矢作ちはる

ワタリドリ製作所代表 大手広告会社、出版社で企画と編集に携わった後に独立。渡り鳥が軽や…

矢作ちはる

ワタリドリ製作所代表 大手広告会社、出版社で企画と編集に携わった後に独立。渡り鳥が軽やかに国境を越えて旅するように、様々なフィールドで活躍する人たちと一緒にモノづくりをしている(執筆、企画、イベント)。雷鳥社より『石の辞典』発売中。東京都観光まちづくりアドバイザー。

マガジン

最近の記事

大事なものをあえて手放す

昨年末から今年の始めにかけて、類い稀にみる入稿ラッシュだった。書籍3冊に執筆や編集記事約40本。頭の中が忙しすぎて、日常をどう過ごしていたのか、あまり記憶がない。 それでも、隙間時間に本を読むようにしていた。美しい文章を読んで心を整える、という意味では、写経とか禅に近い効果がある。私にとってなくてはならないコトの一つが、自分以外の誰かの人生を疑似体験するために、そして、知的好奇心を満たすために本を読むことなのだ。 今年はマンネリ化を防ぐために、抱えていた仕事の半分を手放し

    • 気分が乗らないときに役立つトリガーと 面と線と点でとらえた集中力の話

      書き続けるという行為には、高い集中力が要求される。ひとたび中断すると元の状態に戻すのにとても時間がかかるので、SNSやメールなどを一度遮断した状態で一気に書き上げるのが効率的だ。 私の場合、集中力が長続きするタイプの人ではないという自覚があるので、生活の中にいくつものトリガーを用意している。例えば、次のようなものである。 ・特定の匂い(過集中状態に持ち込むときだけに使うアロマ)を嗅ぐ ・執筆開始前に決まった運動をしながら特定の音楽を聴いて、脳内を空っぽにする ・毎朝、

      • 習慣を変えたければ、ドラスティックにやるしかない

        ここ数ヶ月、引きこもり生活にうんざりしすぎて、どんよりした気持ちを抱えながら仕事することが心底不快だった。しばらくはこの生活パターンが続くのだろうし、変えるとしたら自分のマインドしかない。 そこで、いっそ自分を不快たらしめている生活習慣のすべてを変えてしまおうと思うに至ったのだ。 変えたいことは山ほどあるのだけれど、とりわけボディーブローのようにきいていたのが、次の3つである。 ①自堕落な生活で、睡眠が不規則 ②極端に疲れやすい身体 ③集中力が続かない 全部、健康

        • 昨日の自分をぶち壊しながら生きていきたい

          移動距離が減ったことで思考が停滞する感覚がどうしても抜けなくて、仕事の合間に2日に1冊ペースで本を読んでは、新しい知識を入れていくような生活を送っていた。ここ半年で読んだ本の冊数およそ90冊。 それでも、まだ何かが足りない。そう、自分の内面を満たしてくれる何かが足りないのだ。たぶん渇望という言葉が近い。 目の前の仕事に集中していても強烈な心の渇きが拭いされなくて、あぁ、そうか、きっと今の私は、自分の価値観を根本からぶち壊すような何かがほしいのだな、と気づいた。 そこで、

        大事なものをあえて手放す

        マガジン

        • #ワタリドリ製作所のこと
          0本

        記事

          思考は柔軟に、でも自分軸は強固に。

          対面での取材がほとんどなくなり、打ち合わせもすべてZoomに切り替わる生活がもう一年以上も続く中で、心のバランスを整えることが難しいと感じる瞬間が少なからずあった。 特に、日々膨大な文字量を扱うような特殊な仕事をする人種は、自分の中にだけ溜まっていく言葉の澱が、放っておくとどうしようもないぐらいにまで膨れ上がって、何かの拍子に爆発する。酷くなると、自分で自分に合格点を出せるような文章が全然書けなくなってしまうから厄介だ。 そして、特殊な環境に慣れきってしまうと、普通という

          思考は柔軟に、でも自分軸は強固に。

          音楽による記憶の解放

          集中して執筆しないといけない期間に突入すると、心の平穏を保つために音楽を聴く。独立して間もない頃、原稿の締め切りが立て込んで寝食もままならずになっていたときは、日常生活のあらゆることに支障をきたした。 私の場合、執筆時間が1日12時間を超えると誤作動を起こしまくるようだ。たとえば鍵をかけ忘れて外出してしまったり、自転車に乗っていて車に轢かれそうになったり、人との約束の日を勘違いしてしまったりだとか。 たぶんこれは、脳を酷使しすぎて超疲労状態になるんだろう。寝ても疲れが全然

          音楽による記憶の解放

          満員電車に乗らなくていい生活にも別の苦しさはある

          1週間のうち2日は取材や打ち合わせに、残りのほとんどは企画や執筆に時間を費やしている。そのため、私の家での滞在時間はとてもとても長い。 気分の変化を求めてお気に入りのカフェや取材帰りにどこか別の街で仕事をすることも当然ある。でも、これは毎回というわけにはいかないのだ。というのも、本の執筆など1冊分ガッツリ書くとなると、資料が大量で持ち運びができるレベル感ではない。紙の資料だってざっと机に広げながらやりたいし、執筆のピークとなると参考書籍は15冊以上がうず高く積まれる。 よ

          満員電車に乗らなくていい生活にも別の苦しさはある

          三途の川から手紙をください

          備忘録。思い出が薄れる前に書き留めておく。 一番間近でみた理想の夫婦像なのかもしれない。 元旦に私の父方の祖母が他界しました。旦那の実家に帰省していたときに知らせを受け、三が日が明けてから急いで帰ろうとしていた矢先、今度は3日に祖父が息を引き取りました。祖母92歳、祖父93歳の大往生。大きな病気もせず、祖母に関しては亡くなる数日前までコロコロ笑って楽しそうに過ごしていたようです。 祖母が眠るようにこの世を去った日、祖父はその数日前から入院して意識がない状態でした。 生前

          三途の川から手紙をください

          人生、だいたい迷子ですがなにか?

          私は普通の人が普通にできるようなことが、異常なまでにできない。 まず、地図がまったく読めない。文明の利器、GPSをフル稼働してすら迷子になる。待ち合わせ場所にはかなりの確率で辿り着けないし、角を2回以上曲がると完全にお手上げ。取材場所が現地集合のときは、おそるおそるGoogle地図で駅からの道順を検索するのだが、駅徒歩5分を超えているといつも絶望的な気分に陥る。我ながら酷い。 以前、地図好きの女友だちが、頭の中にいつも鳥瞰図的に道が浮かぶという話をしていて、人生で一度もそ

          人生、だいたい迷子ですがなにか?

          ワタリドリ製作所に込めた想い

          2016年1月、ワタリドリ製作所を立ち上げた。 「渡り鳥が軽やかに国境を越えて旅するように、好きな場所で好きな人たちと一緒にモノづくりをしたい」 その願いを込めて、東京の片隅でひっそりと物書きの仕事をスタートした。メディアの立ち上げや特集記事の企画からお手伝いすることが多かったので、自由な発想力が必要なプランナーとしての心の在り方も、ワタリドリの屋号に託した。 とても自由で晴れやかな気持ちだった。ひとところに留まると環境そのものに飽き飽きしてくるので、場所やメンバーが固

          ワタリドリ製作所に込めた想い