あかるい

書きたい文章を書きます。

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最近の記事

【おはなし】メタニカの犬

海のない惑星メタニカは、 海の代わりに16180の湖があり、空には19の虹がかかる美しい星です。 美しい星ですが 一番大きな町にさえ、 ひとっこひとりいませんでした。 メタニカの土ではどうしてもカボチャが育たないので、みんなカボチャを育てられる星を目指して 出て行ってしまったのです。 そんなメタニカの最深部に、一匹の年老いた犬がおりました。 老いた犬は、〈もにた〉をいつもしっかり見ていて、 〈せん・さー〉と繋がる赤いランプが光ったら、 飼い主に伝えるのが仕事でした。

    • 友人からの手紙:追伸

      聞いてくれ、ラドスラフ。 誰も彼女の名前を憶えていないんだ。 僕を含めて。 でも問題なのはそこじゃない。 憶えていないことに 誰も気が付かないんだ。 認識できないという方が正しいだろうか。 どれだけ指摘しても、誰もきょとんとした顔で僕を見て、おかしなことを言うなとか、本の読みすぎで疲れちまったんだとか、笑いながらそんなことを言う。 僕がおかしいのだろうか? でも、彼女もそんなことを言っていたような気がするんだ。 何が起こっている? 僕は あぁ、きっと疲れてい

      • 【創作】友人からの手紙:往信

        19☓☓年 8月27日  ダニエラへ  手紙ありがとう。 君が元気にしていることが分かって嬉しい。 便箋に一緒に入っていた押し花はリビングに飾らせてもらった。 花の名前は分からないけれど、たまにはこういうのも華やかでいいものだな。 僕は今日昼ご飯を食べ損ねたので、昨日隣人がお裾分けしてくれたチェリーパイ一切れが昼食代わりだった。 この手紙が届くころ、君は何を食べているのかな。 君は居心地がいいと手紙に書いていてくれたけれど、君の身の上からしてはそう書くよりほかあるまい。

        • 【創作】友人からの手紙

          親愛なる僕の友人 ラドスラフへ 久々の便りになってしまったことを謝りたい。 この数か月、あまりに多くの出来事が起きたんだ。 その件で長いこと忙しくしていてね。 趣味のガーデニングもこのところ満足にできていない。 その分君が今まで通り平穏な日常を送っていることを強く願うよ。 去年の秋祭りで君に髪飾りをくれた少女を覚えているだろうか? 栗色の長い髪を後ろで束ねた、大きな目の彼女だ。 (女の子にめっきり耐性のない君は茹でたロブスターのように顔を赤らめ、ただ一言「大事にする」と言

        【おはなし】メタニカの犬

          【自分語り】相貌失認 -誰が誰かはっきりしない世界-

          こんばんは。 突然ですが、「相貌失認」という言葉を聞いたことがありますか? 人相の「相」と美貌とかの「貌」。 つまり人の顔のことです。 それから「失認」。 これはこの記事を書こうとして初めてきちんと調べたんですが、 ……とのこと。 なんて?って感じですね。 あるいは、もしこれを読んでいるあなたが何かの失認症の当事者だったら、 なんとなく分かったのではないでしょうか。 私も難しいことは知らないのですが、上記の説明が何を言っているか、なんとなく分かってしまいます。 これ

          【自分語り】相貌失認 -誰が誰かはっきりしない世界-

          【おはなし】さようなら

          さようなら さようなら お気に入りの枕と 柔らかなおふとん。 君たちのおかげで、毎晩素敵な夢を見られたよ。 さようなら ぼくのフォークと マグカップ。 朝も昼も夕方も、美味しいご飯と飲み物を運んでくれて ありがとう。 さようなら たくさんのおもちゃと 絵本たち。 君たちがいたからぼくは 冒険家としての一歩を 踏み出せた。 さようなら ポチとミャオ。 僕ら 離れ離れになっても 永遠に親友だよ。 おやつを食べすぎちゃ だめだよ。 さようなら ぼくの家。 大雨の日も 風の

          【おはなし】さようなら

          【短いおはなし】ダイヤの2

          ダイヤの2 ハートのトランプは 世界中の音楽が好き。 特に モーツァルト J-POP 時々自分でも 奏でてみる。 ダイヤのトランプは あちこち旅するのが好き。 準備は念入りに 挨拶と お礼の言葉は 必ず覚えて 出かけてゆく。 クローバーのトランプは 家の中から流れる雲を眺めるのが好き。 傍らには コーヒー 好きな本を一冊 雨が降るなら 降り注ぐ雫を眺めている。 スペードのトランプは 静かなところで眠るのが好き。 寒くも暑くもないところ お気に入りの枕で  夢も見ず た

          【短いおはなし】ダイヤの2

          【おはなし】横笛の上手なタコ

          横笛の上手なタコ ある町に住んでいるタコは 横笛の名人でした。 タコが横笛を吹くと、町の人々が集まってきて、踊ったり、うっとりしたり、好き好きに歌ったりしました。 ある日、町の子どもたちがやってきて言いました。 「学校で 笛の発表会があるから、 上手な横笛の吹き方を 教えてほしいの」 タコは8本の足に一つずつ笛をもって、 一人一人 ていねいに教えてあげました。 息を はきすぎてはいけない。 どのゆびが どのあなを押さえるか きちんと決まっているので そのとおりにし

          【おはなし】横笛の上手なタコ

          【おはなし】ぬしつり

          ぬしつり 月曜日、よい天気。ぼくは森の向こうの池へゆく。 グラグラが言ってたんだ。あの池には「ぬし」がいる。 「ぬし」ってどんな魚だろう。大きいのかなぁ。 つりざお片手にぼくは歩く。空は水色。 バスケットの中には、お水とリンゴとお昼ごはん。 しばらくゆくと、ぐねぐね道にまつぼっくりがたくさん落ちていた。 ぼくは形のいいのを3つだけ拾って、ポケットに入れた。 また歩いていると、小さな小さな川にさしかかった。 いつもはひょいと飛びこえるけど、今日は一人だから、ちょっと怖い

          【おはなし】ぬしつり

          自己紹介

          最初の投稿は自己紹介ややりたいことを書くのがいいとあったので、 この記事は自己紹介です。 この記事を書いている人間は趣味が多く、 お菓子を作ったり、刺繍をしたり、ペンシルパズルを解いたり、 ミニチュアキットを買ってきて組み立ててみたり…… 自分の手を動かして何かやるのが好きなようです。 音楽も好きです。もっぱらヨルシカを聴きます。 人見知りがひどく極めて内向的なので、自分から人の輪に入っていくことを 最も苦手とします。 幼稚園の頃から「仲間にいーれて」が言えないタイプ