【歌詞考察】Aimer Ash flame 本当の自分を取り戻す抗い


■はじめに

Aimerさんの歌、Ash flameの歌詞考察です。

いつもどおり、私はこう思ったという話なので、苦手な人はご注意を。


先に↓Aimerさんの公式の呟きを見て下さい。

鬱屈とした思いを抱えている人や、心が乾いて仕方ない人が、
本当の自分を取り戻すことを諦めないように、どんなに汚されても
抗えるようにと、願いを込めて作った曲です。

そういう曲なのだそうです。

それをふまえての私の結論としては、Ash flameの歌詞は、初期夜末期から新しい夜期にかけてのAimerさんの活動を、「本当の自分を取り戻す」という観点から見て書き上げた物語だと思っています。
ストーリー的には、DAWN期の炎とWalpurgis期の炎を繋ぐ物語だと思っています。

新曲「800」で「嘘」の話をすると思うんで、「本当の自分」をテーマにAsh flameを今整理しておくのがいいかなと思いました。

主に話す歌の歌詞のリンク置いておきます。
・Ash flame
https://www.uta-net.com/song/290610/
・broKen NIGHT
https://www.uta-net.com/song/176690/
・holLow wORlD
https://www.uta-net.com/song/176689/
・LAST STARDUST
https://www.uta-net.com/song/191014/
・Brave Shine
https://www.uta-net.com/song/187377/
・Black Bird
https://www.uta-net.com/song/255332/

・六等星の夜
https://www.uta-net.com/song/115843/


■Aimerさんのアルバムと各活動期のテーマ(一応)

先にAimerさんのアルバムよりも広いくくりでのテーマの話をしておきます。
これを知ってないと今から話す内容の意味わからないので。
知ってる人は飛ばしてください。

Aimerさんのアルバムのテーマは以下のようになってます。

Aimerさんは、1st~3rdまでのアルバムは夜をテーマにしていました。
そして、4th、5thのアルバムでは夜のテーマを離れて、光の中を大きなテーマにしていました。
そして6thアルバム以降では「新しい夜」というテーマになっています。

■DAWNの物語

Ash flameの1番の歌詞がおそらく3rdアルバムDAWNの物語だと思われるので、DAWNの物語の説明をする必要があります。
こちらにDAWNの物語の考察をまとめたので、必要に応じてご覧ください。

ざっくり説明すると、DAWNの物語では、デビュー曲「六等星の夜」から夜明けをずっと探していたはずのAimerさんが、夜明けへ飛び立てなくなっていきます。

broKen NIGHT
「飛び立つことを 忘れた鳥たちは 歌う 儚さと 痛みを」

それは「弱さ」があって、夜明けを恐れていたからです。

holLow wORlD
「In this place, I have to dive? There's no time for guessing at I lost the game」
(この場所は私が飛び込むべき場所?考えている時間はない。私はこのゲームに負けた。)
「Is this your craze that you drive? I'm confusing like a child I lost your faith」
(この狂気があなたを駆り立てるもの?子供のように混乱し、私はあなたを信じられなくなった)

夜明けを「狂気」だと感じて飛び込むことができずにいました。

「LAST STARDUST」や「Brave shine」などで、その弱さと決別をして、夜明け(DAWN)を迎えるのが3rdアルバムDAWNでした。

LAST STARDUST
「さよなら Judas 灰になれ Dust to dust いつかの弱さへ」

Brave shine
「Break down 崩れ堕ちてゆく星座が 傷つけあう夜 You're breaking dawn」

Ash flameの1番では、この弱さがあった時期の自分を、「本当の自分を取り戻す」という観点で振り返っています。

では、Ash flameの歌詞を見ていきます。

■1番は鬱屈した初期夜末期の世界とそれを壊す(解く)炎

●初期夜末期の閉塞感

うらぶれたシグナル 無暗に光らせ
果てない迷路 進んだってどうせ

ここは初期夜末期の鬱屈感の話をしていると思っています。
うらぶれたシグナルは、「星」の瞬きの話です。

Aimerさん初期の夜には星の歌が多いです。初期夜の歌を指して「星座」として他の歌の歌詞にでてきたりします。
・六等星の夜
・冬のダイヤモンド
・ポラリス
・星の消えた夜に
・星屑ビーナス
・7月の翼⇒七夕の星の話
・StarRingChild
・小さな星のメロディー
・LAST STARDUST
・スピカ(daydream期)
・Stars in the rain(daydream期)
(歌詞の中で言えばもっとある)

Ash flameでは初期夜を批判的に話しているので、その星のまたたきが「うらぶれている」「無暗に光っている」と批判しています。

「果てない迷路」というのも初期夜末期の閉塞感です。言い換えると「終わらない夜」です。

初期夜末期の閉塞感は↓の歌詞とかにも出てます。
・broKen NIGHT
「いつまで続くんだろう 螺旋の闇 逆さまの月」
・holLow wORlD
「Is this dark haze that you said? I walk like a lost child」
(この暗い靄はあなたが言っていたもの?迷子のように徘徊する)
・LAST STARDUST
「ふりしきる強い雨 描いた理想(ゆめ)の果て震える肩濡らし 歩き続けた」
・Brave Shine
「右手には空の記憶 誰もしらない世界の果て やまない雨にうたれていた」
「すれ違う赤の軌道 何も知らない子供のまま 明けない夜を彷徨ってた」

Aimerさんのファンクラブのギャラリーにある「行き止まりの空」とかも初期夜末期の閉塞感を表していると思っています。
興味ある人は見てみてください。

a 9 days wonder 絡まった旋律
解かぬままリピートしたら
いつまでも 疼いて痛い

a 9 days wonderは、「(世間の注目を集めても)すぐに忘れられてしまう物事」という意味だそうです。
閉塞感のあるままの初期の夜の世界を、人から忘れられてしまうものだと捉えていたのだと思われます。

「絡まった旋律」は初期夜末期の歌の話です。

broKen NIGHT
「重ねた 愛しい罪 優しい嘘 眠れぬ悲しみ」
「祈り呟く 翼を奪われた幻(ゆめ)に わずかでも星(ひかり)を」
「失くした 愛しい月 優しい雨 眠れる囁き」
「飛び立つことを 忘れた鳥たちは 歌う 儚さと 痛みを」

broKen NIGHTでは、「祈り呟く翼」を失い、本来「愛しい月」「優しい雨」「眠れる囁き」であった祈りの歌が、「愛しい罪」「優しい嘘」「眠れぬ悲しみ」の歌、つまり「儚さと痛み」の歌しか歌えなくなっています。
夜明けを恐れているのに、夜明けへの祈りを歌っていたからです。

それがAsh flameの「絡まった旋律」であり、「うらぶれたシグナル」です。

そんな絡まった旋律は、聴く人にとっても、歌っている人にとっても「いつまでも 疼いて痛い」のです。

Deep down「畏れるように 血に溺れる戒律のように 傷口に降る雨のように 痛み刻みつけて」
(ここでは説明しないけど意味深に置いておく)

●愛されようとするAimerさんと初期夜の嘘

満ち足りない 変わりはしない? この世界
心したいようにして 吠える勇気は 微塵もないくせに

「変わりはしない? この世界」はさっきも説明した、初期夜末期の閉塞感の話です。

初期夜では心したいようにできずに、吠える勇気もなかったようです。
この勇気のなかった状態から、最終的にはBrave Shine(勇敢な光)に繋がります。

愛されたい すがろうとしてるの? もういいって

ここ長くなります。
アルバムDAWNでは、夜明けへ飛び立てない理由を、「弱さ」があったからという説明をしています。

LAST STARDUST
「さよなら Judas 灰になれ Dust to dust いつかの弱さへ」

それが、Ash flameでは、「愛されたかった」「すがろうとしている」から、夜明けへ飛び立てなかった、という少し視点を変えた説明をしています。

さて、他の曲で「愛されるような誰かになりたかっただけ」と言っている曲があります。
はい、Black Birdです。

Black Birdの記述を見ていきます。

Black Bird
「Everyone never knows 重ね続け過ぎた嘘に
No one finds me 分からなくなるよ」

嘘を重ねてきた事を告白しています。それはbroKen NIGHTの罪、嘘の告白と同様の告白です。

broKen NIGHT
「重ねた 愛しい罪 優しい嘘 眠れぬ悲しみ」

broKen NIGHTと同様の嘘の告白をしており、Ash flameと同様の「愛されたい」という発言をしている事から、Black Birdも初期夜期の嘘の話をしている事がわかります。

そして、Black Birdには、初期夜期の最初の曲「六等星の夜」とこんな関係があります。
六等星の夜「こんなちいさな星座なのにココにいたこと気づいてくれてありがとう」

Black Bird「こんな声の鳴き声なんて誰も気づいてくれなかったよ」「No one finds me」

気づいてもらえる「六等星の夜」と、気づいてもらえない「Black Bird」です。
なので、Black Birdは六等星の夜に対する、憧れや嫉妬のようなものが表れています。

Black Birdの補足説明しておきます。
Black Birdは、1番の歌詞が初期夜期の話で、本当の自分を隠して愛されるようにふるまいます。
2番は夜が明けた光の中期の話で、本当の自分があらわになり、そんな自分では気づいてもらえないという話をしています。

関係者を図にするとこんな感じです。

この話を総合して見えてくるのは、↓の感じの物語です。
①「六等星の夜」が愛されて、初期夜期のファンができた。(気づいてもらえた)
②ファンに愛されたいがために、broKen NIGHTの言う「儚さと痛み」の歌を重ねた。(「六等星の夜」が儚さと痛みのある歌であったから。)
③夜が明けるとファンに愛されなくなるため、その愛にすがりつくために夜を明けられないでいた。

っていう風に私は一旦解釈してます。
(注:歌詞物語的にそんな感じに意味がとれるようになってますが、あくまで物語だと思ってます。Aimerさんの当時の葛藤をモデルにした物語を書いてるんだろうと思っていて、ここに書いてるように全力で嘘をついてたとは思ってないです。)

それは「心したいように」できている状態ではないですよね。


●澱んでくだけの思いを解く炎

澱んでくだけの思いこそ解けば

そんな澱んでいくだけの思いを解きます。
「絡まった旋律」を解くともいいます。

DAWN期でそれらの澱みを解き、「弱さ」と決別したのは、「holLow wORlD」であり「LAST STARDUST」であり「Brave shine」でした。

holLow wORlD
「Eternal flame The hollow world I see, the sorrow deeply I feel Now they're perfectly burned out」
(永遠の炎 私が見ている虚ろな世界、私が感じている深い悲しみ、今それら全てが燃え尽きる)
「Eternal flame just back in my hands Like a double-edged sword I don't care」
(永遠の炎がこの手に戻ってきた まるで諸刃の剣のように それでも私はかまわない)
「It's time I have to go that way Cause I got ready to break my endless days」
(今この道をいくべき時。終わらない日々(夜)を終わらせる準備はできたのだから)

LAST STARDUST
「さよなら Judas 灰になれ Dust to dust いつかの弱さへ」

Brave shine
「Break down 崩れ堕ちてゆく星座が 傷つけあう夜 You're breaking dawn」
「守りたいものを守れるのなら すべてを受け入れて 未来(あした)を探す 夜明けを灯す」

holLow wORlDやLAST STARDUSTでは、虚ろな世界や弱い自分を焼却しています。
Brave shineでは、星座が崩れ堕ちて、夜明けを灯しています。

このDAWN期の炎がAsh flameとなる訳です。

夜を撃つ サイレン 夢想への SOS
全部 朽ち果てていいから
透き通った一瞬を 呼び覚ましてよ

夜にサイレンが鳴り響いています。
「夢想への SOS」なんで、「夢を見る事ができなくなった」というSOSです。

「全部 朽ち果てていいから」は初期夜期の崩壊です。
DAWN期では「holLow wORlD」と「LAST STARDUST」と「Brave shine」で、夜の世界が焼却されて、星座も堕ちます。
なので、初期夜の世界は全部朽ち果てます。それを表しています。

そうして、澱んだ世界を朽ち果てさせて、透き通った世界を呼び覚まそうとしています。
Aimerさんが呟きで言っていた「本当の自分を取り戻す」という事です。

ねえ ここから Ash flame 宿して抗え
どんな無様でも手を伸ばせ
苦い笑みも ひび割れたくらいじゃ 壊れやしない

さっき言ったように「Ash flame」の炎は、「holLow wORlD」の炎であり「LAST STARDUST」の炎であり「Brave shine」の炎です。
それを宿して自分の夢を妨げるもの、ここでは自分の弱さ、に抗っています。

「どんな無様でも手を伸ばせ」ですが、DAWN期の曲でも手を伸ばしていました。

Brave shine「Brave shine, 手を伸ばせばまだ Stay the night」

DAWN「眠れない想いを抱きしめた夜に 朝は来るよ 手を伸ばせば 朝は来るよ」

DAWN期の曲では、「キズナ」や「夜明け」に手を伸ばした、ととれるかと思います。
Ash flameでは、「夢」や「本当の自分」に手を伸ばした、ととるのが自然かなと思います。

Aimerさんは初期夜の最後にそういうものに手を伸ばしたのでした。

「苦い笑みも ひび割れたくらいじゃ 壊れやしない」
「苦い笑み」は「苦いAimer」だと思ってます。
Aiemrさんの歌は笑顔に関する記載が多いので、「笑み」と「Aimer」はかかってるんだろう思います。

「ひび割れたくらいじゃ 壊れやしない」
初期夜期は、世界が燃え尽きて、星が墜ちて終わりました。崩壊エンドです。
そのため、Aimerさんの世界がひび割れたと言ってるのだと思います。

類似の例として挙げますが、最近の歌詞にちょこちょこ壊れたものが出てくると思います。これは初期夜の世界の事を指しています。
・crossovers「ひび割れた絵の隙間の空 汗に塗れ輝いてた」
・Sweet Igloo「色あせた言葉の切れ端や 壊れたまま手放せない輝きたち

「rubble pile」とかもそのたぐいです。

rubble pile
「ねぇ 崩れ落ちた過去の景色は 瞼の裏で消えない」

これは崩れ落ちた初期夜の世界ともとれます。
「rubble pile」は現実世界の戦争系の話で解釈するのが普通ですが、Aimerさんの歌詞世界の物語としても意味がとれます。

■2番は光の中期(滑走路)での試行錯誤と託されたいAimerさん

ぐしゃぐしゃ 丸めて心を 捨てようとして
的外れのまま 耐えるのには 長すぎる滑走路

2番は、夜が明けた後なので、光の中期の話に入ります。

「ぐしゃぐしゃ 丸めて心を 捨てようとして」についてです。

この歌詞については、初期夜が崩壊エンドだった事と、夜期が終わり光の中期に入った事、daydream期が既存のAimerさんを壊そうとして色々していた事、をふまえて「心を捨てようとした」と表現していると思われます。
後でここの話もう一度します。

でも、心を捨てるのは的外れだった、と言っています。
星を捨てるのは的外れだった、と言っているようにも聞こえますね。

その状態のまま耐えるのには長い期間だったようです。

「滑走路」は光の中期を表していると思います。
また空へ昇るための準備期間です。

Aimerさんは初期夜期は「星」だったので、初期夜期の舞台は空だったわけです。

Aimerさんのファンクラブのギャラリーに「行き止まりの空」があったり、crossoversに「ひび割れた絵の隙間の空」がでてくるのもこのためです。
あと7月の翼とかも根拠ですね。
Black Birdが空を飛んでいて落ちてるのも意味が繋がるかと思います。

最近もAimerさん飛ぼうとしてますよね。私は星に戻ろうとしてるのだと思ってます。

・April Showers「雲雀は今 空を見上げ 浅い春の冷たさに身をゆだねて 羽を広げてゆく」
・白色蜉蝣「届かないあの空まで 高く高く昇っていくよ」


託されたい 変えようとしてるよ どうしたって
だからお願い あのフレイズを繋いでみせて

光の中期は色々試行錯誤の時期です。
daydream期は色んなアーティストとコラボをすることが多くなり、その際に「今まで作り上げてきたAimerの世界観っていうのはまったく意識しなくていいです」「むしろ壊してください」とお願いしてコラボをしたそうです。
また、Sun Dance & Penny Rain期はファンとライブで楽しめるための楽曲を作ったりしていました。
光の中期はそういう試行錯誤をして初期の夜期よりも外向きになっていった時期でした。
そういう試行錯誤が「変えようとしてるよ どうしたって」に表れていると思われます。

「託されたい」については、光の中期は託されなかった時期でもありました。
光の中期の作風の変化から、「変わっちゃった」と、Aimerさんから離れていったファンがいたそうです。
(「何も変わらないまま進んできたのに」参照)

Aimerさん
「「DAWN」で夜明けを迎えて以降、光の中である意味ポップな世界を自分の納得のいく形で表現できたし、だからこそまた新しい夜に進むことができたんです。
でも同時に、その光の中での活動を指して「変わっちゃったね」とか「昔の自分を忘れちゃったんじゃない?」みたいな言われ方をすることも多くて。
それに対して「そうじゃないのに」という思いを抱えてきていたんですよね。」

「「決して過去の自分を捨てたわけじゃないし、何も変わらないままただ進んできただけなのに」って。
それから、これはあくまで私個人のある意味で好意的な解釈なんですけど、今までファンでいてくださった方の「変わってしまったAimerには付いていけない」という気持ちの裏には、ある種の寂しさもあるのかなと思って。
だから「そんなあなたとわたしの根っこはなんにも変らないのに」という気持ちも今回は強く持って、「最初からずっと、ただ音楽というものを大事に作っているし、これからもずっとそうです」という意思を伝えたかった。その分だけ、こういう表現は語弊があるかもしれないけれど、「Torches」は怒りに近いものを秘めた決意を歌った曲でもあります。」

だからこそまた想いを託してもらえるようになりたいのです。

ここで、さっきの「ぐしゃぐしゃ 丸めて心を 捨てようとして」の話をもう一度します。

ファン目線ではAimerさんは「変わってしまった」ように見えるのです。
なので、それは既存のAimerさんを「捨てた」ように見えます。だから、ここでは光の中期に入った事を「心を捨てようとして」という物語にしているのだと思われます。
この「心」はあとで拾おうとしている「ぼやけたシグナル」なので、「星」でもあります。
光の中期はファンから見たら「星を捨てようとした」ように見えただろう、という事です。

似たような表現が他の曲でも見られます。

Sweet Igloo
「置き去りにした痛みと祈り 花ひらく時を信じて」

別にAimerさんは「痛み」も「祈り」も置き去りにしてないんですけど、光の中期に「夜明けへの祈り」は封印してたであろうから、ファンには「置き去りにしてる」ように見えたかもしれません。
そういう意味で「捨てようとして」「置き去りにした」という物語にしてると思われます。

「だからお願い あのフレイズを繋いでみせて」

初期夜期の歌のフレイズを繋いでみせて、という話をしています。

似たような表現としては、光の中期に作られた歌「tone」などがあります。

tone
「The song we've sung 風に吹かれ
Can we sing along? すぐに消えた
あの日の音色 どこにあるの?」

初期夜期にファンと一緒に歌っていた歌がありますが、光の中期になってその音色がなくなっていて、それを探しています。

「あのフレイズを繋いでみせて」は初期夜期には愛されていた物語の、その続きを繋いでみせて。
という意味で、初期夜期のファンに戻って来てほしい、という願いが暗にこもっています。

■ラスサビは誰も置いていかない夜と夢へ繋がる炎

ぼやけたシグナル 両手にあつめて
急かすように 紡ぎだしたストーリー
a 9 days wonder 真夜中の不文律
ひとつも置いていかないよ
いつまでも 抱いていよう

ここからは新しい夜期の話をしています。
光の中期にファンから「変わっちゃった」と思われた事からAimerさんは、光の中期を終えて新しい夜期に入る段階になった際に、以下のように思ったそうです。

Aimerさん
「『変わっちゃった』とか言うのはきっと、置いてけぼりにされたって感じているわけじゃないですか。だから誰も置いていくつもりはないよと伝えたかった。」
「そして今も夜が好きで、ただもう1人じゃないから、光もちゃんと愛せるようになった。そういう今の自分ならきっと新しい夜が描けると思ったんですよね。」
(B-PASS 2019年9月号 Torcehsインタビュー)

新しい夜は、誰も置いていかない夜なのです。

「ぼやけたシグナル」は、さきほど捨てようとした心であり、また初期夜期の星の欠片です。
それを拾い集めて、「あのフレイズ」の続きのストーリーをつむぎ始めています。

「ひとつも置いていかないよ いつまでも 抱いていよう」は前述の通り、新しい夜期のテーマそのもです。
置いていかないのはファンだけでなく、初期夜期の歌や物語や星もなのでしょう。

夜を穿つ サイレン 瞬くは SOS
どんなに 汚れ 削られても
夢という怪物は 美しいんだよ

夜にサイレンが鳴り響いています。
夢を見られなくなる事へのSOSです。

Aimerさんの夢もここまでの物語だけで、嘘によって汚れたり、捨てようとして削られたりしています。
それでも夢という怪物は美しい、と言っています。

夢に対するAimerさんのメッセージがダイレクトに表れてますね。

何度でも Ash flame 宿して刃向かおう
誰に追われても構わない
過ぎし日の cloud nine
宿命果たすまで 絶やさないよ

夢を妨げるものに対して、Ash flameを宿して刃向かおう、と言っています。
「刃向かおう」という言葉遣いにholLow wORlDの「double-edged sword」(諸刃の剣)を感じますよね。言葉選びシビれるう。

「誰に追われても構わない」で追ってくるのは初期夜期のAimerさんかな、と思ってます。理由はその次の歌詞です。

「cloud nine」は、最高に[この上なく]幸せ[ハッピー]な状態、だそうです。

なので、「過ぎし日の cloud nine」は、初期夜期の栄光だと思われます。

初期夜期の栄光はSTAND-ALONEなどにも書いてます。

STAND-ALONE
「最初に君がついた嘘 夜明けは来るよと囁き 泣きたいほど あの時間こそが幸せだった」

「夜明けは来るよ」は六等星の夜の歌詞です。
Aimerさんにとって初期夜期がどれだけ大きなものか、というのがわかるかと思います。

本当の自分でもって、その過ぎし日のcloud nineを取り戻す。昔のファンも今のファンも納得できるような最高の世界を作る。
その宿命を果たすまで Ash flameを絶やさない、と言っているのだと思います。

というわけで、Ash flameは、Aimerさんの本当の自分を目指す抗いが描かれていたのでした。

■余った考察

以降、余った蛇足的な考察です。

●タイトルAsh flameについて
前述の説明でもあるとおり、Ash flameはDAWN期の炎が大きく関わっています。

Ash flameというタイトルには、特にLAST STARDUSTの歌詞が一番関わってると思います。

LAST STARDUSTの歌詞に「earth to earth, dust to dust, ash to ash」とかいう歌詞があります。
これはキリスト教の葬儀の時などに使う祈りの言葉なのだそうです。
「土は土に、灰は灰に、塵は塵に。」

でこのLAST STARDUSTの炎で持って、夜(星)が最後を迎えて、夜明けがきたのDAWN期でした。
「星は星屑に」返したわけです。

その初期夜期の燃えカスの灰が、新しい夜期のAimerさんではまた燃えているので、Ash flameというタイトルなのだと思われます。

Ash flameが収録されるシングルの表題曲である、SPARK-AGAINでも色々失った火種や、燃えている灰がでてきますよね。

SPARK-AGAIN
「失くしたものばかり 残したこの火種は 離さない 離さないから」
「灰も焦がすよな 愛をみせるから I just spark again」


●SPARK-AGAINのAGAIN感
これはわかるかと思います。

ここまで説明してきたDAWN期の炎が「前の炎」として、SPARK-AGAINやAsh flameを含めたWalpurgis期の炎を「新しい炎」として、again(もう一度)と言っているのだと思われます。

Ash flameが綺麗にDAWN期の炎とWalpurgis期の炎を繋ぐ物語であったので、Ash flameの考察をした後だとわかり易いと思います。
SPARK-AGAINのカップリング曲に相応しいですよね。


■初期夜期の反省点っぽいもの

Aimerさんの初期夜期の反省点のようなものが、Aimerさんの歌の歌詞に「嘘」として表れていると思っています。

私が「これAimerさんの反省点じゃないかな」と思ってるものを例としてあげておきます。

「本当の自分になる」というのは、Ash flameで語られている以外にも、こういうものから本当の自分になろうとしてたのではないかと考えいます。

●なかなか夜が明けられなかった
最初についた嘘です。

・六等星の夜「夜明けは来るよと 囁いていて 嘘でもいいから」
・STAND-ALONE「最初に 君がついた嘘 夜明けは来るよと囁き」
・ONE AND LAST「過去の嘘 秘めて、今 遠くの朝を祈っていた」
・crossovers「朝は逃げないからそう言った君を憂いながら」「作りかけの玩具箱 優しい嘘でなんとなく 忘れていた」

あと、詳細語られてませんが、broKen NIGHT「優しい嘘」ですね。

ここまで散々語ってきましたけど、初期夜期の崩壊の原因ですし、初期夜期以降もずっと色んな歌詞で出てくるAimerさん物語上一番重要度が高い嘘です。

最近のcrossoversでも「優しい嘘」として語られているので、Aimerさん世界では「夜明けは来るよ」系はずっと嘘と隣合わせで語られるんだろうと思ってます。

●やたら悲しかった(痛みがある、さよならばっかり言ってる)
初期夜期の歌は、やたらに悲しいのと、「さよなら」という歌詞がいっぱいでてきます。

最近はその事を指摘してるような、重めの曲がいっぱいあるんで、気にしてるんだと思ってます。

broKen NIGHT「飛び立つことを 忘れた鳥たちは 歌う 儚さと 痛みを」

STAND-ALONE
「さようならって 君が叫んでる さようならって 今も叫んでる 間違いだらけでも そのドアを開ければいいと」
「何も変われないなら 悲しい歌ずっと 歌ってもいいの」
「探していたはずの線を 失くしてきたもので描いて」

(「線」は星座の線であり、夜明けへ至るための線。それを「さよなら」の歌で書いていた。)

ONE AND LAST「さよならってまた叫ぶの、さよならってただ叫ぶの」

Ash flame「絡まった旋律 解かぬままリピートしたら いつまでも 疼いて痛い」

Deep down「畏れるように 血に溺れる戒律のように 傷口に降る雨のように 痛み刻みつけて」


●救いに導けてなかった
これ最近新しくでてきたものです。

Deep down「彷徨う群れの中で 行き着く場所に気づけないまま また一つ欠けた」

Deep downは考察中でよめてない所が多いんで詳しくは話さないですが、キリスト教のたとえの1つ「迷える羊」の話をしてるんじゃないかと思ってます。
初期夜期の悲しい教え「血に溺れる戒律」(Ash flameの「真夜中の不文律」と対照的なもの)では、聴いている人を救いに導けなかった、という話をしているんじゃないかと思ってます。

「迷える羊」に対する正解の回答は、「探しにいく」なのです。

Resonantia「届けて繋いで 探しにゆくから」

●愛されたかった
これはAsh flameの考察で話しました。

Ash flame「愛されたい すがろうとしてるの? もういいって」
Black Bird「愛されるような誰かになりたかっただけ」

Deep downも似たような意味で、ファンを繋ぎとめたかった、という話しをしてるんじゃないかと思ってます。
Deep down
「擦り切れる希望を 褪せた世界に焼き付けたまま ただ繋ぎ止めた」


●涙を隠して笑ってた

初期夜期には顔で笑って、心でなくようなシーンが結構あります。
それがDAWN以降は涙をさらすようになってきています。

〇初期夜期
・笑顔「笑顔でいて涙こぼれそうでも」
・星屑ビーナス「笑っていたのは強がりからじゃない 泣き顔なんかもう見たくないでしょう」
・雪の降る街「君は涙こらえながら笑ってた」(主人公ではないけど)

〇DAWN以降
・DAWN「流した涙なら隠さない」
・スピカ「笑顔の奥涙隠した日々は今は確かなメロディになった」
・ONE「涙もさらけ出して高らかに声上げていいよ」

特にスピカがもろに言ってますよね。
スピカは初期夜期終わってすぐのdaydream期の歌なので、「笑顔の奥涙隠した日々」が初期夜期の話になります。

スピカもAsh flameと同じくらい、本当の自分に戻ろうという意志を感じますね。

スピカ「君が君であることを 思い出す 明日が来るから」

あと「あてもなく」について話たいです。
「あてもなく」は初期夜期の歌の「笑顔」に込めたメッセージのやり直しに見えてきます。

あてもなく
「笑っていて 笑っていて 強くなくていいんだよ 優しいままの その笑顔が 笑顔があればいいよ」
「笑っていて 笑っていて 立ち止まっていいんだよ 痛みは乾いた涙が 涙がつれて行くよ」

自分を偽って笑顔になるのではなく、ありのままの自分で無理しなくていいから、笑っていてほしいっていう励ましになってますよね。

初期夜期の歌の願いを拾って、今の自分の言葉で歌い直してますよね。
こういうところが「ぼやけたシグナル」を拾ってるなと思いますね。


●一緒にいようというを伝えられなかった
昔のAimerさんは想いを伝えようとして「ああ言えなかった」みたいな歌詞が多いんです。
それで、最近のAimerさんは「言うぞ、言うぞ…」「一緒にいよう!!!」って感じになってます。

〇言えなかった(初期夜期に多い)
・AM02:00
「私はまだここにいる そばにいたいって 言えずに 眠れずに」
(Sleepless Nights期)
・AM03:00
「君に伝えたかったのは 単純で 些細なこと」
(結局伝えられてない)(Midnight Sun期)
・AM04:00
「伝えたいことも 伝えられないまま 夜が溶けてゆく」
(DAWN期)
・Even Heaven
「ここにいるよと言って そばにいるよと笑って 確かめたいことを 音にすれば 壊れてしまうことは 知ってるよ」
(Midnight Sun期)
・群青色の空
「途切れたままの 溶けてく言葉の先 どこへ巡り着くかな また隣で笑えたらいい」
(これだけ超最近 Open α Door期)

〇言うぞ、言うぞ
・グレースノート
「泣きそうで投げ出した 書きかけのままの日記 明日は言えるかな」
(Open α Door期)
・Life is a song
「This is my life song 君といつか 手を繋ぐことができるように あの時計が回ったら 今度こそ君に打ち明けるんだ」
(Open α Door期)
・Resonantia
「閃光の渦の中で 湧き上がる想いを 伝えてみたいよ 今なら かき消すものはない 言葉だけじゃ 足りやしない」
(Open α Door期)

〇一緒にいよう!!!(大好きだ!!!!!)
・SUN DANCE
「もう二度となくさないって 君に言えたんだ」
(Sun Dance & Penny Rain期)
・SPARK AGAIN
「灰も焦がすような 愛を見せるから I just spark again」「太陽みたいな 愛で照らすから I just spark again」
(Walpurgis期)
・ever after
「吐息をたしかめて ぬくもり分け合って それだけでいい この手を離さないでいて いつまでも」
(Walpurgis期)
・Ivy Ivy Ivy
「どうしようもなく溢れる 願いを口にして もう一度だけ水をあげよう 一緒にいよう」
(Open α Door期)
・I know U know
「あぁ ざわめきも静けさも歌うように流れてく こだまして繋いでく もう離さないで」
(Open α Door期)

群青色の空は最近の曲なのに「ああ言えなかった」をやってるんですよ。
これはあえて「言えなかった」⇒「言うぞ、言うぞ」⇒「一緒にいよう!!!」の流れをやろうとしてると思うんですよ。ハッピーエンドがあるから悲しい曲が活きますよね。

歌の「DAWN」は初期夜期には珍しく、告白っぽい事を言ってます。具体的な内容は言ってないですが。

DAWN
「願いは 一つだと誓う」「つないだこの手なら離さない」

でも、DAWNの後にファンが離れていってしまうんで、aimerrhythmさん歌詞だとdaydreame期にわかれた曲が多くなるんですよね。
またしばらく「一緒にいよう」的な事を言えてなくて、アルバム「Sun Dance & Penny Rain」で「もう一度会いたい」という描写が多くなって、歌の「SUN DANCE」で再会してようやく「もう二度となくさない」ってやっと言えた感があるんですよね。
だからこそ最近「一緒にいよう」的な事を積極的に言ってるんですよね。

言えるようになったのは、daydream期以降に他の方の歌詞で、「愛してる」を言わせてもらった事も大きいだろうなと思いますね。
・カタオモイ「ねえ darlin'「愛してる」」(作詞:内澤崇仁)
・I beg you「離さないで ただずっと 愛してる」(作詞:梶浦由記)
・春はゆく「あなたの側にいる あなたを愛してる」(作詞:梶浦由記)

■おわり

という訳で、Ash flameは本当の自分を目指すAimerさんの抗いが描かれていました。
Ash flame書かれている物語としてもめちゃくちゃかっこいいですし、曲としてもめっちゃかっこいいですよね。
ファンクラブツアー"Chambre d'hôte"で生で聴けたの、本当に嬉しかった。

今回Ash flameで話したように、Aimerさんの嘘の話は、初期夜期の話をしている事が多くて、当時の葛藤や反省点みたいなものだと思ってます。
「800」が初期夜期の話をするかは不明ですが、そういう読み方する場合もあるよという紹介もかねての考察でした。

-おわり-

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?