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【フォト旅#25】運休中の木次線はもはや自分のためだけのバスツアーだった

島根県と広島県を結ぶ「木次線」。
本数の少ない区間では1日わずか3往復と、
「超」が2,3個つくレベルのローカル線です。

しかもこの木次線、ほぼ毎年冬に長期運休することで有名で、
2021-2022年の冬も無事運休。

運休期間中は代行バスが出るので利便性は変わらないけど、
いわゆる「列車に乗りたい」人には避けたい時期。

自分も少し迷いましたが、
・長期運休するぐらいの雪深い場所に行ってみたい
・代行バスに乗れる方が体験としてはレアでは?
・線路に平行する道路を走るから、実質木次線

…というわけで、あえて運休中の木次線に
わざわざ訪問してきました。



1.木次線(普通のローカル線編)

「き♡」駅。文字通り木次線の中心となる駅。
指宿は「イーブイすき」ということでイーブイマンホールを各地に置いていたりしますが、木次は特にそういうコラボはないみたいです。


ここから備後落合行きの列車に乗って、
ざっくり言うと秘境方面へと向かっていきます。

ちなみに木次駅から秘境方面の列車は、すでに
「1本逃すと次は2時間後」とかいう世界です。
それでも列車には中学生2人とおじさまおばさま1人ずつ、
自分を合わせて計5人が乗車しました。


木次駅は雪が融けてしまっていたけれど、
山方面にズンズンと向かっていると、次第に車窓は雪景色。

「スマイルガーデン」と名のつくただの雪斜面。
冬以外は花が咲いていたりするんだろうか。

駅を2つほど過ぎると、同乗していた車掌さんが
乗客一人ひとりに行き先を尋ねていきます。

「どちらまで行かれますか?」
「備後落合まで」
「そこから乗り換えされますか?」
「あ、はい。新見方面の芸備線に乗り換えます」

乗り換えのことまで聞かれるんですね。
バスで降りた先の列車の接続も必要だし、当たり前か。



2.乗り換えの出雲横田駅

1時間ほどかけて、出雲横田駅に到着。
ここから秘境方面は運休しているので、バスに乗り換えます。
「駅の前までバスが来るからお待ちください」とのこと。

…あれだな(察し)

気づけば辺りはすっかり雪まみれ。
非雪国の民にとってはテンションが上がる光景ですね。


「鉄道代行」と書かれたバスが入ってきました。
行き先表示を見ると、運休中の全駅を通っていくみたい。
律儀だなあ……。



3.「代行バス」という名のバスツアー?

出雲坂根駅

定刻になり、バスは出雲横田駅を出発。

ちなみにこのバスに乗っている人の内訳ですが、
・運転手
・車掌?
・乗客(自分1名のみ)
でした。

18きっぷシーズンにはオタクが集結し、
『通勤列車より混む』『積み残す』と噂される木次線。
「平日の」「18きっぷシーズン外」のリアルな姿がこれです。


10分弱ほどで、最初の駅の八川駅へ。

バスを降りた車掌さんが駅舎に歩いていき、
待合室(駅舎)の中、トイレの中、駅のホーム側など
乗客がいないかをとても念入りに確認していきます。

というのも、代行バス区間の出雲横田~備後落合は、
冒頭での超超ローカル線が本性を現す「1日3往復」の区間。

万が一誰かが乗るつもりでいて、
ちょうどこのタイミングでトイレに行ってたりして
車掌さんに見逃されたりするともう悲惨です。

故のこの念の入れよう。

…とはいえ、こんな秘境の途中駅に利用者がいるわけもなく、
特に誰も乗せることのないまま、バスは駅を発車。


さらに10分ほどバスに揺られ、次の出雲坂根駅に到着。

バスが停まり、車掌さんが自分のもとへ歩いてきます。
「13:50の発車ですので、それまでお待ちください」
「バスは降りても大丈夫ですか?」
「はい。時間までには戻ってきてください」

今の時刻は13:31。
なんと出発まで20分近くあります。

というわけで、駅舎を通ってホームの方へ。

駅舎の扉を開けてホームに出ると、耳がキーンとするほどの無音。

近くは車通りもほとんどなく、人の気配も自分以外にはなし。
さらには積もった雪が音を吸い込んでしまうため、
周囲は見事なまでの静寂でした。

少し移動した先で眺めるホーム。
写真のちょうど右下から左上にかけて線路が通っている…はずですが、すっかり雪に覆われてしまって見えません。

踏切があるであろう場所もこんな感じ。
前に訪問した九頭竜線にも雪に埋もれた踏切はありましたが、あっちは線路は見えていたので、木次線の方がレベルは上です(?)


駅前のポスト。写真だと見づらいんですが、ポストに至る道が
かき分けられて道になっていました。

おそらく郵便配達の人がポストを開けるための道でしょう。
こんな場所へもはるばる来ては中身を確認する。
頭が下がる思いです。


~備後落合駅

雪積もる駅を存分に堪能して、余裕をもってバスに戻ります。
まあ、車掌さんにしっかり認知されているので戻るのが遅れても
先に出発はされないはずですが、心象最悪になるので慎みます。

出雲坂根駅を出てしばらく走ると、この辺りで有名な
奥出雲おろちループという道を通ります。

こんな感じで、文字通り山を登る道がループ状になっている場所。
列車に乗っているとこのループが見下ろせるらしいのですが、
今回は車なので、ループを実際に通ることになります。

バス車窓からの風景。
手前の道が1周目、奥の赤い橋が2周目ですね。
バスに乗りながらでも外観が結構ちゃんと見られて壮観でした。


ループを走り終えると、次の駅の三井野原駅に到着。

車掌さん曰く「14:09分の発車となります(現在13:57)」
…というわけで、ここでバスツアー2回目の観光時間です(語弊)

待合室を抜けてホームの方へ。
線路の上は当然のように雪溜まりで、形跡すら見えません。

防水性のアウター着てこの雪にダイブしたら楽しそうですね。
でも線路内立ち入りになるのかな?

あまり遠くへ行くと時間がヤバそうなので、今回は早めにバスへ。
そしてしばらく走り…、

運休中の路線の踏切を、その路線の代行バスが
ちゃんと踏切前一時停止を律儀にしながら通り、

木次線の終点、備後落合駅に到着です。

ちなみに全体を通して、ほぼ時刻表通りでした。
列車でもバスでも時間が変わらないというアレ……。



まとめ

木次線代行バス、物珍しさで乗ることを決めましたが、
途中駅で下りられたり、雪に埋もれる駅を見られたりと
観光という意味でも普通に楽しかったですね。

乗り鉄の人には運休は勘弁してほしいものだとは思いますが、
そうでない人にはむしろ運休中の時期こそオススメしたいレベルでした。

あと、運休時期のバスがどんな感じなのか、
Twitterとかで検索しても案外出てこなくて驚いたので、
この記事も雰囲気の参考になればと思ってたりもします。

おわり。

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