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【ぶんぶくちゃいな・期間限定全文無料公開】ポッドキャスト「不明白播客」:「白紙運動は終わりじゃない、始まりなんだ」(後編)

今週は、2023年12月に配信した、ポッドキャスト「不明白播客」の書き起こし翻訳「白紙運動は終わりじゃない、始まりなんだ」の後編をお送りする。

今回のゲストも、2022年12月のコロナゼロ政策撤廃のきっかけとなったとされる、11月末のデモ活動「白紙運動」の際に、中国のネットにアップされたとたん次々と消されていく書き込みを拾い上げたり、直接自分に届けられる書き込みをツイッターに流し続けたアカウント「李老師不是ニィ老師」(李先生はあんたの先生じゃない/「ニィ」は人偏に「尓」)を運営する李纓さん。前編では白紙運動前後になぜ彼がツイッターで情報ハブを演じたのか、そしてアカウントが大きく注目されて中国からも噂を聞きつけて多くの人たちが壁越え(当局のネットブロックを乗り越えるツールを使うこと)してツイッターにやってくるようになった結果、彼の身に起きたことなどが語られていた。

今回は、白紙運動自体からちょっと離れ、彼の行動の基礎となった「国を愛するということ」や、自分自身の将来、そして中国を理解することなどについて詳しい話が続く。

一人の人気ネットインフルエンサーの話としてだけではなく、海外暮らしで「国内の人よりもラッキー」という自分が置かれた立場、そして自分の未来のこと、さらにはなぜそのインフルエンサーとしての役割を演じ続けているのかについて、聞き手の袁莉・ニューヨーク・タイムズ記者の質問に答えている。インフルエンサーというよりも、一人の理性的な国を愛する中国人の心の声として読むと、とても親近感を覚えることだろう。

中国語という関係で、李さんや袁さんの日頃の発言に触れることができない方にも、ぜひこの書き起こしを通じて、理性的な中国の若者はいったい何を考えているのか。海外にあって祖国をいかに見ているのか。そしてその姿勢や立ち位置は我われが中国という国を真剣に考えるときの参考に――といった視点で読むと、得るものは大きいはずである。

前編に比べてちょっと長いが、じっくりと読んでいただきたい内容となっている。そして、最後に「不明白播客」恒例のゲストお薦め本のご紹介があるので、そこもぜひ目を通していただきたい。

なお、いつものように、文中[]で示した部分は筆者による補足及び注釈となる。注釈番号は前編から続いたもので、前編でご紹介した一部用語についてはその番号を引用して再掲した。


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