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夜のとばりの下で

最近、わかってきたのだが、眠りについているときに活動しているパーツたちがいるらしい。活動しているといっても身体は寝ているので、何かを考えたり想像していたりするというか。

夢を見るのとも違っていて、夢は、だいたいが荒唐無稽なストーリーで、夢の主体である「私」は年齢も性別も姿形もそのときどきでばらばらで、動物のときもあるし、物理法則なんかもかなり怪しいときがある(なんでそこで浮いてるの?とか)など、まあ、夢である。長く昔から見ている夢。うまく説明できないが。

そうではなくて、パーツたちは実際になにかを思っているようで、夜中にふと目が覚めたときにそのしっぽみたいなものを感じるときがあることに気付いた。

この前は、多分切り絵が好きか、実際に頭の中で作っているパーツが起きていたらしく、ふと目を覚ましたら目の前に綺麗な切り絵が広がっていた。ちょうどリンク先の2枚目にある黒い紙の切り絵みたいな感じ。絵柄はバラだったけれど、とてもよくできていて、半分寝ぼけながらしばらく眺めていた後、私は眠いから寝ると彼に言って再び眠りについた。


過去の嫌な出来事を思い出しているパーツがいたときもあって、ふと目を覚ましたら、それまで見ていた楽しい夢とはまったく無関係にその出来事のことを思っていた。しばらくそのままでいると、ひたすらぐるぐるとリフレインしているので、気持ちはとてもよくわかるけれど、それは過去のことで今の出来事ではないし、同じことは起きないし、起きても今では対処できるし、それに、きちんと寝た方がいいと思うから一度考えるのをやめない?、でも思ってくれてありがとうと話しかけていたら落ち着いたらしく、パーツとともに眠りにつくことができた。

確かにこれまでも、突然、過去の嫌な出来事がよみがえってきて対処に困ることがあった。あのときも、パーツたちが何かを思っていたのかもしれない。


今、こうやってなんとなくコミュニケーションができて彼らに伝えることができるようになったのは、パーツたちについての知識を得たのと、自分自身を真に好きになろうと思うことができたのと、23番と融合したおかげかもしれない。

そういえば、23番と融合したことが理由かどうかはわからないが、いつのまにか、街を歩いているときなどに、地道に苦労しながらなんとかやっていってる雰囲気のおじさんを見かけるとその人のことを「愛おしく」感じるようになっていた。なんか変だ。自分もおじさんなのに。これは、もしかして23番の気持ち(のしっぽ)なのかな。

ところで誤解があるといけないので念のため触れておくと、そこには恋愛や性的な感情はなくて、恋愛と性的対象は女性で、デミロマンティックとデミセクシャルでもあるという原則は変わっていない。

この「愛おしい」という感覚はかなり謎である。