見出し画像

防衛費の増額は必要なのか?

岸田文雄首相が表明した防衛力強化のための増税方針について「支持する」は19%で「支持しない」が80%を占めた。2023年度から5年間の防衛費を従来の1.5倍超の43兆円に増やす方針は「適切ではない」が58%。中国が台湾に軍事行動を起こし有事となる可能性を「大いに懸念する」「ある程度懸念する」が計89%に上った。

今日のテーマは「防衛費の増額は必要なのか?」です。最初に僕の意見を言っておくと、防衛費の増額は必要だと思います。

なぜなら
・中国-台湾戦争(いわゆる台湾有事)のリスクが高まっているから
・宇宙・サイバー空間の強化が必要だから
・国民の理解を得やすいタイミングが今だから
です。

まず「中国-台湾戦争のリスクが高まっている」という点についてです。前提として、現在の覇権国家であるアメリカと台頭する新興国家である中国の力の差は縮まりつつあり(つまりアメリカの抑止力は弱くなっており)、米軍のインド太平洋司令官や米国家情報長官らが2030年までに中国-台湾戦争が起こると予測しています。

中国と台湾の戦争なんだから日本は関係ないじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、実はそんなことはありません。なぜなら、台湾が攻撃された場合には在日米軍が動く可能性が高く、日本の支援も必ず必要になるからです。

台湾の近くには在韓米軍もいますが、韓国の場合は常に北朝鮮と睨み合っている状況なので簡単に持ち場を離れられないでしょう。また、オーストラリアやヨーロッパは物理的な距離があるので、どうしても支援するのに時間がかかってしまいます。

また、中国が台湾に攻め入る際には、台湾の周りを戦艦などで取り囲む「海上封鎖」が行われると予想されています。海上封鎖は在日米軍の介入阻止や物資補給路の断絶を狙ったものですが、この海上封鎖の範囲に尖閣諸島や与那国島、石垣島、宮古島が入る可能性が高いのです。これらの島には有人島もあり、領土・領海を守るという意味でも、国民を避難させる時間を稼ぐという意味でも中国軍から南方の島々を守る必要があり、防衛設備の充実が必要だと僕は思います。

次に「宇宙・サイバー空間の強化が必要だから」という点についてです。防衛費増額と並んで大きく打ち出されている施策が「反撃能力の保有」、具体的には敵の防空システムの射程外から攻撃できるスタンド・オフ・ミサイルなどの配備ですが、敵を離れた場所から攻撃するには宇宙空間から地上を監視する人工衛星が大きな役割を果たすと思います。もちろん他の国の衛星の動向を把握するためにも自国の人工衛星は必要です。

また、他国が島国の日本に上陸してくる可能性はかなり低いですが、例えば中国-台湾戦争への介入を防ぐためにサイバー攻撃を仕掛けられるという事態は十分にあり得ると思います。そのような事態に備えて、通信システムの冗長化やデマの拡散を防ぐ仕組みづくりが必要になってきます。このように今後の安全保障には「宇宙・サイバー空間」が大きな役割を果たすため、今のうちに強化しておくべきなのです。

最後に「国民の理解を得やすいタイミングが今だから」という点です。みなさんもご存知のようにロシアがウクライナに侵攻し、「世界の警察」とまで呼ばれたアメリカの存在をもってしてもロシアをとめることはできませんでした。

この21世紀に、大国が領土獲得のために隣国に攻め入るなんて、誰が予想していたでしょうか。おそらく日本に住む多くの人がロシアのウクライナ侵攻を受けて、領土防衛に対する危機感が高まっていると思います。つまり今の時期は、防衛費増額のために、国民の理解が最も得やすいタイミングなのです。

防衛費増額の財源をどうするのかという懸念もありますが、財源確保のための手段は必ずしも消費税や所得税、法人税の増税だけではなく、国債の発行や剰余金の活用という選択肢もあります。また、無制限に防衛費を増やすというわけではなく、最終的に目標としているのはGDP比2%と他のNATO加盟国並みなので、極端に国民の負担が大きいというわけではありません。

以上のように、今が防衛費を増額する絶好の機会であり、中国-台湾戦争への備えや、宇宙・サイバー空間の防衛力強化のために防衛費を増額するべきだと僕は思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?