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流動モザイクモデルとは?

私たち人を含めた真核生物の細胞膜やミトコンドリアなどの細胞小器官を包んでいる膜、それに細菌などの原核生物の細胞膜は基本的に同じ構造をしている。そしてこれらの膜をまとめて生体膜と呼んでいる。この生体膜はリン脂質と呼ばれる物質で構成されており、このリン脂質によって脂質二重層が構成されている。なぜ二重層を形づくるかというとリン脂質は水に馴染みやすい親水性の部分と水に馴染みにくい疎水性の部分があり、疎水性の部分どうしを内側に向け、親水性の部分を外側に向けるようにして2層に並んでいるからだ。細胞の内外は主に水で満たされており、脂質二重層の両外側は親水性なので膜内外の環境に馴染み、内側は疎水性の脂肪酸が充満しているので細胞の内外を遮断することができる。

2層に並んだリン脂質分子は固定されておらず、流動的に動くので膜の形状は柔軟に変化する。また、生体膜各所に点在しているタンパク質は膜の上を比較的自由に動くことができる。このような生体膜の構造を流動モザイクモデルという。生体膜は電気的に中性で極めて小さな分子、例えば酸素分子や二酸化炭素分子は通すが水溶性低分子物質(糖、アミノ酸など)やイオンは通過できない。しかし、細胞膜には物質の出入りを調節するタンパク質が存在しているので必要な物質を取り入れ、逆に不要な物質を排出することができる。またタンパク質の中にはホルモンなどの情報伝達物質を受け取るものや他の細胞と結合するもの、細胞の内側で細胞骨格と結合して膜の形を維持するものが存在している。

※冒頭の画像はモザイクタイル。脂質二重層にはタンパク質がモザイク状に含まれている。モザイクとは膜に各種の機能タンパクが独立して点在している様子を表している。

参考文献:嶋田正和ほか22名,「生物」,数研出版,(2017).

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