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倒産した不動産屋から130万円回収した話_12

結審の日

横浜の宅建協会で相談員の方と話をしてから一週間ほどで封書が届きました。
また月曜日に調停を開くので出席してくださいとのこと。
ちゃんともらえるのかな?5%を20年というのがトラウマになっています。

当日。横浜にある宅建協会の建物へまたしても午後1時に伺いました。
するとそのままちょっと広い部屋へ通されました。なぜか中は暗くて、座っている人にスポットライトが当たっているように見えました。

座りはこんな位置関係

中へ入ると見覚えのある方が2人、知らない人が1人。
見覚えのあるうち一人は〇〇不動産の担当営業だったSさん。
S「お久しぶりです」ちょっと口がうまく動いていない。
もう一人は債権者集会で頭を下げていた人。高そうなスーツを着ているので多分偉い人。ちらっと目が合っただけで何も言葉を発しない。
見覚えのないもう一人は軽く会釈をする。こちらも会釈のお返し。

前回お話させていただいた相談員の方に図の位置に着席を促されました。
しばらくして年配の女性が2、黒縁メガネの真面目そうな方が3に着席します。
そのタイミングで相談員1の方が口火を切ります。
1「本日はお忙しいところ遠くまでお越しいただきありがとうございます。まずは、○○不動産代表の〇〇さんからお伝えしたいことがあるそうです」
偉「この度は大変申し訳ございませんでした」
そ、それだけかい?!と思っていると、
社「大変申し訳ございませんが、勝手ではありますが私が130万円お支払いいたします」突然立ち上がってこんなことを言い出しました。
は?え?あんた誰?いきなりすごいこと言うなぁ!驚きが隠せません。

社「私は〇〇不動産〇〇店で店長をしていましたが、諸般の事情により○○店を撤退させたと同時に退職いたしまして、✕✕市で不動産屋を開業いたしました。擁壁の構造が図面と違うとか辞めた後に聞いた話ではありますが、私にも責任があると感じましたので、今回出席させていただき謝罪の場を設けて頂きました。まことに申し訳ございませんでした」
そのまま名刺をこちらへ渡しに来ます。
仕事のミスを会社が面倒を見るんじゃなくて、退職した個人に負わせるってなかなかな会社だねぇ。そりゃあこうなっちゃいますよね……
〇〇不動産の偉い人は名刺もくれません。まぁいりませんがw

1「それでは今回当宅建組合は仲裁をせずに当事者同士で解決ということでよろしいでしょうか」
もう完全にきつねに摘ままれた感じです。何のバトルもなく、何の舌戦もなく終了となりました。しかも完全勝利です。
1「それでは田中さんへのお支払いはいつにしますか?」
社「本日持参していませんので、今週の土曜日にウチの事務所でお渡しするということでいかがでしょうか?」急だったのかな?
わ「はい、構いません」
相談員2の方は議事録を書かれています。3の方は完全にマスコットのようになっています。

1「それではこれで終了となります。田中さん、先に退場してください」
軽く全員に会釈して相談員1の方と退場します。
1「いやぁ、あっさり終わってよかったですねぇ」
わ「ありがとうございました」
1「あれ、たぶんですけど供託金を削ると後々この業界での商売に不具合が出るからあの人に(社長)出させることにしたんだろうね。民事再生になったとはいえ、○○不動産の影響力は大きいのでしょうね」
結構古いようなのでおそらくそうなんだろうとは思いますが、この人なんだかんだ言って結構事情通なのかな?

週末土曜日。社長の待つ✕✕不動産へ行きます。
お店に入るとしばらく待たされ、2階の事務所へ通されました。
社「よくいらっしゃいました(普通のお客さんと同じ対応?)。ちゃんと130万円用意したよ」
前回宅建協会でお会いした時よりも、かなり砕けた感じです。
あー、130万円も用意するから向こうの事務所でいいやって思ったけど、これは失敗だな。どんなことがあっても中立の立場の人間がいるところが望ましいな。
社「それと念書書いてもらえるかな?本件において今後一切請求を致しません。他の方に口外いたしません。この2点ね」
やっぱりそう来ると思ったよ。
わ「最初の方はいいですが、2つ目は約束できませんねぇ」
社「え?なんで?」
わ「また宅建協会で話しますか?」
社「あ、じゃあいいや……」
わ「これ1通コピーください」
社「え、あ、ちょっと待って。念書書き直すから」
最初からそんな小細工しなきゃいいのにねぇ……

念書にサインをして2通押印します。普通にちゃんと書こうよね。
「地盤改良費用について、今後一切請求を致しません」だけいいのにね。
嫁さんがお金を数えて確かに130万円ありました。
頂くものを頂いたら、すぐ撤退です。
社「一つ質問があるのですが、宅建協会で調停起こすって知っていたんですか?」
わ「いいえ、上物を立ててくれた建築会社さんの営業さんに伺いました」
社「そうか、なるほどね……」

もう用はないので帰ります。
嫁「帰りに何食べる?」

私の周りには優秀な人たちがいっぱいいるので幸せです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。



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