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バナナを腐らせるコツ

普段スーパーで目にするバナナのほとんどは輸入品だと思います。輸入品ということは海外で育てられて船などで運ばれてきたわけですが、実は黄色いバナナは輸入できません。というのも、植物検疫法で農業害虫が寄生しやすい黄色のバナナは輸入が禁止されているのです。なので濃い緑色の全く熟していない状態で陸揚げされます。しかし濃い緑色のバナナなんて店頭で見たことがありませんよね。どうやって成熟させるのでしょうか?

ここで活躍するのが植物ホルモンの一種であるエチレンです。エチレンは果実の成長・老化促進作用があります。このエチレン(エチレンガス)を使って追熟させることで甘く食べごろの黄色のバナナにするのです。エチレンはポリエチレンを構成している有機物でもあり身近な物質ですが、実はリンゴもエチレンガスを出しています。つまりリンゴのそばにバナナを置いておくと早く腐ってしまいます。

そもそもエチレンが果実を成熟・老化させることを発見したのは偶然でした。どういう事かというと、19世紀のヨーロッパの街でガス灯のそばの街路樹が通常より早く落葉してしまう現象が起きました。そこで調べてみたところ、ガスが燃えるときに発生するエチレンガスが原因だったのです。バナナを黄色くしたい時や腐らせたい時はぜひエチレンを活用してみてください。

エチレンには葉や花弁を落とす、発芽の促進や抑制、茎を伸ばしたり太くしたりといった作用もあります。落葉では葉で作られるエチレンが関わっています。

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参考文献:稲垣栄洋,「眠れなくほど面白い 植物の話」,日本文芸社出版,(2019).

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