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ビートルズの新曲『Now And Then』&シン赤青盤について語る

ビートルズの27年ぶりの新曲「Now And Then」が11月3日に発表された。
思えば自分は、アンソロジープロジェクトのときはまだ幼少期でビートルズの゛ビ”も知らないクレヨンしんちゃんが大好きな子供だったので、新曲として発表されたFree as a birdやReal loveはリアルタイムで聴いて感動を味わうということは叶わなかった。

それから何年か経ち、中学の英語の授業でビートルズを初めて知り、そこで先生がラジカセで聴かせてくれた「愛こそはすべて」のジョン・レノンの歌声に瞬間的に惹かれた。近所に住んでいたNさんというビートルズ好きの方からそれ関連のビデオやアルバムを貸していただいたことでさらに彼らの魅了にハマり、そこからビートルズ沼に浸ることになり、それに対して一切薄れることなく今に至る。

もう自分がリアルタイムでビートルズの新曲を聴くことはないだろうと思っていた。そしてNow And Thenの存在を知ったのは10年ぐらい前のこと。もうジョージもこの世にいないのでこのままお蔵入りなんだろうなとも思っていた。
それが今年の6月、突如ポールがNow and thenを新曲として発売すると告知したとき、胸が震え上がった。
ビートルズを追い続けてきて本当によかったとこのときほど思ったことはなかった。

そしてそして、ついにその新曲が11月3日に発表されて、さっそくYouTubeに上がっていた音源を聴いてみた。出回っていたデモ音源は何回か聴いていたので、サビのBメロがごっそり削除されていたことに正直違和感を覚えてしまった。なんというか、これはReal loveを最初に聴いたときにも感じたことだが、ジョンのソロ曲にポールとリンゴがちょい参加で演奏したかのように聴こえたからだ。
でも、何度も、何度も聴いているうちに、自分の中で今回のバージョンが浸透していって、デモ音源のほうが追いやられる感じで薄れていく不思議さ。これはまさにビートルズ最後の新曲にぴったりだなと今は本当にそう思っている。イエスタデイや、ジョンとヨーコのバラードもそれぞれソロ曲に聴こえなくもないのにビートルズの曲であるとインプットしているように、この曲も見事ビートルズの曲なんだと認識できたのだった。
そして、今回の新曲でAIという新しい技術をうまく活用したという意義も大きいんじゃないかなぁと思う。レコーディングにおいて常に新しい風を吹かせてきたビートルズが、今回最後にまた後世に受け継がれていくようなことをやってのけたのはさすがとしか言いようがない。

何よりもお蔵入りせずに新曲として発表されたことがただ嬉しくて、嬉しくて、自分にとって最初で最後のビートルズの新曲をリアルタイムで聴けることの幸せと感謝の気持ちのほうがとりわけ強かった。よくぞ発売にまでこぎつけてくれたなと、ポールとリンゴ、そして関係者の方々にただただ感謝しかない。
60年代のビートルマニアの方々がビートルズの新曲を待つときのワクワクとドキドキに似た心境をこうして味わえたのだから。

注文していたカセットテープ盤のシングルも届いたのでさっそくこちらも聴いてみたのだが、Now and thenからのLove me doの流れは完璧すぎて思わず涙が出てきた。最後の新曲という響きが悲しいし、寂しい…。
ミュージックビデオも観てみたのだが、なんだかおかしかった。4人の合成もチープに感じられ、ユーモアあふれるバンドだったビートルズらしいっちゃらしいんだけど、それがなんだか虚しくもあり、最後にスッと4人の姿が消えてしまうところで涙があふれて止まらないのだった。

イギリスでは、シングルとしては54年ぶりの全英チャートNo.1を獲得したという。
まさか、まさか自分が生きているときにその事実を目の当たりにすることになるとは夢にも思わなかったから、嬉しさを通り越して生き証人になれたような感慨深いものを覚えた。
自分にとってNow And Thenは、最初で最後のビートルズの新曲でもあり、最初で最後の全英No.1をリアルタイムで触れることができた曲でもあるからこれからも大切に聴き続けたいと思う。

さて、10日に発売されたシン赤青盤も、注文して届いたCDで聴いたみたのだが、まず驚いたのが赤盤で、各楽器の音がとても聞き取りやすくなっており、改めて各メンバーの技量のすごさを見せつけられた感じがした。特にリンゴのドラムが迫力感増しててめちゃくちゃよかった(特にI Saw Her Standing Thereのプレイは聴いていて気持ちいい!)。こんなプレイしてたんだ!っていう発見もあって、これを機にもっと評価されてほしいと思った。
たしかに賛否両論が渦巻いているのもよくわかるし、あまり音の違いはわからない自分でもなんじゃこりゃ!ってな曲はたしかにあったけど笑、でも新しいビートルズの空気を感じられて、なんていうか今風のバンドサウンドに生まれ変わった気がして、それがすごく新鮮で個人的にはよかったなぁと思ってる。

今の若い世代にとってはビートルズの音楽は古いと思ってる人たちも正直たくさんいるのは把握してるし(私のときもそうだった)、だからこそそうした人たちにも今回新たに生まれ変わったベスト盤を聴いてもらって、ビートルズは今聴いても色あせなくてカッコいいんだ!ということを知ってほしいし感じてほしい。
当時のままの音源を尊重することももちろん大事なんだけど、ビートルズの音楽が後世へと受け継いでいくためにも、閉鎖的になりつつあるビートルズファン界隈に新しい風を吹かせるためにも、こうした新たな試みを施すことは必要なことだと個人的には考えている。

今年は厄年かよ!ってくらいつらくてしんどいことばかりで、本当に挫けそうにもなったんだけど、今回のビートルズの新曲とシン赤青盤にだいぶ救われたし、一昨日はビー友さんらとのお話がすごく楽しくて元気もらえた。ビートルズ熱も復活したんで、来年は積極的にビー活していきたい!
ジョンゆかりの地でもある軽井沢にもまた行きたいので、万平ホテルがリニューアルオープンした頃に足を運べたらと思う。

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