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辛さがわからない時の対処法

辛いものが好きなので、スープカレーをよく食べに行く。だいたい札幌で食べる。そうすると、だいたいお芝居や映画の観劇前のお昼ご飯が多くなる。あまり辛いのにすると水を飲みすぎてしまい、トイレが近くなるので、最近は辛いスープカレーを控えていた。

そんなこんなで朗報が舞い込む。
近くの町に新しいスープカレー屋さんができた。その町のカレーといえば、今まではルーカレー一択だったのだ。しかし、そこができたとなれば、カレー好きとしては願ったりかなったりだ。定番のルーカレーに後髪をひかれながら、今日はスープカレーに行ってみる。

食事後は自宅に帰るだけなので、辛さは気にしなくて問題なし。少し辛めに挑戦しても大丈夫。しかし、初めて入ったスープカレー屋で、調子に乗って上級の辛さを頼んでしまうと、取り返しがつかない時もある。初回は、中辛か辛の下を頼んで様子を見るのが良いだろうと判断。普段、辛味の多いスープカレーは諦めていたので、こんなに嬉しいことはない。

早速、チキンカレーを頼む。初めて店ではチキンカレーを頼むことに決めている。やはり、スープカレーとチキンの相性は抜群。ポークやネバネバ系や海鮮もだい好きなのだが、まずは冷静にチキンを初手とする。店内はおランチタイムを少しすぎていたので程よい混み具合。カレーも短い時間でテーブルに出された。

いざ実食。スープカレーは最初の一口が肝心。まずはチキンから。問題なくチキンはほろほろしている。野菜もカラリと素揚げされている。いろいろ申し分ない。ところが、どうもスープに異変を感じる。

辛くない。

辛の少し下にしたはずなのに、まったく辛さが感じられない。最初にピリリとくるスパイスの刺激がわからない。これはどうしたことだろう。最初に疑ったのはコロナの罹患だった。ネットニュースや友人の談だと、コロナに感染すると味覚に異常がでる。ぼくも1ヶ月くらい前に、流行遅れでコロナに罹患した。もしかすると、その余波だろうか。充分ありえる。

その次に考えたのは、ここのスープカレーは、刺々しいスパイスの辛さを、独特の技術でまろやかにしているのではなかろうかという推理。スープカレーはどんどん進化している。スープカレー界のソリューションがあったしても、まったく不思議ではない。

いやまてよ。もしかすると、この店は、辛さにのみシッポを振る現代のカレー業界に立ち向かうために、あえて反抗の意思としてスパイスの辛味をぐっと抑えているのかもしれない。だとすると、そういう反骨精神には共感するタイプなので、ぜひエールを送りたい。

それにしても、辛さが感じられない。「辛味を足したいです」と言うべきか。「辛味」にのみ心を奪われている姿は、素人くさくて格好悪いのか。そもそも辛い、辛くないの話をするのに、素人も玄人もあるのか。今ひとつ店員の方に声かけることができない。

なんとなくオロオロしているぼくに気がついたのか、店員さんの方もこちらを気にしている。そのうち、スタスタこっちにやってきて「あの、申し訳ございません」と店員さん。どうやら、調理の人が辛味調味料を丸ごと入れ忘れたのだそうだ。「これを入れてください」と辛味が渡される。スープカレーは、後入れでも味に問題はないので、ことなきをえる。

辛くない時は、辛くないです、と言うべきだなと猛省した日曜の昼下がりだった。

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