見出し画像

手の握りから見る体の使い方

スポーツの動作やフォームは選手それぞれで違います。特徴あるフォームは動作のやりやすさや、力の入りやすさなことによって、徐々に自分に合ったものが出来上がるものです。

同じ動作でも関節の動くタイミングが違う

大勢で行なっているダンスを見ていると、同じ動作であっても関節の動き出すタイミングが違うことに気づきます。
人は自分が動きやすい動き方を自然とおこないます。
大きくは膝から動き出すか、股関節から動き出すのか、改めてそこに注目して観察するととても面白く感じます。

ボート競技は艇の動きを邪魔しないように、クルー全員で同じタイミングで動くことが大事です。しかし、ダンスの脚の動かし方と同様に、細かい動きは選手それぞれだったりします。

手の握り方で選手の動きを理解する

手の握り方も、脚の動かし方と同様に関節が動き出すタイミングが選手それぞれで違います。

大きくは2種類あって、一つは指先から握る選手と、もう一つは手のひらで握る選手です。

<確認方法>
まず、手のひらをパーにして、ゆっくりグーを作ってみてください。
そのときに、指先から曲げ始めるのが「指先タイプ」です。
手のひらの頭脳線や生命線のところをまず折るようにしてから握るのが「手のひらタイプ」です。

<指先タイプの特徴>
・オールのグリップは細いほうが力が入りやすく、コントロールしやすい
・ファイナルに向かっての上体を飛ばす感覚は、背中を飛ばすようにする
・腕引きは、脇を開いて肘を後ろに引いたほうがスムーズに動ける

<手のひらタイプ>
・オールのグリップは太めが力が入りやすく、コントロールしやすい
・ファイナルに向かっての上体を飛ばす感覚は、太もも前面とお腹の間を広げるていくようにする(お腹側を動かす)
・腕引きは、脇を締めて肘を曲げるようにする方がスムーズに動ける。

私は指先タイプなので、同じ指先タイプには体の使い方の感覚やコツを、自分の経験から伝えれば役立ててもらえるのですが、手のひらタイプに伝えると同じアドバイスは選手を混乱させてしまいます。

自分のタイプに合ったの体の使い方をすると、同じ力で漕いでも、漕力がアップします。逆に違うタイプで漕ぐと自分の力を出すことができなくなってしまいます。

この漕力の差については、同じ力で漕いだときのエルゴメーターの数値で確認することはできますが、水上で全力で漕いでいる選手には分かりづらいかもしれません。
私自身の体験としては、スイープオールのグリップの太さで漕ぎやすさが変わった経験をしています。
しかし、水上ではグリップが変わる前も変わったあとも全力で漕いでいたので、グリップの太さによる出力の違いまではまったく気がついていませんでした。
多分グリップが太くなって漕力は低下していたと想像しています。

以前の私にはこの考え方が無かったので、ボート競技のコーチをしているときには、同じフォームで漕ぐことを求めていました。
しかし、今はシートスライドの動きを中心に動作を見るように変わりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?