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再現性のない生き方のススメ

ときおり「キャリアについて聞きたい」と言われることがある。後輩のマンノ君のnote触発されたこともあり、いい機会なのでまとめておくことにする。

今まで何人かの後輩に「ワタルさんの生き方は再現性がなさ過ぎて参考にならない」という趣旨のこと(クレーム?)を言われたことがある。

その時は「なんか力になれなくてゴメンね…」と思いつつ、確かに再現性は無いなと思う。

時を戻そう。

留年1年目の4月から大学生のまま就活を一切せずにバイト先の学生ベンチャーに就職し、ド文系の哲学専攻でWordすら使えなかったのに、FlashというゲームやU.I.を作成するオーサリング&プログラミングツールを学びはじめたところ、とんとん拍子に時流に乗ってなぜか "web designing"という一番メジャーなWEBデザイナー向け雑誌に1年弱連載記事を書くことになったり。
さらには、高校生以降全く英語の勉強してないのに2年間弱海外事業を担当し、25歳の時にUSで開催された世界最大のモバイルカンファレンス "CTIA"に出展し、ひどい英語のインタビューネットニュースとして紹介されたりもした(恥ずかしすぎるけど、さすがに15年前は別人格扱いなのでノーダメージ)。

2009年に株式会社ORSOを創業してからも、そもそも開発なんか1ミリも関わったこと無いのに大規模WEBサービスの開発チームを率いるCTOになったり、組織のマネージメントなんかしたことないのに副社長として全事業を見ることになったりもした。

40歳になってからはとうとうIT業界とは全く事業領域の異なる「スポーツビジネス」のど真ん中に飛び込んでしまった。

仕事だけでもこんな感じだ。
プライベートについてここで多くは語らない(語れない?)けど、例えば34歳から今までずっとシェアハウスに住んでいたりする。

「俺すげー」をしたいのでは全くない。
伝えたいのは、ほとんど全ての出来事が「~したことないのに〇〇しちゃった」になっている、ということだ。

「とはいえ、最初からある程度は出来たんでしょ?」と言われることもあるが、そんなことは全くない。

英語で会話した事なんか数えるほどしかなかった。
Flashを始めるときはそもそもソフトウェアという概念を知らなかったので、立川のビックカメラに買いに行ったときに店員さんに「お探しなのはFlashメモリのことですか?それともmacromedia Flashのことですか?」と聞かれたときは「???(恥」となった。
万事そんな感じだ。

でも、全くやった事が無いということは「失うものは1ミリもない」ということでもある。失敗して当たり前。

そんな環境に身を置くと「うまくやらなきゃ!」という精神的プレッシャーも無く、毎日ひたすら成功体験を積むことになる(ここでの成功体験は「上手くいった」だけではなく、「上手くいかなかったけれど学びがあった」も含む)。Lv.1からのスタートなんだから当然といえば当然だ。成功体験を積み続けると必然的にモチベーションが上がり続け、エネルギーも増す。

この「若いうちに成功体験を積みまくっておく」ということが、多分めちゃめちゃ大事なんだと思う。

知識よりも、能力よりも、スキルよりももっと根本の、「頑張ったらうまく行く」という根拠の無い確信を持っていることは、全ての行動において強力な原動力になる。
これは生まれつきの部分もあるが、成功体験を積むことで後天的に伸ばすことができる。というか、後天的に伸ばすことしか僕らには打てる手が無い。
「全くやった事がない」という環境に身を置き続けることは、パフォーマンスを上げるには一番適しているんだと思う。

人生の再現性の話に戻そう。

結論から言うと、僕は再現性の無い生き方を選んだ方が、合理的に考えて得をすると思っている。

再現性があるということは「それをするとどうなるかが明確になっている」ということだ。そして多くの人がそれを知っているということだ。

そこにワクワクするような新しい学びは多くない。
また「それをするとどうなるかが明確」なので、その成長プロセスはどんどん効率化され、難易度の低下とともにコモディティ化し、価値も減って行く。

再現性がある生き方を続けると、エネルギーも湧かないし人生の相対的な価値もどんどん下がっていってしまい、デメリットしかない。

もちろん人間の認知は「前回うまく行った方法を次もやる」という行動を勧めてくる。なぜならば、それが今までの人類の歴史の中で最も生存確率の高いアルゴリズムだったからだ。

企業にとっても、再現性のある環境を整えることはある意味で理にかなっている。なぜならば「特定の人にしかできない仕事」がある状態はリスクであり、目の前の予算達成の確実性が下がってしまうから。こうやって全ての仕事は平準化されていく。

でも、これから時代は変わっていく。

昨日までうまく行っていた方法は、今日は全く価値が無くなってしまうかも知れない。
今やっている仕事は明日消滅するかも知れない。

そんなことが起きる確率がどんどん高くなっていくはずだ。

それに合わせて、僕らも生き方を変えなければならない。DNAレベルで染みついた認知のクセと、資本主義の原理原則に抗わなければいけない。

だから僕は、「再現性のない生き方」をおススメする。

再現性のある人生とは「読みやすいけど中身の薄い物語」のようなものだ。

難解であっても、自分にしか書けない充実した物語を紡いでいきたいと思う。


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