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湯木慧防護服ワンマン『選択』

2020/09/12防護服ワンマン『選択』に行ってきた
感想を書こうと思うが、すべての曲で書くのではなく、特に印象深い曲について書こうと思う。

・網状脈

歌詞が歌われて、「はっ」とした。22歳おめでとうございます、と思った。毎年変わる歌詞、湯木さんの創作が作り終えてからも生き続けていることを象徴しているかのようなこの曲がライブで常連なのが嬉しい。

あと特に、バンドでやる時はほぼ確実に入ってて、湯木チームもみんな好きなんだなって伝わって嬉しい。

・存在証明

このライブ、『選択』が決まったきっかけと、防護服ワンマンとはどういう意味なのか。そして、やるにあたりさまざまな葛藤があったこと。これらのMCの後、始まりの心実以来歌われていなかったこの曲、存在証明が告げられる

4曲目にしてもう泣いてた。2017年から2018年の僕を常に鼓舞し続けていた曲、それが違う形でこうしてまた新しい世界を生きる湯木さんと、ゆきんこのために歌われる。

「自分で決めたこの道なんだと、明日は一歩踏み出すのです」

序盤から何をしてくれるのか、しかしこれが序盤であることがこのライブの恐ろしさ、湯木さんのおそろしさをまざまざと見せつけてきた

・ハートレス

バンドセットは一旦はけて弾き語り。その3曲目。

斜めスポットの美しいレーザー照明の中、歌うハートレスがいつもと違う聞こえ方をした。もともとは最寄駅のホームレスの方を見て触発された曲。でもあの頃の湯木さんの感情はきっといまの世の中にも刺さる、そんな気がした

「誰も生きたいと言える世界になれ」

・ヒガンバナ選択ライブ特別コラボ1

ヒロシさんが最初に呼ばれて出てくるもうエモい私のことを一番わかってくれているエモい
いつものチューニング中の投げっぱなしMC、中断されるヒロシさんのトークエモい
どの曲をやるのかと思ったら「思い出深い曲」としてこの曲がチョイスされたぶちあがりにぶちあがった
ステージにはギターをもつ湯木さんパーカッションの巨大なセットを尻目に持ち出してきたカホンに腰掛けるヒロシさん
思い出すは2017年、下北沢サウンドクルージングで初めて聞いたヒロシさんサポートが入った湯木さんライブ。その中で一番異彩を放ち、印象的だったのがこの「ヒガンバナ」
いろんなライブに行ってきた僕にとっても印象に残ったあの時のヒガンバナが、こうして今帰ってきた、そんな気がした。

・金魚

選択ライブ特別コラボ2

美月さんえぐすぎだろ歌唱力に終始笑ってた推します湯木チーム神

パーテーションごしに向かいあって、楽しそうに歌う二人が美しかった

・バースデイ選択ライブ特別コラボ3

「大切な曲をやります」

その言葉とともに、チームの兄貴にして最も狂った男、カオルさんに演奏を託して歌われたのはバースデイ

メジャーデビューの表題曲、きっと僕たちにとっても大切な曲

客席を向いて、空いている手を握り締めながらひとことひとこと大切に歌う湯木さん

2番、マイクをスタンドから外し、カオルさんの方を向いて慈しむように歌う湯木さん

湯木さんが演奏なしで歌うのは「水中花」ぶりか。演奏がない分心の込め方や演じ方が普段以上で、この曲ただでさえやばいのにもう多言無用と化した。

・換気休憩

美月さんメインでAnswer、一匹狼が歌われる全く休憩じゃねえ

・スモーク

万華鏡のあと、まだまだ新譜の曲が残っていたから油断していたら「スモーク」を歌います、との言葉。後述するがこの時点で全てを察して僕は概念と化した。
スモークができてから一年が経っているらしい。一年前の彼女の思いが綴られた曲。

ひとは、先のわからぬ道を切り開かなければいけない。その道程でもがき、さまよい、血迷い、正解なんてわからない瞬間しかない。

そして、「わかりません」と言葉にするのは怖いし、いけないことのような気がする。

でも、そう言えることは悪いことじゃあないんじゃないか。その思いの表出。

初めて、曲を歌う中で泣きそうになって言葉が出てこなくなることがある、そんな曲。

湯木さんにとってこの「スモーク」は間違いなく、作られた当初からずっと特別な曲であることが伝わるMC

「でも一年経ってようやく今、この曲をみなさんに送る曲として歌えます」

その言葉とともに始まる演奏。ここ数ヶ月毎日聴いていたのに、当たり前のように泣けた。

「君は強い」きっと自分に言い聞かせていたこの言葉が、今日は外にもしっかりと向いて歌われていたのだから。

・選択

湯木さんにとってとてつもなく大切な曲である「スモーク」が、MCの前に歌うことを宣言された時点で、この曲が来ることがわかってしまった僕はもうそこから永遠に生と死の狭間にいた。

だっていつも落とし所は必ず最後に曲名を言う湯木さんが、スモークの時に最初に言うんだから、もうそれ以上の何かがあるのは明白じゃないか。

そしてこのライブの名前、防護服ワンマン『選択』
インタビューで語られていた言葉

「選択」という曲が控えています。

ここから導かれる解なんて、ひとつしかない。新曲「選択」がこのライブでお披露目されるのだと。

「スモーク」でわからないことを肯定した湯木さん。じゃあその先にはなにがあるのか。

「表も裏も、光も影も、なにもかも怖かったけれど、でも前に進むしかないんだってわかりました。決めて、行動して、進まなければ正解なんてわからない。失敗してみないとわからない」

そう言った彼女の言葉は、存在証明の時や、蘇生の時、バースデイの時にも決意した湯木さん、それの復活や原点回帰にも聞こえる、でも僕は違うと思った。

「選択はきっと、愛と苦しみを含みます」
「だから、一緒に選択していって欲しい」

笑って言う湯木さん。始まる演奏。

湯木さんは原点回帰したんじゃない。煙の中を彷徨った湯木さんは、燃えて灰になった湯木さんは、周回してしまったんだと思った。

"選択の心実"という輪廻を解脱し、次の世界、次の心実へ。

童歌のような柔らかい、明るい、今までの湯木さんの曲にはなかったその「選択」のメロディが、それを痛いほどに伝えてきた。

前に進むことを決めるのは、いつも同じじゃない

立ち止まってからまた進むこと、
転んでからまた進むこと、
迷ってからまた進むこと、

すべて違う「進む」

新しい、恐ろしい力を必要とする「選択」なんだと。

「君の選んだその答えと生きよう」

歌詞は合っているかわからない。でも僕たちより一歩先に進んだ湯木さんが、僕たちの手を握ってくれているような、そんな気がした。


意味わからないくらい泣いてたし、終演後も脳内は無だったんですけど、無の中に言葉はやっぱりあったので、書いておきます。


ありがとう湯木さん。また進みます。灰になった貴女は、次はどんな心実を生きるんでしょうか。

鷲津


〜追記〜

・狭間

アンコールはこの曲、ピアノ弾き語りということもあって慣れない演奏の中歌詞を飛ばしてしまっていたりもしたれど、僕の脳内では歌詞が流れていました。

「強くなるための心実だ」

間違いなくこれこそ、"選択の心実"強くなり、次は進むための、湯木さんに必要だった煙の中なんだろうな、と。

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