できるようになったのが大きい気がします。これまで漠然とやっていたことに意味づけができるようになったことで気持ちも軽くなり、自分を認められるようになりました。人生の質が上がった感覚です。だから、自分の子どもたちにもキーパーソン21の考え方を伝えていきたいと思っています。

ー ー ご自身のわくわくエンジン®は事務局のお仕事にも生かせそうですか?

私は、全国普及のアシスタントとしてキーパーソン21に入りました。設立から18年が経った頃です。18年間突っ走ってきたキーパーソン21 は、私が入った頃もさらに新しい事業にものすごいスピード感をもって取り組んだりしていたので、整備が追いついていない気がして、「整えること、いっぱいある!やりたい!」って思いました。

そしたら、ありがたいことに、今年から管理部門にも携わらせてもらうことになったんです。今までのお仕事も裏方で楽しく取り組んでいるのですが、事務的な面でまだまだ整っていないキーパーソン21をバッチリ整えるチャンスをいただいたなと(笑)。本当にわくわくしています!キーパーソンが未来に進むために必要なことを見通して、私が整えていくぞ!って感じです!!

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編集後記

母親なら誰もが抱える葛藤ーー。我が子のことを心配するあまりに、逆に傷つけるような言葉をかけてしまって自己嫌悪に陥る人は多いと思います(私もその一人です・・・汗)。
そこから解放させてくれたのは、「いいねいいねって、認めていれば大丈夫!」という朝山さんの潔い言葉。なかなか勇気のいることですが、それをできるのは親だけかもしれませんね。
また、「みんなが前に進むためのお手伝いをすること」が好きだと言っていたさっちゃんですが、その原動力になっていたのは、「先を見通すこと」に感じるわくわくエンジン®でした。それに気づいたことで自分の行動に意味を持たせることができたという話がとても印象的で、そういう人が増えれば、日本中がもっともっとステキな社会になるだろうなと、私自身も前向きな気持ちになりました!
(ライター:ゆみりん)

わくわくエンジンって何?はこちら


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