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何回GTDにトライしてもうまくいかなかった理由

はじめに

10年以上前になります。社会人になった頃 タスク管理に悩んでいた私は、デビッド・アレンが提唱したGTDという考え方を知りました。強いあこがれをいだいてチャレンジしましたが、難しくて挫折してしまいました。
それからもいろいろなタスク管理の考え方やツールを試してみました。そのたびにGTDに戻ってきて、しかしうまくいかないと言うことが続いていました。
そんな私が、最近になってGTDの考え方で自分が思い違いをしていたのではと思い至りました。もし私と同じようにGTDがうまくいかないと思っている方がいたらヒントになれば幸いです。
私が最近気づいた、GTDがうまく行かない理由を知りたい人は読んでみてください。

GTDはタスク管理のための手法ではなかった

GTDの定義について、提唱者である デビッド・アレンは自著「はじめてのGTD ストレスフリー整理術」の中で、このように書いていました。

ある時点で何をすべきかについて最善の選択をし現時点で行っていないことに対して思い悩んだりストレスを感じたりしないようにする手法

全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリー整理術(デビッド・アレン 著/田口元 監訳)

私がGTDに出会ったときも、その後何度かGTDの本を手に取ったときも、膨大なタスクを管理しきれない時になんとか管理できる手法を探している中でたどり着きました。そのため私はGTDをタスク管理の手法として認識していました。これが、私がGTDを誤解していた大きな要因だったように思います。

GTDのサイクルに対する誤解

GTDの基本的なサイクルは以下のステップから成ると書いています。

  1. 把握する

  2. 見極める

  3. 整理する

これらのうち、私は何回GTDにトライしても「見極める」で躓いてしまいます。
日々気になったことをインボックスに収集しておき、収集した情報を見極め、最後に整理する。これを繰り返しているとだんだん見極めることが難しくなり、最終的には積み重なった情報を前に気が滅入ってしまい諦めてしまう。そうして別のタスク管理に移っていくのでした。ところが、最近になって私はGTDを誤解していたことに気が付きました。それは「把握する」が十分ではなかったということです。はじめてのGTDには「把握する」の具体的な方法は以下のように書いています。

「気になること」のすべてを集める

全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリー整理術(デビッド・アレン 著/田口元 監訳)

これをそのままの言葉で受け取り、日々のメモや気になったことをすべてインボックスに入れて、それを見極めていました。しかしインボックスに入れるだけでは不十分だったのです。

把握するに隠された2つめのステップ

では何が足りなかったのでしょうか?それを考えるために、整理が終わった後の状態を考えてみます。

インボックスに含まれる気になることをすべて見極めて整理が終わった後、それらは「必要なときに必要なことを取り出せる」状態であるべきです。たとえばそれは資料フォルダにしまった資料であり、タスクリストに登録されたタスクであり、カレンダーに登録された予定です。

他方で、インボックスに含まれている気になることは雑多な情報がほとんどです。情報とタスクが混じっていたり、いつどこで使うかわからないがきっと必要な情報だったり、見極めるには煩雑です。

インボックスに入っていたメモが「noteにGTDの記事を書く」のような明確なタスクの形になっていれば見極めは簡単ですが、「GTDがうまくいかなかった原因に気づいた」のようなメモだとしたら、これが情報なのかタスクなのか、いつこのメモを見るのか、見てどうするのかがわかりません。そのため、見極めることを困難だと感じてしまうのです。
うまく見極めをするためにはインボックスに入れた気になることを分析し、自分にとってその情報が何であるかの意味を明らかにする必要があったのです。

つまり、「把握する」とは、気になることをインボックスに入れるだけではなく、インボックスに入っている気になることを「分析する」という2つめのステップが必要でした。では「分析する」とはどのようにすればよいのでしょうか。

分析する

どのように分析するかを考えるために、まず「分析する」の定義を調べます。精選版 日本国語大辞典 には、「分析」は以下のような定義が書かれています。

もつれている事柄や複雑な事柄を、一つ一つの要素や性質に分けること。

精選版 日本国語大辞典

この定義のとおりに考えると、インボックスに入っている雑多な気になることを一つ一つの要素や性質に分ければ良さそうです。これらを見極めることになるので、GTDにおける一つ一つの要素や性質とは、「必要なときに必要なことを取り出せる」ようなものであるべきです。

先の例にある「GTDがうまくいかなかった原因に気づいた」という気になることを、私は次のように分析しました。

  • GTDがうまくいかない原因は把握するが不十分だったためだった

  • GTDをうまくいかせるキーワードは①分析する②情報は抽象化する③自分のためのメモの3点だ

  • GTDがうまくいかない記事をnoteに書く

これらが私にとって「一つ一つの要素」です。大事なことは、この分析は「私にとって」役に立つ情報であるということです。他の人であれば同じメモから別の分析をするはずです。
さて、分析の結果メモの中に3つのキーワードを入れました。①の「分析する」はこの項目です。他の項目についても触れます。

情報は抽象化する

「分析する」精度を高めるために、一度「見極める」について考えます。
分析した情報は大きく「行動を起こすべきもの」と「行動をおこすべきでないもの」に分けられます。
「必要な時に必要なことを取り出せる」ようにするためには、それぞれの抽象度を変えた方が良いのではと考えています。

行動を起こすべきものは具体化する

行動を起こすべきときにはなるべく具体的な情報の方が扱いやすいです。タスクであれば手順書や必要な資料にアクセスできたほうがいいです。自分がタスクを実行する時に必要なところまで具体化しておくことで、実際に取り掛かる時に思い悩んだりストレスを感じたりしないような状態を作れます。

行動を起こすべきでないものは抽象化する

行動を起こすべきでないもの、ここでは特に資料に残すことについて考えます。資料はいつ・どこで見るかがわかりません。そのため、あとで見た時に役に立つ資料とするためには、資料に書く情報は抽象的に書いておくべきです。抽象化された情報なら、後で見た時の文脈にあてはめて具体化すれば使いやすくなります。

これが、②情報は抽象化する、です。

自分のためのメモ

GTDをうまくいかせるためのキーワードとして、「分析する」と「情報は抽象化する」という2点をあげました。それぞれ小難しいことを書いていると思います。

「分析する」とはどこまで細かく分析すればいいのか。
「抽象化する」とはどこまで抽象化すればいいのか。

それらの答えは「自分が使えるようになるまで」です。GTDとはあくまで自分のためのメモであり、正解があるわけではありません。自分自身が納得行くまで細かく分析し、抽象化すればよいのです。また仮にうまくいかなかったとしても心配いりません。いつでも書き直せばよいのです。

GTDに取り組む中でうまくいかないという気持ちになることがありました。
しかし完璧な状態など存在しないのだから、うまくいくもいかないもなかったのです。考えてみれば当たり前の話なのですが、私はこれまでこのような視点がありませんでした。しかし、今は気付けたことで随分とラクな気持ちでGTDに向き合えています。
自分のためのメモということに気付いてはじめて、GTDが思い悩んだりストレスを感じたりしないようにする手法になりました。

今のGTDとの向き合い方

これまで書いてきた通り、私は ①分析する ②情報は抽象化する ③自分のためのメモ という3つのキーワードでこれまでよりもうまくGTDと付き合えている気がしています。

また、このような考え方に至った上で使うツールにも変化があったのですが、それらはまた機会があった時にまとめられればと思います。
GTDがうまくいかない方は、少しでも参考になれば嬉しいです。
それでは、また。

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