◯月◯日

うちの母親がこの前出てきた日のこと覚えてる？
実家は立川だから、出てこようと思えばすぐなんだけど。
たまたま僕も時間があいたんで、母親と僕がふたりで夕飯を食べた日。

僕たちは、へんに高級な店に入ってしまって、
店の人に言われるがままに、ちいさい魚のおどりぐいを試した。
ふたりとも、特段おいしいとも思わず、かと言って気持ち悪がるでもなく、
そういうところが親子なのかな、と言いながら、たんたんと食べた。

母親に、彼女とはどうなの、と聞かれて、
仲良くやってると思う、と言ったら、
あなたが思ってるだけじゃだめよ、と言われたので、
少なくとも僕は彼女のことを好きでいるよ、と言うと、
そういうところはお父さんと同じだね、と言われた。

母親が、あおさの味噌汁を、妙にありがたがってすすったので、
お母さんもお父さんに似てるよ、と言った。

母親を中央線に乗せて、僕は帰ってきたわけだけど、
君はあいてたんだよな、あの夜。
帰ったら、冷凍食品のパスタ２袋たいらげてたじゃん。
どんなこと考えてた？

むしあつく生きものが生きものの中に　　種田山頭火