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大規模ステージの鍵は女性ユーザーにあり!【連載8・オタク視点で見るアニメ】

前回の続きです。
アニメ系のライブやミュージカルなど、アニメを起点としたステージは、どのように発展して大規模になったのか。私自身、90年代にライターデビューと同時期に声優雑誌創刊に参加したことで、声優人気の盛り上がりを見てきました。
今回は、90年代から現在までを、女性ファンの動向とからめてざっくりと書いてみたいと思います。

90年代、アニメの声優さんを呼んでのステージは、ソフトの販売促進のプロモーションとして行われてきました。ステージ自体で収益を上げると言うよりも、話題作りやファンへのサービス的な側面が強いものでした。

それから林原めぐみさんなどの若手声優さんが注目されるようになり、第3次声優ブームが始まりました。
それでも、声優さんでオリジナルソングを出してライブ活動を行う人は限られており、アイドルアニメ『ハミングバード』でも、会場のキャパは2000人規模だったと思います。一方で、椎名へきるさんが声優とアイドル活動を平行して行ったことで、97年に、声優として初の武道館ライブを行っています。

〈アニメ〉と〈声優〉と〈音楽〉は、それぞれ別の業界という風潮だったのですが、それらを最初に結びつけたのは〈ゲーム〉でした。90年代半ば以降、プレイステーションなどのコンシューマーゲームにボイスが入るようになり→声優が起用され→ゲームが売れて→ゲームイベントが華やかになっていく、という流れが起きました。

00年代に入ると、ゲームと声優の結びつきはさらに強くなります。00年代初頭には「乙女ゲーム」が誕生。女性向けゲームのステージがさかんになっていきます。
乙女ゲームとは、素敵な男性キャラクターを落とすゲーム。キャラクターを体現するのが男性声優さんです。ゲーム業界は、女性ユーザーの「男性声優に会いたい!」という気持ちに応えるように、キャラクターを演じる男性声優さんを起用した様々なイベントを開催するようになりました。乙女ゲーム専門ブランド「オトメイト」の『薄桜鬼』の朗読劇も話題になりました。

そして、音楽業界でも、水樹奈々さんなどアニソンの人気シンガーが誕生し、キングレコードやランティス、フライングドッグといったアニソンに強いレコード会社もライブを開催するようになりました。

同じく00年代初頭、アニメ業界にも“革命”が起こりました。プレイステーション2が発売されたことでDVDが家庭に普及。男性ユーザーが主体だったレーザーディスク時代から一変して、女性がアニメのソフトを購入するユーザーになったのです。

女性の「ユーザー化」が、アニメとゲームとアニソン音楽業界の結びつきを強くしました。
男性声優がステージでパフォーマンスすることが当たり前になった2010年代、「アイドルもの」作品の流行と共に「歌って踊る」ことを視野に入れた声優志望者が増加。さらにステージの規模が大きくなる、という流れで今日に至ります。

ざっくりと書いてみましたが、こちらについてはまだまだ書くことが山のようにありますので、また何かで取り上げたいと思います。

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