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【ACLベトナム取材メモ】#3 愛弟子に聞いた横浜F・マリノス新コーチの人物像

相手を知って、もっと楽しく

 みなさん、こんにちは。

 今日はACLのグループステージ第3節、横浜F・マリノス対シドニーFCが行われますね。

 試合に先立って前日には必ず公式記者会見が行われます。グループ内の4クラブから監督と選手が必ず1人ずつ登壇して、試合に向けた意気込みを語る場です。

 今回のACLの場合は、試合会場となるトンニャット・スタジアムにて4クラブ全ての記者会見が連続で開かれます。これはメディア側としても非常にありがたいスケジュールです。

シドニーFCの横浜F・マリノス戦前日記者会見の様子

 昨日はマリノスとシドニーFCの記者会見に出席して、何本か記事を書きました。

角田涼太朗が初のACLで感じる「すごく幸せなこと」とは? 横浜F・マリノスは22日にシドニーFC戦【ACL】(フットボールチャンネル)

マスカット監督「90%は自分たちのサッカーをどうやっていくか」。では、横浜F・マリノスにとって「残り10%」は?【ACL】(フットボールチャンネル)

シドニーFCには日本の高校サッカー出身DFがいる! 横浜F・マリノス戦へ「Jクラブとの対戦はどんな時も特別」【ACL】(フットボールチャンネル)

横浜F・マリノスとシドニーFC、両監督は17歳からの戦友。マスカット監督「友人だが、90分間は敵」【ACL】(フットボールチャンネル)

 完全に個人的な趣味も含まれるのですが、こうした国際試合での対戦相手の取材が僕は大好きです。なかなか話を聞ける機会はないですし、自分の知らなかったことを新たな知識として蓄えられる場にもなります。

 また、国際試合では同じ会場で同じ日に2試合以上を行うことも珍しくありません。そうなった場合、僕としてはメインターゲットとなる試合以外もなるべく全部見たいし、記者会見やミックスゾーンにも足を運んで関係者に話を聞きたいと思っています(全てが記事になるわけではないですが)。

 今回のACLでも、現時点で終了している4試合は全て見て、ミックスゾーンにも入りました。そこに行けば、普段日本で過ごしているだけでは話を聞くことのできない選手に“合法的に”自分の疑問をぶつけられる。彼ら彼女たちの言葉が面白ければ原稿にすればいいというわけです。

 例えばベトナムに集まっている4クラブが同じグループに入ると決まった時に思い浮かんだのは、「シドニーFCのコナー・オトゥール選手に話を聞く機会があるかもしれない」「全北現代モータースの邦本宜裕選手と会えるかもしれない」ということでした。

 前者は日本で高校時代を過ごした日経オーストラリア人選手で、後者は当然日本人選手。全北現代やホアンアイン・ザライには元Jリーガーも多いですし、彼らと話す機会が訪れるのを楽しみにしていました。

※コナー・オトゥール選手については、こちらの記事がとても参考になります。

 サッカーが好きなら、自分の応援しているチームや追いかけているチームだけでなく、対戦相手のことも知ると観戦が何倍も楽しくなります。

 コロナ禍で日本代表戦も対戦相手の取材機会がごくごく限られたものになって久しかったので、昨年の東京五輪や今回のACLは改めてその楽しさを思い出すいい機会になっています。

 ぜひみなさんも「相手」のことを知り、そこからさらに視野を広げながら、サッカーをもっと楽しむためのキッカケを見つけてみてください。

災いが転じて福になった

 ここからは余談で日常の話を少しだけ。

 実は昨日、ツイッターにも書いた通りにちょっとややこしいトラブルがありました。

 今日、改めてその問題を解決(したのかわからないけど)した後、カフェでのんびりしていたら1人の男性に声をかけられました。

 こちらが日本人だと伝えると、日本語で話してくるのです。名前は「イェレ」。フィンランドからやってきた旅人だそうで、フィリピン人の友人と一緒にホーチミンに滞在しているとのことでした。

 そこで意気投合した我々は、近くのローカルなレストランに行って昼食をとることに。何度も日本を訪れたことがあり、好きなスポーツは「日本の野球。特に阪神タイガース」だというイェレと友人を、その場でACL観戦に誘いました。

 チケットも確保してあるので、ゴール裏のマリノスサポーターのみなさんはぜひ温かく迎え入れてあげてください。よろしくお願いします。

 予期せぬ出会いもあるのが旅の魅力。世界中に友だちができますし、時々本当に「持つべきは友」と思うことがあります。今回のホテルとのトラブルもそうでした。感謝。

今日のおまけ

 それでは最後におまけとして、前節のホアンアイン・ザライ戦後に聞いたシドニーFCの選手コメントをみなさんにご覧いただこうと思います。マリノス戦に向けた発言もあるので、何かの参考になれば。

 コナー・オトゥール選手には、ブリスベン・ロアー時代に師事したロス・アロイージさんについても聞いています。そう、4月から横浜F・マリノスの新アシスタントコーチに就任したアロイージさんです。

 今回はコナー選手が師であるアロイージコーチについて語っている部分だけ有料にさせていただきます。ご覧になりたい方は、応援だと思って少しだけ財布の紐を緩めていただければ幸いです。

 では、今夜こそ勝ちましょう!

ルシアーノ・ナルシンフ(元オランダ代表、PSVなどで活躍)

――残念な結果になったと思うが、試合を振り返って。

「立ち上がりはすごく良くて、最初の25分はチャンスも作れていた。僕たちにPKが2つ与えられるべきだったと思う。そうはならず、相手が先制してから難しい試合になってしまった。本当にタフな試合だった」

――次の試合は横浜F・マリノス戦になる。そこから2連戦で、このグループで最も強い相手だと思うが、どんな試合を期待するか

「難しい試合になるだろう。おっしゃる通り、マリノスはこのグループで最も強力なチーム。最善の準備を尽くして臨みたい。そうすればいい結果が得られるはずだ」

アンドリュー・レッドメイン(現役オーストラリア代表GK)

――2試合連続の引き分けになってしまった。望んでいた結果ではないと思うが、どう振り返るか。

「勝てばグループ首位になれる可能性もある試合だった。だからこそ引き分けたことは非常に残念だ。僕たちの方が優っていた時間帯も多く、特に前半は相手陣内で試合を支配できていたと思う。いくつもチャンスを作れていたし、あの時間帯に1点でも決めておきたかった」

――確かに序盤の25分までは完全にシドニーFCの流れだったが、相手の先制点によって全てが変わってしまった。

「おっしゃる通り、先制点で流れが大きく変わった。僕たちにもPKでいいようなチャンスがいくつかあったし、流れの中でもいいチャンスを作れていた。やはり先制点が試合の流れを全て変えてしまったんだと思う」

――相手の先制点の場面、何が起こっていたのか。

「ディフレクションだ。最初に反応した方向と逆にボールが跳ね返ってしまって、もう一度反応したがダメだった。あれではどうしようもない」

――次節から横浜F・マリノスとの2連戦になる。相手はグループ内で最も強力なチームだと思うが、どのように対抗していくつもりか。

「驚くほど素晴らしいフットボールをしているチームだ。戦術もそうだし、選手たちも非常に優秀だと思う。僕たちは次の試合で何としてもいい結果をつかみ取って、グループの中で前進しなければならない。僕たちの団結力を見せて、自分たちの流れに持っていって勝利したい」

――マリノスの印象は?

「素晴らしいチーム。2年前にグループステージで対戦した時の印象が強く残っている。非常にクオリティが高く、ハイスピードなプレーを見せていた。いまはケヴィン・マスカットが監督になって、また素晴らしいチームを作り上げている。マリノスとの対戦は本当に難しい試合になると思うが、自分たちを信じて頑張りたい」

――グループステージ残り4試合で思い描く理想のシナリオは?

「とにかく勝たなければいけない。まず3試合勝てば、決勝トーナメントに進めるのではないか。できることを全てやって、目の前の試合に勝ち切ること。そうすれば勝ち点3をつかみ取ることができる。僕たちにもマリノスに勝てるだけの力やチャンスがあると思うし、どんな可能性もありうると言っておきたい」

コナー・オトゥール(元成立学園高校、ブリスベン・ロアーなど)

ホアンアイン・ザライ戦後に取材に応じてくれたコナー・オトゥール選手

ーー悔しい結果になってしまいました。今大会初出場でしたが、試合を振り返って。

「すごく疲れました。見ての通り、ものすごく暑かったです。たくさんの選手が出番をもらって、個人としては良いパフォーマンスができたと思います。全体を通しても良い試合ができたと思いますけど、かなり不運でした。ディフレクションがあって、相手のシュートがゴールに入ってしまった。けど、僕たちはたくさんのチャンスを作りましたし、PKになるようなチャンスもありました。引き分けは良い結果だと思うし、次の試合でしっかり勝ちたいと思います」

ーー最初の2試合で2ポイントだが、この結果をどう捉えていますか?

「次がすごく大事な試合になると思います。それに勝てば、残りの3試合に有利な立場で臨めるはずです。もちろん簡単な試合ではないですけど、毎試合自分で自分を鼓舞して、全ての試合がとても大事だという意識で挑みたいと思います」

ーー現時点で感じているチームの改善点は何ですか?

「ゴールを取ることですね。今日はたくさんチャンスがあったと思いますし、それを決めたら簡単な試合になった。最初の30分くらいはずっと相手陣内にいたのに、4回くらいしかシュートしていない。そこから相手にゴールを取られて、オープンな展開となり、自分たちにプレッシャーがかかって硬くなってしまった。そうならないように前半のうちに試合を決めるべきだったと思います」

ーーやはり相手が先制点でエネルギーを得てしまった。

「その通りだと思います。相手にとってはホームゲームみたいでしたし、観客が彼らのことをすごく応援していました。だからこそ前半のうちに試合を終わらせなければいけなかったと思います」

ーーロス・アロイージさんはどんな人ですか?

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