見出し画像

千葉篤胤の転生記_04~治承・寿永の乱

篤胤は「胤道としてこの時代を生きていく決意」をした。このことはブレてないのだが、正しくは「胤道と共にこの時代を生きていく」が正解と気づく。

起きたら誰かが篤胤に語り掛けてきた。寝室に独りぼっちの中、語り掛けてくるも周りにはだれもいない。じゃあ、この声はなに?誰?

(君が篤胤?そうなんだろう?)

また声がする。わかった。誰かじゃなく篤胤の心に語り掛けてきてるのか。声の主は胤通と言った。今この状態は篤胤が胤通の体に入っているだけでなく意識ある状態で2人同時にいるという事のようだ。

てっきり篤胤は胤通として丸々この時代を過ごすと決意したものの、胤通自体は存在しており、篤胤は間借のようにこの時代を生きるという多少複雑な関係のようだ。

篤胤は胤通に意識下で聞くと、篤胤からすると丸一日過ぎたことが分かった。胤通の父親である常胤は「お前の中に未来からきた篤胤という子孫がいた」という事を胤通には伝えていたようだ。

篤胤と胤通は言葉を交わしつつ幾つか確認をした。

まずはこの2人同時に意識がある時は体を動かせるのは胤通となる事。篤胤は動かせないし、しゃべることもできない。

また、篤胤は胤通はどんな顔をしているかを見たことがないので胤通に鏡を見てもらった。なんと篤胤と胤通はそっくりという事が分かった。そして右目が真っ赤になっていた。篤胤が胤通に聞くもこんな真っ赤になった眼になったことは初めてだという。

せっかくなので篤胤は胤通に兄弟の事を訪ねた。

1番上が胤正。思慮深く皆が頼っている。
2番目が師常。なんでもこなせて起用で特に弓は兄弟で一番うまい。
3番目が胤盛。結構方々で探りに出ているので下総にはあまりいない。
4番目が胤信。力が滅法強く一直線な気質。
5番目が今いる胤通。よく真面目で優しいと言われるそうだ。
6番目は胤頼。都で使えている身で官位は千葉一族で一番高い。
7番目は日胤。幼少から都にある八幡宮にいる。

篤胤は6人じゃなかったのかという事と、胤通は兄弟でなんの特徴もないなと察してしまった。

ちなみに胤正の歳は30半ばらしいが、他の兄弟は20前後らしい。胤正は他の兄弟からするともう一人の父親みたいのようだ。

胤通が言うには奥の座敷に父親である常胤と兄弟達が集まっているらしい。奥の座敷へと進むと仏像が祭ってある中、奥真ん中に常胤が座っていて、他4名が左右に座っていた。

仏像は篤胤の家にもあった。見慣れた仏像「妙見様」だ。妙見様を祭ってるのをみるとやっぱりこの人たちは先祖なんだよねと改めて篤胤は感じた。

左右の4人を常胤が紹介した。左奥が胤正、右奥が師常、左前が胤盛、右奥が胤信。篤胤としては胤通から聞いていたイメージと違わない面々だった。特に胤信は巨漢で想像通りすぎた。

まずは胤通が今は胤通だが篤胤が中にいるという結構難解な説明をしどろもどろしながら皆にしていた。

胤正からは「もっと明瞭に伝わるように話せ」と指摘され
師常からは「どんな気分なんだ」と質問され
胤盛からは「なぜ未来人がこの時代に来ているのか」と詰問され
胤信からは「真っ二つにしたら2人になるのでは」と言われた

色々問答はあったが、結局皆いまの現象はなんとか納得して、これから来るであろう頼朝挙兵に向けてどうするかという話に移った。

篤胤としてはここでどうこう考えても、主役である頼朝がなにをどう考えているかわからないと手の打ちようもないとは感じていた。篤胤は胤通にみんなにこのことを提案してほしいと頼んだ。

「父上、兄上達。篤胤はこう言っています。『まずは頼朝様に遭って気持ちをしりたいのでどうしたら会えるか』と」

千葉篤胤の転生記_05 へ






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?