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上場企業の株主優待、こうすれば企業業績にもつながるのではないか?

株式投資をする人の中には優待を目的に投資をしている人も多く、証券会社のサイトには優待品から検索できる機能もあるほどです。

企業側も株主優待を導入することでかなりの個人株主を獲得できたりもするわけですから個人株主の獲得にはそれなりに効果があるのではないかと思います。

私も投資先の業績や成長率などを考慮した上で「株主優待があったらなお良し」程度の気持ちで優待銘柄を調べていますが、

  • 優待を株主が企業にもっと興味をもってもらうツールとして使っているのか

  • 単なる金券のバラマキになっているのか

で大きく分かれているなと感じます。

今回は企業側の視点に立ち、株主優待をどのように設計すると良いのか?実例を交えながら書いていきたいと思います。

優待は企業のファンや見込み客を獲得するための還元策、もしくは広告費として考える

優待にも色々ありますが、私が筋が良いなと思うのは株主優待を通じて企業の商品やサービスへの接点を作っている優待です。

優待券でサービス体験

例えばカナミックネットワーク(3939)の優待です。

同社は24時間ジムのアーバンフィット24を運営しています。同社の株主にはレンタルタオルやレンタルウェア、シューズを借りることができ、ジムを体験できる優待券をもらうことができます。

この優待は優待でありながらも株主を見込み顧客にしジムを知ってもらうきっかけ作りにしています。

また、優待の中身が施設体験ということで会社側としては体験の顧客対応などはありますが、キャッシュが出ていきません。

事実上、株主優待でありながらも広告費になっており企業にとっても株主にとってもプラスの施策と言えます。

優待券で一部をディスカウント

例えば食品スーパーを運営するマミーマート(9823)の優待券です。100株保有すると2000円の優待券(100円×20枚)もしくは商品の詰め合わせが年に2回ももらえます。

詰め合わせを選んだ場合は話は別ですが、優待券の場合、1000円以上の買い物をした場合に100円の割引券が1枚使えるように設計しています。

割引券があることでマミーマートを利用するきっかけにもなりますし、来店をして株主はお金を落としてくれるわけです。

これを2000円分の商品券としてしまうと最悪の場合、年2回、2000円以内の買い物をするためにマミーマートに来る人も出てくるわけで2000円分のキャッシュのバラマキになってしまうわけです。

ちょっと改善すればだいぶよくなる優待株

STIフードホールディングス(2932)

水産物の加工販売を行う会社でセブンイレブンに置いてある魚商品などを提供していることで有名な企業です。オンラインショップで自社商品も販売しています。

株主優待では自社の超オシャレな絶品サバ缶6缶を年2回いただくことができます。(社長が元々アパレル出身だからか水産会社だけどオフィスは青山、缶詰のパッケージもとてもセンスが良い)

STIフードホールディングスHPより

業績も右肩上がりで創業者が筆頭株主、財務も良好でサバ缶が食べたいため私も株を保有しています。年に2回も6缶のサバ缶が貰えるのは子育て世代の私にとってはめちゃめちゃ嬉しいです。

ただ、その一方、年に2回も6缶のサバ缶がもらえると「サバ缶わざわざ買わなくていいや」となってしまうわけです。

もし、自社の製品を優待を通じて知ってもらい、定期的に買ってもらいたいという狙いがあるのであればオンラインショップの割引コードなどにした方が良いかと思います。

割引コードを使うために株主はオンラインショップに個人情報を登録し、クレジットカードを登録し多少なりともお金を支払います。

優待目的のそれっきりの買い物になるかもしれませんが、今度キャンペーンなどがあった際にはメールでお知らせを送ることができ、将来の見込み客につながるわけです。

株主としては現在のようにサバ缶が送られてくるのはとても嬉しいですが、私が企業の優待管理を任せられたら株主優待を通じて自社の商品を定期的に買ってもらう見込み客にする割引コードに変更するかと思います。

消費者向け製品、サービスを提供している会社は株主と言えども将来の見込み客として捉え広告費として優待を活用すると良いかと思います。

なかなか奥が深い優待

テンポスホールディングス(2751)

中古厨房機器販売で独占的な状態を突っ走るテンポスホールディングス。
株主優待では年に1回8000円の食事券をもらうことができます。

同社はステーキのあさくまをグループ会社に持っており私のようにセコい人間は「年に一回家族であさくまに行ける優待」というつもりで同社株を保有しています。(ビジネスモデルがユニーク、業績、財務良好、創業者が筆頭株主なので投資をしています)

ただ、ここ最近なのか優待を使える店舗が急激に増えてきており、中には個人で運営していそうな飲食店も優待利用可能店に出てき始めたのです。

理由を調べてみると飲食店を顧客に持つ同社の顧客支援策であることがわかります。

テンポスホールディングスHP

お金の流れがどうなっているかはわかりませんが、株主優待を使い来店をすることで飲食店の新規集客の応援策としているのは優待制度の面白い活用方法だと思います。

製造業、BtoBの会社の場合

製造業などは自社の製品やサービスで株主に魅力的な優待は提供しづらいです。

企業名は上げませんが、例として自社とは全然関係ないお米を配ったり、保有株式に応じてポイントが付与され商品と交換することができる優待サイトを導入する企業もあります。

株主としては優待がもらえることは嬉しいとは思いますが

  • お米の優待(商品購入費、郵送費)

  • 優待サイトの利用(株主の商品購入金額の負担、システム利用料)

などの費用が自社の業績にはつながらないコストとして発生しており、資本のバラマキに近いのではないかと私は思っています。

製造業やBtoBの企業の場合、無理に優待をつける必要はなく、単純に業績向上、増配や自社株買いに注力し、どうしても株主優待をつけたいなら郵送コストが低いクオカードくらいに留めておくのが良いかと思います。

まとめ:株主優待はどのように設計すると良いのか?

結論ですが、株主優待は個人投資家を獲得するために有効な制度であることは間違えないと思います。

ただ、どのような株主優待をどのように提供するかで株主の質が変わってきます。

消費者向けの商品、サービスを提供する企業であれば

  • 体験券、条件付き割引券にして自社の商品、サービスを体験させる

  • オンラインショップを運営しているのであれば商品の発送ではなくオンラインショップの割引コードなどに変更し会員登録させ、個人情報、クレジットカードを登録させる

など見込み客への広告宣伝費として考えると良いかと思います。

BtoBの企業や製造業であれば

  • 無理に優待を設けず配当、自社株買いに注力する

  • どうしても優待出したいならクオカードなど郵送コスト、手数料の低いものにする

と良いかと思います。

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