【歌詞考察】Aimer Blind to you 月の約束

■「Blind to you」の変則解釈(前おき)

Aimerさんの歌「Blind to you」は普通に解釈すれば、既に別れた恋人の事をずっと思っている主人公の話としてとらえる事ができるかと思います。
しかし、主人公をAimerさん、別れた恋人をAimerさんから離れていったファンとしてとらえると別の解釈ができるかもと思ったので、その事を話します。

結論的には、Aimerさんが、「変わっちゃったね」の件で自身の元から離れていったファンの事を今でも想い、時折悲しくなっているというお話です。

※いつもどおり、ある種私の妄想なのでその点ご承知の上でお願いします。


■「変わっちゃったね」の件

Aimerさんは、これまで音楽を作ってこられる中で、楽曲の作り方に変化がありました。その変化を見てAimerさんから離れていったファンがいたそうです。

Aimerさんは、活動初期の頃は「夜」をテーマにした曲を作る事が多く、1~3枚目のアルバム(「Sleepless Nights」、「Midnight Sun」、「DAWN」)までは夜をテーマにしていました。そして、それらの夜の曲はAimerさんご自身の内面と向き合って作られているようです。
そして、その3つのアルバムで一旦、「夜」をテーマとする事を終えられ以降(4枚目のアルバム以降)はそれまでとは異なるテーマで楽曲作成をされていきます。

4枚目の「daydream」というアルバムで多くのアーティストさんとコラボしてそれまでのAimerのイメージを壊そうとしたり、5枚目の「Sun Dance & Penny Rain」というアルバムでファンと一緒に楽しむ楽曲を作ったり、これまでと一転して自身の外の方向(他者)を向いた、「夜」ではなく「日中」や「太陽」等の光をテーマにした楽曲やアルバムも作ってこられました。

しかし、そういった4枚目のアルバム以降に見られる楽曲の変化を見て、「変わっちゃったね」と思い、Aimerさんから離れていったファンがいたそうです。
そして、そのことについてAimerさんは悩んでおられました。
今回の「Torches」にて、また「夜」をテーマにしてシングルを作ってらっしゃいますが、その悩んでいた思いが込められているようです。

詳しくは以下の、音楽ナタリー「Torches」のインタビュー記事の「何も変わらないまま進んできたのに」の項を参照してください。

「B-PASS」2019年9月号にも別の視点から同様の事が語られているので、より深く知りたい人はそちらもどうぞ。


■I promise you the moon

話はかわりますが重要なので先にこの歌詞の話をします。

「Blind to you」には「I promise you the moon」という歌詞がでてきます。
普通に考えれば主人公と別れた恋人は「月」に関して何らかの約束をしてたようです。

実は、私達ファンも、「月」に関連して、Aimerさんに約束のような事をして貰っていました。
その約束は、夜のアルバム3部作の最後のアルバム「DAWN」の最後の曲「MOON RIVER」という曲に込められています。

「DAWN」という「夜」の最後のアルバムの最後の曲を、「MOON RIVER」という旅立ちを歌った曲にする事で、いつかまた「新しい夜」の楽曲を作る意志を表明してくれていました。

詳しくは以下の、音楽ナタリー3rdアルバム「DAWN」のインタビュー記事の「“夜明け”の意味を変える「MOON RIVER」」の項を参照。

その曲が「MOON RIVER」という事もあり、もし次に「新しい夜」へ向かう事があれば、「月」に関連した楽曲を作ろうという事まで決めていたのかもしれません。
そして、「Torches」にて、「新しい夜」の楽曲を作る事、また「Torches」の歌詞内に「月」を登場させる事で、その約束を守って下さっています。


■サビ周辺のざっくり説明

上記踏まえて歌詞をみていくと一番最初に述べた結論が見えてきます。
以下の歌詞を説明します。

/////////以下説明する歌詞/////////
You could be my proof
I promise you the moon
出口のない景色の中で
大げさな約束に 意味などない
You still stay in my heart

‘Cause I’m blind to you
I just cry for you
名前のない季節の隅で
遅過ぎる夕鳴きに 返事はない
You still stay in my heart
I know it’s over
You never belong to me

It’s too late
/////////以上説明する歌詞/////////

一応全文歌詞のリンクを載せます。

You could be my proof
I promise you the moon

↑に述べた月の約束の話。
自身が約束を守って夜の月の歌(Toerches)を作成している事から、かつてのファンと交わした約束(当時のファン自身)が、現在の自身の存在の証明(proof)かもしれないと言っている。


出口のない景色の中で
大げさな約束に 意味などない

約束したファンは、Aimerさんが「変わっちゃったね」と思い、Aimerさんのもとを去っている事から約束に意味がなかったと言っている。


You still stay in my heart

今でもAimerさんが、自身の元から去ったファンの事を思っているという事。


‘Cause I’m blind to you
I just cry for you

4thアルバム「daydream」以降、自身の内(me)ではなく自身の外(you)を向いた楽曲を、「夜」ではなく「光」に関連した楽曲を作っていた。
しかし、結果的にファンが「変わっちゃったね」と思い離れていったことから、「blind to you」目がくらんで見えなかったと表している。
そして、自身の元から去ったファンの事を思って泣いている事を意味している。


名前のない季節の隅で
遅過ぎる夕鳴きに 返事はない

やっと「夜」のテーマに戻って来て、↑のような事を歌っても、自身の元を去ったファンには聴いてもらえない。返事はないという事。


You still stay in my heart
I know it’s over
You never belong to me

もう過ぎてしまった事であり、自身の元を去ったファンが戻ってこない事も分かっていると言っている。


It’s too late

「夜」に戻ってくるのが遅すぎたと言っている。


よって、最初の結論である、『Aimerさんが自身の元から離れていったファンの事を今でも想い、時折悲しくなっている』という話に着地します。
以上、「Blind to you」の変則解釈の説明でした。

■感想(2019/08/14 リリース当時の私の感想)

「そんな人達の事忘れてしまえばいい」と思ったのが最初の正直な感想でした。
そして、そんな「Blind to you」の声が美しすぎてどうしたらいいのかわからない気分でした。

でも、「Blind to you」は聴けば聴くほど、考えれば考えるほど肯定できる悲しみだなと思い直しました。

音楽ナタリー「Torches」の全文読んだらわかるのですが、「Blind to you」って音としてそんなに悲しい悲しいしてないらしいのです。
聴きなおしてみると、Aimerさんの声も消え入りそうな儚さとかはあまり感じず、それでいて美しい。また、曲の展開としても後半程コーラスが増えたりして悲しみに振りきらない感じでした。

そして、今回考えてみてよく分かったのですが、この悲しみはあの「Torches」に繋がっってるのです。
あの曲の「強さ」「美しさ」「優しさ」、またファンもAimerさん自身も「一人じゃない」と思える結論に繋がっているのです。
だからこそ、この悲しみは肯定できると思いました。

Aimerさんの生き方を肯定して、新しい夜の道(でこぼこ道)をお供しようと思いました。
たいまつ持って。

「Blind to you」は聴けば聴くほど深い曲です。皆さんもぜひに。


以下完全蛇足の現在の私の感想ですが、

当時の私過激ですねw
今はAimerさんは何も捨てない人だとわかってるので、とてもAimerさんらしい歌詞だなと思います。
SPARK-AGAINの歌詞「失くしてきたものなら数知れず 捨ててしまったものなど 何もない」とかからもよくわかります。
失う事が多いからこそ大事なものをわかっていて、だからこそしんどい道でも捨てない道を選ぶ、そんな方なのです。

-おわり-

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