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《止まらぬ中国ネット2強 そろって時価総額40兆円超え アリババとテンセント》(日経新聞)

「止まらぬ中国ネット2強 そろって時価総額40兆円超え アリババとテンセント」(日本経済新聞)

クソ頭くるなぁ、日経のゴミ記事。

「日本企業のご機嫌取り」と化した日経新聞なので、今更驚かないが、相変わらずの記者の狭い視点での「結論ありき」の論調。

最大の理由は中国政府にある。政府は事実上、ネット市場から外国企業を締め出しており、両社はそれを独占できる。斬新なアイデアやサービスで勝負しなくても「それぞれの強みを伸ばせば、自然と業績が拡大する」(証券会社幹部)好循環に入っている。

→ここからこの記事の「本論」ですね。「斬新なアイディアやサービスで勝負しなくても」? アリババはクレジットカードも普及していなかった中国市場で信用とペイメントを組み合わせて土台とした。テンセントも「政府に囲い込まれたマスメディア」のスキを突く、個人発信のセルフメディアの場を作った。合わせてこの2社は、国有銀行が第3者ペイメント対策として課した銀行口座からの引き出し手数料をぜんぶ自分たちでかぶっている。「お国がいうから」とすぐにぽんぽこ消費者に負担させるどこぞの国の企業とはまったく違う腰のすわりようだ。それでも「斬新なアイディアやサービスで勝負しなくても」? どこ見ていってんだ、それ日本の企業に言ってみ?

ともに自前にはこだわらず、次々と優良なベンチャーに出資や買収をしてサービスを上乗せしている。中核となる技術などを除き無駄な開発の手間をかけたりはしない。

→日経さん、あなた、テンセントとアリババがどんだけインキュベーターとしてスタートアップを支えているかご存知? 「無駄な開発の手間をかけたりはしない」というけれど、テンセントとアリババの周りにどれだけの中小企業が集まって食わせてもらっているか知ってるか? それでいて「無駄な手間をかけない」というのか? 日本のスタートアップがどれだけ、業界先行者の融資を待ち望んでるかご存知か? 

海外戦略も似ている。経済的につながりの深い東南アジア以外にほぼ関心がない。中国の14億人に東南アジアの6億人を加えれば20億人の経済圏となる。「無理して5億人の欧州や3億人の米国を攻める必要性はない」と、テンセント幹部はかつて語っている。

→「経済的につながりの深い」ところに投資する、あるいは先に進出することの何が悪いのか? 日本企業はどんだけ「経済的につながりが深」くない地域に投資してるのでしょうか? つか、つながりないのに投資すべきって論調、チャリティ推進ですか?

さらに両社の追い風となっているのが、6月1日施行のインターネット安全法だ。世界の50を超える団体が中国政府に「重大な懸念がある」と事前に意見書を提出し、施行の延期も求めたが、聞き入れられなかった。

→これも誤読。つい先日、テンセントも含めて手入れ受けてる(中国語記事:http://bit.ly/2v03hUe )。記者の勉強不足。公開情報でさえ拾えてない執筆記者は、どこまで真剣に中国のIT業界の動きを注視出来ているのか? 

守られた中国のネット市場という特殊な環境の下で、2強の勢いは当面止められそうにない。

アリババの収支報告の記事の際にもコメントしたが、彼らのサービスを使うことによって庶民は面倒くさい国との折衝から逃れられる。だからこそ今や水道代から電気代、家賃まで銀行ではなくてWeChatやアリペイで支払っているんですよ。その分、企業側が政府からの規制を全部かぶっている。日本企業のように「政府が」「お国が」「役所が」ですぐにユーザーに転嫁しない、それが彼らのサービス。そうすることで庶民がついてくることを知っているから。日本国内ですらそういう姿勢をもてない日本企業が中国に入ってこれがやれるとは思えない。

中国の批判をするなとは言わない。わたしだってこの週末は中国政府批判の原稿を3本ほど書く予定だ。中国が政策的に閉鎖的な環境を敷いていることも事実。わたしもグーグルの中国市場撤退時には、中国のITプロフェッショナルの力を借りて、その舞台裏を紹介した。独自ネタを持っているなら、それを書くなとも言わない。

だが書くなら、きちんと調べ上げた上で書け。頭でっかちで感情最優先で情報を都合よく、中途半端に読み解き、日本企業にとって都合の悪いことは決して書かないという姿勢から一歩も動かず、市場シェアを笠に“他者”を批判する日経は、結局中国の政府系メディアと変わりないレベルだ。鎖国してんのは日経の脳みそも同じ。恥を知れ。


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