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「怖い」がもつ癒やしの力。本の紹介です。病床で夢中になった本はエクソシスト。

痛みが共存する日々のなかで、本もけっこう読みました。よく選んでいたのは、やっぱり「治癒」「健康」についてでしたが、異色の一冊をご紹介します。

『エクソシストとの対話』。エクソシストって、あのホラー映画になった、です。この本は、実在のエクソシストを追ったルポで、著者はイタリア発、あのスローフード文化を日本で紹介され広められた島村菜津さんでした。全然違う分野のルポで驚き。

この本は、地元の鍼灸院の先生から教えてもらったのです。ホラー好きじゃないけど面白そう、そう思えたのは先生のおすすめだったから。

島村さんは、イタリアにいるという世界最強のエクソシストの存在を追います。彼を追う取材の旅のなかで聞く不思議な話、それを話す人々との出会いのエピソードを通じて、読んでいる私達も感じはじめます…

世界最強のエクソシストは、実はものすごく、純粋で優しい優しいひとなのでは…と。カンディド神父という方だそうです。

実際悪魔祓いもされてたとのこと、日本もイタコや除霊の方がいるから同じなのかもしれませんが、信じる・信じない分かれますよね。私は半々です。どちらでもいいかな、みたいな感じです。

でもこの本を読んで信じることができたのは、「究極に純粋な人々がいる」ということです。カンディド神父は子どもの頃に出家(キリスト教では出家っていうのかな…)され、出家先の教会は今もあって、

そこに暮らす神父たちは、着るものは縫い直しながら、建物は修理しながら、食べ物は育てながら、一切の無駄も出さない生活をしていました。

こうすることで育つ、究極に純粋な精神。お祈りや悪魔祓いをお仕事にするためには、ここまで純粋でなくてはならないのですね。

教会でのシンプルな生活の描写が何とも心地よい。ホラーのどきどきとは程遠い、穏やかな感覚。

神父はもう亡くなられているそうですが、私もカンディド神父に会ってみたかった。

世界最強のエクソシスト。せめてお顔を見てみたいと思い、写真をイタリア語Padre Candidで検索させていただきました。

きっと、お会いしたらその瞬間に泣いてしまいそうだな。話をしなくても、痛みのこと、喪失のこと、申し訳ないと思って生きていること、全部お見通しなんでしょうね。

だから毎日たくさんの人々が神父に会いに来たのだな。そんな風に想像しながら読み、「癒やし」をもらった気がします。

ルポとしては…次の展開が気になる気になる、とってもおすすめです!

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