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立派な胎盤

もしかしたら、心底、自己肯定感を持てたことなど今までなかったかもしれない。

人に褒められたくて、技能を磨く。社会性はあまりないけど頑張って身につける。そうして多分、何となく世の中に溶け込み、馴染んで来たのかもしれないけれど、

三十うん年生きてきて、これが最高の褒め言葉だった。
『とても立派な胎盤ですね』

脊髄腫瘍合併妊娠ということで、異常な状態に耐え、出産を迎えた。母体と違ってとても健康な赤ちゃんが生まれて、泣き声が聞こえ、助産師さんと胎盤が出てくるのを待つ。そして言われた言葉だった。

胎盤が立派だった。自分のこと、あまり好きになれなかった人生だったけど、いきなり気持ちが変わった。これまでのすべてのことを肯定した。

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