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どこか遠くに

僕は、もう耐えられなくなってしまった。

何もかも嫌になって、逃げ出した。

どこか遠くに。
僕のことを誰も知らない、どこか遠くまで逃げてきた。

そこで僕は、新しい人生を送った。

決して裕福ではないし、いつでも欲しいものが買えるわけでもない。
いつもおいしいスイーツが食べられるわけでもないし、豪華なレストランにだってそうそう行けない。

それでも、信頼できる友人に恵まれ、心から愛せる恋人に出逢い、幸せな毎日を送った。

「あの時、逃げ出していなければ、どんな人生を送っていたのだろう。」

たびたび考えることだ。

きっといい会社に就職をして、それなりの稼ぎがあって、今よりはいい生活ができたかもしれない。

でもそれは必ずしも幸せとは限らない。

友人は失ったかもしれない。
心から愛せる恋人には出会えなかったかもしれない。

そんなことを考えて、結局は今ある幸せを噛みしめるんだ。

でも、それでいい。
今あるものしか大切にできない。

あの時逃げ出したのだって、正解も不正解もなくて、ただ「今」という結果があるだけだ。
結果と呼べるのかどうかもわからないけれど、確実に自分の足と選択でたどり着いたんだ。
これでいい。

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そんな夢を見るのももうここまでで、明日からまた変わらない毎日。

どこか遠くに行きたいなぁ。

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