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天然鴨 〜レストラン編〜

冬の食材天然鴨、真鴨、オナガ鴨、ヒドリ、カルガモ(カルは渡り鳥ではない)等々、毎年11月頃に海を渡り日本に飛来する。一定の時期から僕の会社でも入荷し始める。
天然鴨は家禽(人の手により育てた)と鴨類と比べ似て非なる物だ。何千キロと飛んで得た筋肉(赤身)の味は独特でなんとも形容し難い、まさに天然の味だ。
12月に入る頃にはフランス料理店を初め、クリスマスにかけてとても需要が高まってくる。
鴨の種類も重要だ。真鴨の雄(コルベール)は一番人気があるのは昔から変わらない。

5年程前くらいからフランス料理、イタリアンだけではなく、日本料理店でも天然鴨のご依頼を頂く事が増えてきている事も取り扱っている側としてはとても嬉しく感じている。
良い意味での普及に一役かえていれば幸いだ。

そもそもの話になるが、丸々一羽の鴨を目の前に、包丁やナイフで捌き、調理する。それを行える料理人さんである事が当然の条件となる。僕もへたの横好きで自身で捌き食べるのだが、そこには一定の食材に対する敬意が必要となる。昔からよく聞く「命を頂く」事を直に意識する瞬間がある。

そして最も重要な点は、天然鴨の味が好きだという事。ここは僕の仕事でもある。
仮に天然鴨を知らなければ、知ってもらい、興味をもってもらい、そして味を好きになってもらう。

知らなかった、触れてきた事が無かった、そんな方々が毎年天然鴨の入荷を楽しみにしてくれる様になった時は感無量だ。季節の食材の始まりを共に興奮し喜べる瞬間はこれもまた形容しがたい、まさに仕事の魔力だ。

来年の冬が既に楽しみである。

拝読ありがとうございます。

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