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夜の札幌で宿がない

九州にいる娘のところに遊びに行くため、飛行機に乗る前日、ぼくは札幌に泊まることにした。夕方、のんびり運転で宿についたところ、びっくり、なんと、ドミトリーの予約が「女性専用」になっていたとのこと。宿の人も気がついてくれて、仲介旅行会社に連絡をとってくれだそうだが、ぼくまで繋がらなかったそうだ。

女性専用に泊まることはできない。大型連休中の札幌は宿がほとんど満杯でほかを探すのは難しい。「これは大変だなぁ」と、ぼうっと困っていたところ、フロントの若者がオーナーに話をしてくれて、なんとか皮一枚でつながり、宿泊することができた。ぼくの不注意なのに、たくさんの人に迷惑をかけて、なんとかピンチを切り抜ける。申し訳ない限りだ。

いろいろ思い返すと、ぼくの人生はこんな出来事ばかりだ。

19歳のときに、伊豆を3日歩いていたところ、突然の大雨に出あってしまった。熱海から徒歩で下田を目指していたのだけれど、山の中でずぶ濡れになって困っていた。車もほとんど通らない。遠くに見えた灯りを頼りに歩いていくと、オートキャンプ場があった。夜も深まった時間だったためキャンプ場は満杯。しかし、宿泊受付で訳を話すと「それは、大変だったね」と、20畳ほどの大きな、今は使用していないという古い畳部屋を用意してくれた。若干、ひとりぼっちで寂しかったのだけれど。

30歳とのき、友だちを頼ってアメリカのニューオリンズに行ってみた。血迷って一人旅がしたいとメンフィスまでバス旅行を試みるが、途中で発熱。もともと得意ではない英語が、さらに聞き取れなくなる。ぼうっとした頭でホテルの値段交渉をしてみたが、なかなかうまくいかない。頼みの綱の友人へ電話の掛け方もわからない。

ぼくをの行動を見ていた掃除係の黒人女性が寄ってきてくれて、ホテルの交渉をしてくれた。英語は聞き取れなかったのだけれど「この日本人、お金ないみたいだから安く泊めてやって」くらいなことを話してくれたのではないかと思う。そうではないかもしれない。しかし、なんとか安くその宿には泊まることができた。まぁ、今となっては確かめる術もない。

ピンチになったときは人に頼ろうと決めているのだけれど、ぼくは同じだけピンチの人を助けているだろうか。とても自信がない。だからというわけではないが、誰かに助けを求められたり、難題を出されても簡単に断らないことに決めている。個人的に「ストロング•プロレス・スタイル」と呼んでいる。まずは逃げずに技を受ける。そして、技を返す。ローブに飛ばされても、まずはちゃんと跳ね返りたい。

しかし、最近、老化に伴いとにかく体力が格段に落ちた。まぁ、プロレスの話は比喩なので、ほんとに技を受けてるわけじゃないのだけれど、受けるていたものも、受けられなくなっている自分がいる。加齢により、体力だけではなく、精神力も落ちてしまった気がする。

しっかりしろよ、51歳。
そんなことじゃ、チャンピオンベルト、腰にまけないぞ。

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