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おかげさま。

皆さんは、『茶道』と聞くと、何を想像しますか?
おそらく、茶道を習ったことがある方も、ない方も、真っ先に「抹茶」や「お点前(お茶を点てる作法・所作)」を想像する方が多いんじゃないでしょうか。『茶道』は「お茶の道」で、お茶やお点前あってのものなので、当然だと思います。
でも、そのお茶を点てるための環境は、ポンと現れるものではなく、”誰か”が準備や片付けをしています。
茶道では、こういった準備や片付けなど裏方の仕事のことを「陰の仕事」とか「水屋仕事」と言います。

「陰の仕事」「水屋仕事」は、やることが多い上に、一つ一つが繊細で地味な作業です。
お客様が来るまでに、お茶室やお庭の掃除をし、道具を洗い、炭で火をおこして釜にお湯を沸かし、道具を並べたり飾ったりして、お茶室を整えていきます。そしてお客様が帰った後は、使った道具を水やお湯で丁寧に洗い、釜を火にかけて乾かしてから、炭の始末をし、道具がしっかり乾いたら今度は仕舞っていきます。
上に挙げたものは、「水屋仕事」のほんの一部を簡潔に書き出したもので、実際はもっとたくさんの準備や片付けを、丁寧に且つ手際良く行わなければいけません。

私はまだ茶道を習い始めたペーペーなので、準備や片付けに関われても、簡単なことしかできません。「水屋仕事」の大半は先生がやってくださっています。
先生曰く、お稽古やお茶会がある日は、早朝から準備をはじめ、片付けは夜遅くまでかかり、道具が乾かなければ翌朝起きた後で片付けを再開することもあるそうです。
一度、先生に、休日にまでそんな疲れるようなことをして大変じゃないのか伺ったことがありました。とても大変だそうです。しかし先生は、「大変だけど、その奥に楽しさがあるから続けちゃうのね。」と笑って仰っていました。先生はその後、こんなお話もしてくださいました。
お茶室を綺麗に掃除したり、道具を丁寧に飾ったり片付けたりするのには、お茶室や道具を傷めないためという理由があります。では、そもそも、何故お茶室や道具が悪くならないように気を遣うのかというと、いらして下さった方をもてなしたいという気持ちがあるからだそうです。
そのお話を伺ってから、先生のもてなしの気持ちを無碍にしたくないという想いや、お稽古の場を整えてくださっている先生への謝意や敬意が湧き、それまで以上に心を込めてお点前をするようになりました。

茶道に限らず、陰の努力や苦労というのはどこにでもあるものだと思います。
そういった陰の仕事への感謝の気持ちを表す、「おかげさま」という言葉があります。もともとは仏教用語で、神仏から加護や助けを意味する言葉だそうです。
振り返ってみると、私がウォームハートで働いてきた10年間でも、たくさん陰で助けてくれる人たちがいました。私が急に休んだことで激務になってしまっても文句も言わずに頑張ってくれたり、人知れず事務所の掃除やお菓子の補充をしてくれていたり、ミスのフォローをしてくれたり、話を聞いてくれたり…「おかげさま」で、私はここまで頑張れてきたのです。

ウォームハートも「おかげさま」で20周年を迎えることができました。
陰で支えてくれる方たちへの感謝を忘れないウォームハートの考え方はとても素敵だし、これからも大事にしていきたいです。そして、自分自身も、陰の仕事を楽しめるような人間でありたいなと思います。

(上條)

【今月の一言】
みんな「おかげさん」で成り立ってるんです
(相田みつを)

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