見出し画像

「なんとなく」経営は「なんとなく」常連客を逃がしてしまう

こんにちは、株式会社和多利です。
前回は「上位2割のお客様への対策をしっかり行うことで、問題の8割の改善が期待できる」というお話をしました。

実際に、当社で30年強ポイントカードシステムを運用し、あらゆる業種でご活用いただく中で「常連客の維持率が70%以下になると全体売上もダウンする」という事例を多く確認してきました。

それらの経験から「常連客を翌年も70%以上維持すること」が売上増の秘訣であると考えています。

上位1割

■ 肌感覚では分からない常連客の維持率

しかし、70%もの常連客=ファンの売上を継続的に維持することは簡単なことではありません。
なぜならお客様が離脱する理由で最も多いのは「なんとなく」
お客様の状況に合わせて適切なアプローチを行い続けることで、忘れられたり飽きられたり他のお店に浮気されるのを防ぐ努力をしなければ、自然とお客様はフェードアウトしてしまいます。

そもそも常連客がどれくらいいらっしゃって、年間どれくらいのお客様が離脱されているのか、きちんと把握できているでしょうか?
こういったことはデータで数字として掴まないと、肌感覚ではなかなか分かりません。
お客様のご利用履歴をデータ化し、分析して初めて「えっ?こんなにも??」と気付かれるケースが多く、それこそ「なんとなく」の経営では錯覚に陥りがちな現実なのです。

■ 顧客維持率(CRR)を計算してみましょう

デシルやRFMを用いてお客様のランキングを行うためには、購入日・購入回数・購入金額といった顧客データが必要です。
それにより、各ランク毎のお客様に合った、きめ細やかなフォローを行うことが可能になります。

もし今現在、そのようなデータを持っていない状態であれば、まずは顧客維持率をみてみましょう。
顧客維持率(CRR:Customer Retention Rate)とは、その名の通り、お客様をどのくらい維持できているかを示す指標です。
既存顧客か新規顧客かを見極めるための顧客情報がないと算出できませんが、お客様全体の人数だけで計算することができます。

まず、一定の期間を定め(1年間、6ヶ月間、3ヶ月間、1ヶ月間、1週間など、業種によって異なります)、開始時の既存顧客数(S)、終了時の総顧客数(E)、期間内に増えた新規顧客数(N)を測定します。

そして、期間終了時の総顧客数(E)から期間内に増えた新規顧客数(N)を引いた数を、期間開始時の既存顧客数(S)で割ります。

顧客維持率 (%) =((期間終了時の総顧客数 – 期間内に増えた新規顧客数)/ 期間開始時の既存顧客数)× 100
X=((E-N)/S)×100

たとえば、期間開始時に500人の顧客(S)がいて、期間中に100人増え(N)、期間終了時に400人(E)だった場合、顧客維持率は、((400 - 100) / 500) × 100 = 60%となります。

あなたのお店の顧客維持率は何%でしたか?

■ 顧客維持率だけでは見えてこない全体売上の実態

顧客維持率は、どれくらいお客様が定着しているかを測ることができますが、あくまでも顧客全体を「新規」「既存」という2つの要素で分けただけなので、売上の内容とは結びついていません。

冒頭に「常連客の維持率が70%以下になると全体売上もダウンする」と述べましたが、ここで思い出してほしいのが前回の記事で述べた「2割のお客様が8割の売上をあげている」というパレートの法則です。

お客様を売上順で10等分にランクづけした際、売上上位ランクのお客様がお店全体の売上の大きな鍵を握っていることが分かります。

そのことを忘れて「なんとなく」経営していると、大きな錯覚を起こしてしまいます。

たとえば、全体売上が前年対比プラスで増収していると、常連客の売上は100%を維持しているものと思われがちです。
しかし実際に分析してみると、多かれ少なかれ減少傾向にあります。
常連客の売上が減少するほど全体売上は減収し、上位1割の常連客の売上が30%以上ダウンすると全体売上も減収するケースを、当社では多く確認しています。

常連売上ダウン

つまり、常連客の売上は、思っているより維持できていないことが多いのです。

そこで「なんとなく」経営によって常連客が「なんとなく」離脱していないか、常に関心をもって対策を行うことが大事になってきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?