【ぶんぶくちゃいな】都市と故郷:戻れない現実

中国では春節大晦日の15日から正式に始まった1週間の春節休暇が明けて、22日頃から少しずつ日常の生活への復帰が始まった。とはいえ、有給休暇を合わせて休日を満喫する人も増えてきており、都会にいつもの活気が戻ってくるのは26日の週明けになりそうだ。

ネットでも「日常復帰」に合わせて、春節見聞録のような記事が上がり始めた。それらには都会に戻ってきてやっと「仲間内でできる、故郷ではできない話」のような、都会住民同士のひそひそ話といった風情もあり、「やっぱり故郷が一番!」やお国自慢に明け暮れる、かつての中国とは違うメンタリティが生まれているのを感じる。

そうやって住み慣れた都会の人たちに向けて春節体験を語る記事の多くがまず、「我老家在~」(わたしの故郷は〜)で始まる。そんな「わたしの故郷」話題から拾ってみた、今の春節風景をいくつか拾ってみた。

●故郷の伝統に面食らう都会人

今回、いつも眺めているニュースやコラムサイトで流れてきた記事のうち、特に多いなと感じたのが「親戚がうざい」というテーマである。

結婚したか? 子どもは生まれたか? 恋人はいるのか? 生むなら男の子だぞ! 給料はいくらだ? ボーナスは? 仕事はみつかったか、やっぱり公務員がいいぞ!――中国人にはプライバシーの概念がない。
結婚の話になるとひたすら「押し付け」る。酒の席ではひたすら「飲め」とすすめられる。結婚を急かしたり、酒を強要したり、どれも自分の意志を他人に押し付けたものばかりだ。
ぼくの故郷の農村では、ほとんどの人が似たような食物を贈り物として持ってくる。それを受け取れば多すぎる。他人にあげるのは失礼だ。拒絶すればしたで小さな戦争が起こる。中国式のもてなしや贈り物、食事の席はどれもこれも無理強いだらけだ。
故郷の隣村では昔から、「客が酔っぱらわないのは、もてなしが足りないからだ」と言われている。

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