【PTA回想録(4)】副会長としての日々(2)

(前回)【PTA回想録(3)】副会長としての日々(1) より続く.

「【PTA回想録(3)】副会長としての日々(1)」でもお話ししましたが,私の副会長としての一年間は,それほど大きな役割もなく,それゆえ負担もほとんどありませんでした.ただ,印象深かった出来事がいくつかあったので,そのことを振り返っておきたいと思います.

まず,一つ目は,「会議」です.私は今の仕事について20年が経ちましたが,会議とは「組織が実施することを皆さんに提案し,決定する」ために開かれるものと理解していました.ですから,自分たちの「やること」は,実施の責任を負う組織の「議決」があって,初めて正当に実施できることが、私の体には刷り込まれています.仕事の中では,よほど急ぐことでなければ,行事や活動の実施時期と会議の開催時期から逆算して,準備や話し合いを始めることが一般的です.「この時期にやるから,この会議のタイミングで諮って,決めて...」などと考えます.そして,会議で審議する際には,「何を決めるのか」を明確にして,資料を整えて臨みます.

私は副会長になって,PTAの会議に初めて出席したのですが,正直言って,この「何を議論して,何を決めねばならないのか」という点が,よくわからないと感じることが多いなぁ,と思っていました.そして,「仕事している人には,この会議はつらいだろうなぁ...」とも.でも,よくよく考えてみたら,小学校の保護者はだいたい30代後半~40代前半ということもあり,仕事していても会議なんて自分で開いたことのない方のほうが多いのです.もしかしたら,職場での業務引き継ぎくらいしか経験したことのない方も少なくないでしょう.そもそもうまくできることが「まれ」なのです.そうとわかれば,「自分がどこかのタイミングで『会議のやり方』をやって見せて,実際に経験してもらえば,執行部で汗をかいている大人の皆さんの役に立てるよなぁ」,なんて思っていたことを思い出します.

そしてもう一つの印象深い出来事は,「PTAのあり方」について,保護者を対象としたアンケートを実施したことです.このアンケートは,実施することがあらかた決まった段階で初めて話を聞かされたこともあって,混乱を避けるために、私が意見を伝えることは遠慮した方がよいな,と思い,事態を静観していました.ただ,自分たちの「今後の見通し」や「方策の腹案」なしにアンケートを実施することの危うさに,ヒヤヒヤして見ていたことを思い出します.400近いご家庭の保護者の皆さんの理解と協力があってこそのPTA活動なのですが,個々のご事情も異なりますし,お考えも千差万別です.保護者の皆さんの意向を知ったうえで,持続可能な運営を実現させることは,当然必要なことです.ただ,PTAという会は保護者の都合だけで成立しているわけではないので,運営する側には「預かった『公器』としてのPTAを壊さない」責任が発生します.「覆水盆に返らず」という言葉をかみしめつつ,「急がば回れ」と肝に銘じて,課題を一つ一つ丁寧に解決し,一人ひとりの「PTA暮らし」の中で実質的な改善(実質的な負担および負担感の軽減,に置き換えてもよいです)を実現させることが一番大切,と考えていたことを思い出します.

わが子の学校のケースでは,もともとPTA活動がスリム化されていたこともあり,役員経験者を中心に「思ったほどの負担ではなかった」という意見も多く,その後急進的な改革の動きにはなりませんでした.PTAを知れば知るほど「学校ごとの前提条件の違い」が大きく,他校の実践例をそのまま持ち込んでも成算が立たないことの方が多いと感じるので,そのときの判断は正しかったと思っています.

(次回)【PTA回想録(5)】副会長としての日々(3) へ続く.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?