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恐竜の進化を追い越した植物

結論から言うと恐竜の進化を追い越した植物と言うのは被子植物だ。その理由をこれから説明しよう。

そもそも植物は藻藻類から陸上植物に進化し、維管束植物、真葉植物を経て種子植物に至ったと言われている。そして種子植物は大別すると裸子植物と被子植物に分類される。この二つの違いは胚珠が剥き出しになっているか、子房に包まれているかどうかだ。ちなみに読んで字の如く胚珠が剥き出しになっているのが裸子植物だ。ここまでは中学校でも習ったと思う。しかし、胚珠が子房に包まれたことで劇的な変化が起こったことは知らない人が多いのではないだろうか

実は胚珠が子房に包まれることで、花粉が到達するより前から胚を成熟することができるようになったのだ。その結果、花粉が到達してから受精するまでの時間を大幅に短縮できるようになったというわけだ。胚珠が剥き出しの裸子植物は花粉が確実に到達してから受精の準備を始めていたため、花粉が到達してから受精までに一年間もの期間を必要とする。しかし、被子植物は花粉が雌しべについてから早いもので数時間、遅くとも数日中には受精が完了してしまう。

受精が早く進むということは、それだけ世代交代が早くなり進化のスピードが加速するということだ。被子植物は進化のスピードを早めるために最初は木ではなく草として進化をした。そして風で花粉を飛ばす裸子植物とは違い、美しい花びらをもった花々に進化することで虫に花粉を運ばせるようになった。風で花粉を運ぶよりも虫に運んでもらう方が確実なので、更に進化のスピードが加速することになったのだ。

これにより影響を受けたのが地面から生える小さな草花を主食としていた恐竜だった。例えば首・足が短く、頭が下向きについているトリケラトプスは小さな草花を食べていたのだが、被子植物の進化についていけなかったと言われている。どういう事かというと、植物にとって食べられてしまうのは大打撃以外の何者でもないので進化するに伴ってアルカロイドなどの毒成分を身につけた。しかし、被子植物ほど進化のスピードが早くないトリケラトプスは毒を分解できず中毒症状になってしまったという事だ

被子植物の進化も恐竜の衰退の一因だったのかもしれない。

そして植物は段々と複雑な構造に進化してきたが、常に単純な段階の植物より新しい段階の植物の方が最終的には成功しているようだ。

参考文献:稲垣栄洋,「面白くて眠れなくなる植物学」,PHP研究所,(2016)


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