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小説によく似たやつとかブログとかやります(やらせていただく)

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最近の記事

東京記2

先生共の受付を済ませ、我々は新浦安駅から電車に乗りこみ、都内を縦横無尽に駆け回るための都区内フリーパスを購入しに葛西臨海公園駅へと向かった。せっかくなので昨日買ったSuicaに印字してもらった。うれしい フリーパスを片手に握りしめ最初に向かったのは、かの東京タワーである。とは言っても別にタワーを横目に周辺を散策するだけで登ったりしなかったし割愛する。 次に向かったのは新橋。NHKのニュース番組でしきりにインタビュー場所になっているあの駅である。ここも駅の外観を見てから写真を

    • 散文詩「あるいは米」ー

      お前たちは夏が来るとそれまで散々にこきおろしていた冬を切望するようになるが、私は違う。春も夏も秋も、ずっと冬を待っている。そして、いざ冬が来ると、服を脱いで喜び倒すのだ。雪を食い、からっ風を飲む。裸で。人と違うのは、楽しい。 私は冬以外の季節をただ見下している訳では無い。春にも夏にも秋にも、それぞれの良さはある。この3つの季節の中で1番は秋。冬に1番近いから。2番目以下は冬に近い順。お前は冬が好きだろうか。有無を言わせるつもりはない。雪を食え。からっ風を飲め。服は着ることを許

      • 散文詩「身に余る」

        この世に生きる全ての俗悪に それはたとえば 爆音で音楽を鳴らす若いの とか 暑いのと寒いのを不器用に繰り返す 秋 1つの流れ星に集る幾千もの祈り

        • 散文詩「空2」

          瑞々しい草っ原に横たわって 青白い透明な空をみつめる 鮮明に見える 空の血潮

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        • 漢文教師
          3本

        記事

          安直にセックスを匂わせないでください

          ご自由にお書きください←傲慢な 電波字らしいとう 根っこにある根本的なbasis

          安直にセックスを匂わせないでください

          高校の授業で作った詩を共有します!!

          まだ見ぬ子供達へ ゆく人混みに揉まれ ごく小さくなった砂粒のひとつ 胸に空いた穴を無様にも 路傍で曝す猫の命 コンクリートのすきまに ひっそりと身を委ねるたんぽぽの綿毛 相続人のわからない すこし傾いた空き家のすみ 咲いたコスモスの花びらのひとつ 真四角の水槽の中でみんなに見られながら遊泳するつがいのアザラシたち 降りしきる雪に手を赤くしながら 大口をあける2人の子ども 出番を待たず散っていった命たちに向けて ただ 悶々と しみじみと

          高校の授業で作った詩を共有します!!

          生きる

          心も体もブスなので、死す!

          東京記1

          山崎まさよしのセロリが聞こえて僕は、昼下がりの西日射す水洗トイレに汚物が吸い込まれるようなえもいえぬ(えもいえぬ)感覚を覚えながら、25:12から断続的に続いていた細い眠りに別れを告げた。?寝惚けた頭で、人よりも長く伸びた前髪をかきあげる。目やにが溢れた両目を開こうとするのを、カーテンの隙間からもれさす、中国地方のそれよりも気の早い東京の太陽(5:30)がじゃました。 「お前、セロリで起きんなよー」という声が聞こえた。この声は、僕の吹奏楽部時代からの友人、シマエナガ健太郎の

          クソデカトラックには抗えない

          空気抵抗をものともせず、対向車線を大きく揺らしながら推進するクソデカトラック。それはさながら、水面を戦がせる南風

          クソデカトラックには抗えない

          甘い死肉

          その秋晴れは乙といえばそれまでだけれど、 只今のメランコリックな私にはどうにも、余計メランコリックに映るのである。1年における役割を終えた「夏」が、体をこちらに向けたまま、ゆっくりとそっぽを向いているような…

          甘い死肉

          でじ

          眼前は厚い雲が空を覆っている風景だった。落ちてきそうな空の重みを、もしくは既に落ちた後かもしれない。紺色の傘には、とめどなく大粒の雨がとめどなく打ち付け破裂音を、僕の住む町に点在するトタン屋根の建物も同じだった。曇りの日には、ぼくの真上を掠める厚い雲に埋もれて、もしくは溶け込んで消えてしまいたいとか思うが、澄んだ青空にも同じようなことを思うかもしれなかった。

          【上】微炭酸について

          ある日無性に辛ラーメンが食べたくなった私は、柄にもなく近所のスーパーへ足を運んだ。辛ラーメンはそこで問題なく調達することができた(余談だが、辛ラーメンはカップ麺と袋麺で味や食感がかなり異なっていて、どちらにも一定のファンがいる。私は断然カップ派である。鍋で湯を沸かすのが面倒なので) のだが、辛い食べ物と一緒に必要になるのは、その辛さを中和するためのお飲み物である。普段は家にある牛乳がその役割を担っているが、久方ぶりのスーパーでの買い出しに少々気分が踊っていて、高校の友人とのア

          【上】微炭酸について

          小説「シャリ神戸」

          ケツが、冷たいし痛い。都会の人間は冷たいと誰かが言ったが、俺としては真冬の駅の床の方が何倍も冷たいし硬いような気がする。 眠気が振り切れない瞼を擦り、高校の入学祝いで家族に買ってもらったフルメタルの腕時計に視線をやると、時刻は4:34。始発すらまだ出ていない時間に、俺は目を覚ましてしまったようだ。 便宜上、ここで軽く自己紹介を済ませておく。俺は小麦崇(こむぎ たかし)。香川県の県立普通科高校に入学したものの、2年生の時に文化祭実行委員としての仕事でヘマをしたことでみんなから

          小説「シャリ神戸」

          【後編】小説「提出物の添削がめちゃ厳しい先生」

          野村茂子がツチブタをたしなめてから、第二応接室の空気はより静かに、より張り詰めていった。 「私はツチブタを2匹飼っててね、今後ろに隠れてるのが、大きい方の隠鋸(カクノコ)。」 「小さい方は凜々軽(リリカル)、南棟全体を使って放し飼いしてるわ。飼い殺しに近いけどね。」 「ただ2匹とも、あなたたちの首を噛みちぎるくらいわけないのよ」 張り詰めた空気にゆっくりと切り込むように、野村茂子は私達を牽制する様なことを言う。教育者はいつもこうだ。常に俺たちのことを見下した物言いをしやがる

          【後編】小説「提出物の添削がめちゃ厳しい先生」

          【中編】小説「提出物の添削がめちゃ厳しい先生」

          午後の3コマはとてもいつもの様に平常心で受けられるものではなかった。無理やり心を落ち着けようとしても、浜辺に波がうっては引きうっては引きするように、野村茂子の顔が、まるでホットミルクに出来る膜のような奴の顔がちらちらと思い出された。 終礼が終わると同時に、教室に訪れていた束の間の静寂も終わりを迎え、たちまち賑わい出した。秋の終わりの、冬を待っている憂鬱な灰色の空が、私たちを眺めていた。 第二応接室は、現在立ち入りが基本許されていない「南棟」のどこかにある。ちんちん丸出し

          【中編】小説「提出物の添削がめちゃ厳しい先生」

          【前編】小説「提出物の添削がめちゃ厳しい先生」

          8時半から続く一コマ50分怒涛の授業ラッシュをなんとか耐え切って、終業のチャイムが鳴り止むのと同時に高校の廊下はたちまち人で溢れ出した。 「いやーマジで、野村茂子先生授業中何言ってるかわかんねーよなぁ〜」 私が高校に入学してから初めて作った友人である吉村大河(字面だけ見るとごく普通の日本人名のようだがその実、吉村大河と書いてラックレギオン·ダイリヴァーと発音するリンユム人である。なので肌が黒い。彼の出生地であるリンユム共和国は植民地の独立が世界的な大ブームになり始めた当時こそ

          【前編】小説「提出物の添削がめちゃ厳しい先生」