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自由の国から来た猫

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猫は自由の国から来た。
故に自由だ。

猫は小さな空と、小さなお皿と器を1つずつ、
そして1人の人間を持っている。

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猫には過去も未来もない。
境遇を悲しむことも、後悔をすることも、
未来を嘆くこともない。
ただ、美味しいご飯が食べたいだけ。

猫には言葉は必要ない。
考えを伝える必要がないのだから。

※  ※  ※

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人は小さな繭のような部屋に住んでいる。
脱ぎ捨てた服、床に崩れ落ちた本の山、いつのものかもわからないチラシ。数年前に買ったカバンは部屋の隅にころがっているし、ごみだって落ちている。

人は過去を悔やみ、未来を恐れている。
才能も能力もなく、いつも人間関係で悩んでいる。
多くの物はもっているが、何も手にしてはいない。

人がぼんやりと天井を眺めていると、
音もなく近づいてきた猫が、
人の体に寄り添い「にゃあ」と鳴いた。

そうだ。人は、自由な猫を1匹、持っている。

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