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「香港 ほんこ〜ん」vol.1(〜2019/5まで)

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中国と違い、マスメディアがきちんと追えていない香港社会事情。わたしが2019年5月末までに配信した香港事情関連の記事をマガジン形式でまとめておきます。以降は1年に1冊の形で別途マ… もっと読む
日本のマスメディアで香港に常駐記者を置いているメディアは少数です。また、記者を常駐させているメディ… もっと詳しく
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#中国政府

211231 「ダイヤモンド・オンライン」寄稿:中国が望む「正しい選挙」とは?香港選挙期間中の摩訶不思議なアレコレ

12月19日に行われ、過去最低の投票率となった、香港の最高議決機関立法会議員選挙。有権者になるにはまず有権者登録が必要な香港で、有権者数は過去最大の477万人を集めながら、過去最低の投票率というのはつまり、明らかに市民による「ボイコット」でした。市民の気持ちを二重三重に萎えさせた政府や親中派のあの手この手をまとめました。

210806 「ダイヤモンド・オンライン」寄稿《「愛国」圧力強まる香港のいま、民主派区議が200人以上辞職の異常事態 香港の選挙制度はどう変わったのか》

香港はこれから下半期、「選挙イヤー」に入ります。10月に選挙委員会、12月に立法会議員、そして来年3月には行政長官の選挙が行われます。

「立法会」は最高議決機関、「行政長官」はトップ行政担当者、じゃあ選挙委員会ってナニ…? 

そうなんです、そこがミソなんです。そして、今後の香港の選挙を牛耳る新たな鍵ともなっています。どこからどうみても民主選挙から大きく後退してしまった今後の香港選挙の行方を、こ

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200623 「現代ビジネス」寄稿:《中国政府が進める香港への「恐怖支配」…狡猾なやり口が見えてきた》

週末必死に書きました。

実は先週半ばに一旦書き上げて、ほぼ配信する準備まで出来ていたところに新華社が国家安全維持法の内容を「かいつまんで」報道。甘い予想もしていた(反省)ところもあり、がっつり構成を変えて書き直しました。

個人的には「くるぞ、やるぞ」の後に「かいつまんで」報道がきた、というのは予想通りであり、中国はいっぱい(自分的には)伏線を敷いたんだろうな、というのがよく見える「公開」の仕方

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【ぶんぶくちゃいな】梁文道講座「北京の目に映る香港」その2

(「北京の目に映る香港」その1からの続きです)

●香港民主活動家の「遺言」梁文道:ぼくがここで皆さんにお話したいのは、「北京の目に映る香港」とはどういう意味か、ということです。

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【ぶんぶくちゃいな】梁文道講座「北京の目に映る香港」その1

香港の片隅にある小さなコーヒーショップで毎月1回、非常に興味深い文化サロンが開かれている。この「ぶんぶくちゃいな」でも昨年インタビューを掲載した周保松・香港中文大学教授が運営する「Brew Note 文化サロン」(「Brew Note」は会場になっているカフェの名前)が主催する、文化教養の向上や思考の刺激を目指す講座である。

周教授にはわたしも昨年、大きく揺れている「香港人」のアイデンティティに

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【ぶんぶくちゃいな】周保松・香港中文大学教授「いまは、何をもって香港人と呼ぶのかを考えるべきときだ」

6月初め、正確に言えば、天安門事件記念日の6月4日当日、香港で周保松・香港中文大学教授と面談することができた。周教授は2014年に世界中の目を香港に集めた雨傘運動で、学生に理論的、精神的支援を送り続けた。そして最終的に運動が警察によって強制的に路上から排除されるとき、道路に座り込んで学生たちとともに逮捕される道を選んだ。

現在は、大学での授業のかたわら、メディア、オンラインを通じて政治に対する思

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【ぶんぶくちゃいな】「香港衆志」:政治青年たちの青春残酷物語

月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」の「すり替えられた、中国政権下の『香港』『民主』『選挙』」で、3月に行われる香港立法会選挙に政党「香港衆志」から立候補した周庭さんが、その参選資格を剥奪されたことを取り上げた。香港の若者たちを中心に盛り上がる民主化運動にとって大打撃ともいえる事件となっている。

2月12日に香港のネットメディア「端伝媒」が「香港衆志」のメンバーたちに詳細なインタビューを行い、最新の状

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【ぶんぶくちゃいな】民主派も親中派も敗北した香港行政長官選挙

3月26日の香港行政特区長官選挙で、現在の梁振英行政長官のもとで今年1月までナンバー2の政務官を務めていた林鄭月娥氏(女性)が当選した。

彼女は政務官辞職直前に、中国北京にある故宮とその香港分館を建設するという合意書を交わしたことを突然発表し、それまで何も知らされていなかった香港社会を驚かせた。この性急な合意書の発表は、同氏の行政長官職立候補を支持する中国中央政府(以下、中国政府)から、順風満帆

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【ぶんぶくちゃいな】香港立法会選挙:ポケモン世代の大勝利

【ぶんぶくちゃいな】香港立法会選挙:ポケモン世代の大勝利

先週日曜日(4日)、香港で4年に1度行われる立法会議員選挙があり、市民の投票の結果、すでに報じられている通り、親中派政党から16人、民主派政党及び独立系民主派から19人が当選した。

香港の主権返還から来年で20年を迎えるが、今回はそれを前に大変興味深い変化が見られる選挙だった。その変化をキーワードでご紹介する。

●基本概念:香港立法会議員の選出方法念のため、まず香港の立法会の構成状況について簡

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