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【#027|ベタな男の子】(2018年09月28日)

 スーパーで買い物中のこと、スイーツコーナーの前に小学生3,4年生ぐらいの男の子とそのお母さんがいた。

 男の子はお母さんから「好きなお菓子ひとつ買っていいよ」と言ってもらえたのか、男の子は自分の食べたいお菓子をコーナーから選んでいたのだが、その際男の子は「えーっと」と言いながら両手を擦り合わせて選んでいた。

「嘘だろ」目を疑ってしまった。

 来年には平成が終わるんだぞ、再来年には2020年代になるんだぞ、その約半年後には2度目の東京オリンピックするんだぞ、再々来年には21世紀の1/5が終わるんだぞ。

 我々の思う近未来が現実性を帯びている最中で、そんなカツオくんみたいな昭和のコテコテな動作をする小学生が現代にまだ生きていたのか。

 まるで古来の伝統芸能を見たかのように私はジーンと感動していた。

 コミュニケーションはSNSが中心になり、漫画はアプリで読むようになり、公園で集まったゲーム対戦はオンライン上になり、誰かが遊ぶゲーム画面はYouTubeの実況動画になり、わずか10年を切り取っただけでも子供たちの当たり前だった遊戯が次々と電子化されていく先進社会で、「手を擦り合わせて選ぶ」という懐古的所作が私よりも未来ある男児に根付いているなど希望の何物でもない。もしご両親の癖を真似て育ったのなら、横にいるお母さんに言いたい。「貴女の息子さんは良い教育をされている」と。ぜひ君が大人になって家族を持って、我が子の前で物を選ぶときは堂々と手を擦り合わせてほしい。

 私が頭の中で爆発させている間に男の子は選ぶお菓子を決めたらしい。

 男の子が目標に向けて手を伸ばした。

 あっ袖を押さえながら腕を上向きにアーチを描いてモンブランプリンを取った!

 ああもう最高!!

 君に狂言師か何かなのかい!?

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【あとがき】

 時間的に言えば30秒足らずの出来事でしたが、30年分の価値を見出だされました。

 だって近所にいますか?

 選ぶときに手を擦り合わせる子供が。

 たぶん周りから「行儀が悪い」と口を酸っぱく忠告されてきただろうに抗ってその動作を死守してきて、こんな無意識の場でもその動作を忘れていないところにその子のDNAを感じます。

 私の無意識な所作は何だろう。

 テレビを見ながら鼻クソほじること?

 この所作は即刻滅びるべきだな…。

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