【ぶんぶくちゃいな】ファーウェイCEO、2万字記録に見た「本音」

グーグルが「華為 Huawei」(以下、「ファーウェイ」)製スマホのAndroidサポートを中止するらしい――5月19日に流れたこのニュースは衝撃的だった。「米国政府による『ファーウェイ潰し』はここまで来たか」という思いを抱いたのはわたし一人だけではなかったはずだ。

今さらわたしごときが説明することではないが、スマートフォン(スマホ)のOSについて簡単に説明すると、現時点ではグーグルが提供する「Android」(以下、アンドロイド)とアップルが提供する「iOS」という2つのオペレーションシステム(OS)が主に利用されている。コンピュータと同じくスマホもOSなしではその機能が使えないため、故障などでOSが機能せず無用の長物となったスマホを「文鎮」と形容する。

そのうち、iOSはアップルが生産しているiPhone用のみ、他社製品は一切利用できない。なのでその他ほとんどのスマホはアンドロイドOSを利用している。

おおまかに分類すると以上のようになるが、実際には前述2つのOSの他に、マイクロソフトが開発したスマホOSやUbuntuと呼ばれるOSも一部で利用されている。さらに特筆しておきたいのは、2010年にグーグルが実質的に撤退してしまった中国である。そこでは、iPhone以外のスマホはアンドロイドが採用する「オープンソース」というコードを利用して開発された、「アンドロイド+α」(あるいは野良アンドロイド? 以上はわたしの勝手な造語である、念のため)とでも呼べそうなOSがそれぞれの提供者から独自の名前をつけられて流通している。詳しい説明はわたしが説明するよりもネットを探せば出てくるので割愛する。ここでは以上を「スマホOSの現状」としてまずご理解いただきたい。

日本でも近年ユーザーが激増しているファーウェイスマホは当然、前述のような状況にある中国以外ではアンドロイドOSを採用しており、他のメーカーからファーウェイスマホに乗り換えた人たちはこれまで、スマホ本体の違いに馴染んでさえしまえばそれまで通りのサービスをほぼシームレスに利用できていたわけだ。

なのに、そのアンドロイドがファーウェイで使えなくなるというのだから、ファーウェイユーザー、そして将来乗り換えを考えていた潜在ユーザーにとってかなりの衝撃である。

現実にはグーグルは利用中のファーウェイへのサービス供給をすぐさま中止するわけではなく、これまで通り利用できると説明している。またファーウェイ側もすぐさま、「当社はユーザーや業界にとって有益なAndroidエコシステムを引き続き発展させて参ります」なる声明を出している。

つまり、現在は使うことができてもグーグルは今後、「アップデート」ができなくなるという形でファーウェイから手を退く。その決断を受けてファーウェイ側も、今後は中国国内で現在とっているのと同じように独自「アンドロイド+α」OSを提供する、と言っているわけだ。

ファーウェイがいう独自OSが、中国国内で使われているそれと同じくグーグルやツイッター、フェイスブックにアクセスできないとは思えないものの、必要なアプリをダウンロードしたりアップデートする際に、ユーザーはこれまで通り「グーグルストア」ではなく、その独自OSが準備した別のアプリストアからダウンロードしなければならなくなる。そして問題はその独自アプリストアに、ユーザーがほしいアプリが揃うかどうかも問題になる(現時点でもiPhoneにあってアンドロイドにはないアプリも存在するのと同じで、それはアプリ開発提供側の一存にかかっている)。

ここまで読んだだけでその「面倒臭さ」を感じることができる。グーグルのサービス停止はつまり、ほぼ「アンドロイドか、iPhone(iOS)か」の二択しか体験したことのない外国人ユーザーに新たな関門になる。

そしてそれはファーウェイにとってユーザー離れは避けられない状況に追い込まれたことを意味するのである。

22日にはグーグルに続き、英国の半導体設計企業「arm」もファーウェイとの取引中止を発表し、さらには日本のパナソニックまで取引中止声明を発表した…

●企業広報の「妙」

ここから先は

10,993字

¥ 300

このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。