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『薬屋』が好きすぎる

『薬屋のひとりごと』が好きすぎて、小説、二種類の漫画、アニメと、世に出ているものは短期間でコンプリートして、ついに小説版イラストの画集まで買ってしまった。

そんな私は大人も大人、平均的なファン層の干支二回り分ぐらいは軽く上をいく大大人(おおおとな)である。
世の中には胸キュンを求めて少年少女漫画を読む層が一定数いる。しかし流石に大大人ともなると定番のむずキュン物に共感する情緒は持ち合わせていない。可愛いな〜、懐かしいな〜、うふ。とか思うのが関の山である。

さあ、そこで『薬屋』の魅力だ。
それは主人公が乙女度ゼロなところだと思う。ちょっと厄介な生い立ちで花街育ちの彼女は、色事やら男女の情やらをむしろ愚かな事と思っている節のある心理的不感症少女だ。そんな彼女を好きになる傾国と誉の高い麗人は、見た目のキラキラ感にもかかわらず、中身は気の毒なほど朴訥で実直な男。彼にかかわっていくうちに、感情を封印して生きてきた少女が少しずつ自分の心を発見していく。そんな成長物語に、大人も心打たれるのである。

ミステリーとしてはストーリー構成が緻密で、登場人物がいちいち魅力的で個性的。架空の歴史モノだが、なかなかのスペクタクル大巨編。メディアミックスとしても成功していて、それぞれ原作を反芻した上で再構築されているのが見てとれて、上手いなあと膝をうつ出来栄えだ。

まだ原作も完結しておらず、あれを全て漫画化するとなるとものすごい号数になるし、まだまだお小遣いの予算キープに気が抜けない。大大人にとっても大人買いは痛手なのだ。

がんばろう。

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