人喰い閻魔

今回は暑さの厳しいこの時期に日本のお寺や仏像にまつわる涼しくなるお話をしたいと思います。

これは東京の新宿にある太宗寺というお寺さんのお話です。
 
この太宗寺には高さが5.5メートルもある大きな閻魔様がいらっしゃいます。この閻魔様は江戸三大閻魔の一つにも数えられ、都内でも最大級の大きさです。
 
この閻魔様は文化11年に安置されましたが、火災や震災にあうたびに修復され、今では頭部のみが造立当初のものと言われています。
 
弘化4年(1847年)には泥酔者が閻魔像の目玉をとるという事件が起こり、錦絵に描かれるほどの大騒ぎになったと言われています。
 
この太宗寺の閻魔様にはこんな伝説が残されています。
 
昔、大宗寺の境内で一人の乳母が赤ん坊を背負い、子守りをしていました。ある時、赤ん坊が泣き始め、いくらあやしても泣き止みませんでした。乳母は「そんなに泣くと閻魔様に食べられてしまうよ」と言うと、泣き声はぴたりと止みました。ほっとした乳母でしたが、ふと違和感に気が付きました。振り向くと背中から赤ん坊の姿が消えていました。あわてて境内を探すと閻魔像の口から紐がぶら下がっているのを発見しました。その紐はさっきまで赤ん坊をおぶっていたおんぶ紐でした。赤ん坊は閻魔様に食べられてしまいました。
それ以来、太宗寺に子供を連れていく時は、絶対に子供から目を離してはいけないと言われています。
 
 

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