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むごいまなび

進学校に通っていた。世間が難関と呼ぶ大学に入る子もそこそこ居るような所だった。
私はそこで感動や喜びのない勉強を黙々とする学校生活を送った。ロマンが無かった。味気も無かった。

私は受験科目に日本史を選んでいた。
教師は予備校のノウハウを駆使して教えてくれる人だった。ここは何年のセンターで問題になった、ここは何年のどこどこ大学で出た、と丁寧に教えてくれたのだ。どこを重点的に覚えておけばいいのか分かるものだった。
受験生としてはとても有難い教え方だったのかもしれない。だか、授業としてはとてもつまらないものだった。私ってそこまで歴史が好きじゃないんだなと思うようになっていった。

生物の授業も取っていた。
初めての定期テストでクラス一番の点数をとってしまった。生物は受験科目ではなかったのだ。次のテストからだんだんと力を入れなくなった。最終的に平均位の点数を取るようになった。

受験のための勉強は苦痛を伴う。当たり前だ。そうする事に意味がある、とされている。私自身もあの頃に一生懸命学んだことは無駄じゃないと思っている。ただ当時からあの勉強スタイルには違和感を感じていた。すごく窮屈に感じた。そして、教える側にもやるせなさが見えた。もっと大きな抗えないものがあったのだろう。


今現在、純粋に色々なことが知りたくて本を読んだり調べものをしたりする事が増えた。時折あの頃を思いだしてしまう。あの頃の自分がとても可哀想に思えるのだ。

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