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巷にはいろいろな「学び方」が溢れている。
例えば英語学習。
「ながら聞き」「スピードリスニング」といった聴覚による勉強手段から、
「シャドーイング」といったスピーキングを用いる方法
「単語帳」など視覚中心の方法
「問題集」や「ライティング」などのアウトプット中心の方法
といろいろある。
そして色々な学習法が紹介され、効果もよく分からない。

多分どの学習法にも正解はない。人により得意な形態は違うし、それによって様々な手法が存在する。もし万人に合った学習法があるのであれば、真っ先に学校教育で取り入れ、皆が伸びるはずだが、画一的な学校教育が成立しないことがこの証左だろう。

そういう意味で、「自分の学習スタイル」や「学ぶ内容」によって学習方法を操るのは、特に成人学習では重要だと感じている。
そしてこの際、私は2つの指標で考えるようにしている。今日はそこをまとめてみた。

ポイント① 理解度

まず考えるのは内容がある程度理解できるか、だ。理解できないものを視覚以外で学習するのは難しいからだ。

例えば日本語の書籍を読むとする。
新書やビジネス書を読むくらいなら、おそらく流し聞きでも意味は理解できるだろう。しかし、専門書となるとそうはいかない。用語がわからなければそこで理解は止まってしまう。理解できている専門分野なら良いが、これから理解したい専門分野で流し聞きはほぼ不可能だろう。
これは言語でも同じことが言える。訳のわからない英文をひたすら聞いても、学習効率は悪い。

「百聞は一見に如かず」というように、初めての情報を理解するためには、人間は視覚を用いるのが良い。逆に理解できている情報は、聴覚中心に反復すると反復しやすく、記憶定着率が良い
英語であれば、単語も文法も分からない人がいくら聞き続けても、パターン会話しかできず、正しい語学は身につかない。耳から入るのはありだが、どこかで視覚的に言語を整理しなければ行き詰まる。理解できない情報は、量的にも質的にも頭打ちになるのだ。

ポイント② 自分の特性

次に考えるのはインプットの特性、だ。
いろいろな人と学習方法について情報交換すると、明らかに特性があるのを感じる。
耳で聞いたことのほうがよく覚えており、記憶に定着するという人もいる。
私はどちらかというと、文章で読んだことの方がよく覚えており、また読むスピードも早い。
また同じ視覚でも、図表や動画のインプットが特異な人もいれば、文字列が得意な人もいる。

自分がどれか、というのはやってみればわかると思うが、参考になるのはアウトプット手法だと思う。
話すことで自分を整理するのが得意な人は、おそらく学習も耳からの印象だ。
私は(このように)文章でまとめるのが得意で、インプットも文字列からが得意だ。
図やイラストでまとめることが得意な人は、インプットも図やイラストを活用している。

理解度×特性=適した学習スタイル

この2つを組み合わせて、学習方法を考える。
自分の得意なインプットの特性を中心に組み立てつつ、理解度に応じてどの手段から入るか、を考えるということだ。
例えば、私は文章での読み書きがインプットの特性としてある。プレゼンテーションや講義資料を作る時、必ずwordで話す内容をまとめる事から入る。文章で作れない内容を、スライドとして作るのは私は難しい。学習でも初学の分野はざっと文章を乱読すると理解が深まる。
しかし、1日の中で読む時間は限られている。移動も多く、歩いている時間などは当然読めない。こういう時間は聴覚学習を上手く使いつつ、要所は視覚の文字学習を使う。

つまり、
・初学や詳細な学習が必要=読み書き中心
・理解できているが情報を多く得たい分野=聞く話す中心
となる。

このように、得意なインプット特性と、理解できる情報かというので学習スタイルを考えることで、私はだいぶ学習を効率化でき始めている。
そんな中で、それぞれの学習法から感じることを下にまとめてみた。

①リスニング:聴覚

  • メリット:ながら聞き、がしやすく時間を取りやすい

  • デメリット:基本的に止まれない。図を活用できない

聴覚学習のメリットは、なんといっても「ながら作業」に適していることだ。
歩きながら、家事をしながら、運動しながら・・・1日に「聴覚学習」ができる時間は実は多い。もしやったことがないなら、とりあえず始めてみることをお勧めしたい。1日1時間は学習時間が増える

しかしデメリットもある。
まず止まれないこと。文字で追っていれば「場所」という認識があるので、どこで自分が気になったかメモできるし、あとから読み返すべくブックマークもつけられる。
耳学習だとこれは容易ではない。「あんなこと言っていたな」と思い出せはするものの、それをあとから見返す/聞き返すのは意外と大変だ。
しかしこれは考え方にもよる。つまり、「耳に明確に残った情報」だけを重要と捉えるという考え方だ。

私は聴覚を「大量の雑な情報収集」に使っている。例えば本なんかは、全部を覚えている必要はない。要点・エッセンスを習得し、自分に取り込めるかが重要だ。こういう情報収集には非常に適している。ニュースもその日の出来事なので、全部覚えていなくて良い。しかし長期で聞いていれば、世の中の動向や傾向をつかむことができる。
AudibleやAudiobookは最初は無料キャンペーンをしている。無料期間中にやってみると、どれだけの時間が使えるかが明確になる。Podcastなんかも無料なので良いと思う。

②リーディング:視覚

  • メリット:定着が良い、様々な表現を活用できる(図など)

  • デメリット:重要な感覚であり、「ながら」が難しい。

最もメインな感覚である視覚は、やはり重要な学習ツールだと思う。
特に表現手段が多彩なのが大きく、図や表から文章まで、様々な形態が使えるのは素晴らしいポイントだ。
また目で見たことは記憶に残りやすい。マーカー学習は私はしないが、あれも視覚を利用した学習といえる。

逆に「ながら学習」はしにくい。視覚情報が多すぎると人間は疲れるし、目は同時に2つ以上の情報を精緻には読み取れない。本を読む時に足を動かしながら、くらいはできるが、歩きながらなどは危険だ。
また情報収集にかかる労力も多い。相当集中しないと本は読めないし、目から入る情報が単調だと人間は眠くなりやすい。

③スピーキング:聴覚+アウトプット

  • メリット:ながら学習しやすい・記憶に残りやすい

  • デメリット:複雑な情報処理は難しく、単調作業に限る・場所が限られる

スピーキングは聴覚の特性を活かしながら、アウトプットの学習を取り入れた形式になる。
「何かを見ながら話す」というスピーキングもあるのだが、ここでは「シャドーイング」の様なスピーキング形態を想像して頂きたい。
聴覚のいいところを利用しつつ、アウトプットによる記憶の定着化を図ることができる点では非常に有用だ。

しかし、スピーキングはおそらく「理解したものの再定着」には有用だが、「新たな情報の学習」には向かない。聞きながら発話するというのは想像以上に脳のリソースを用いており、またあとから整理できないので、混乱しかねない。

またながら学習できるシチュエーションも限られる。
外で歩きながらこれをやっていたら不審者になる。電車でもできない。ジムも厳しいだろう。私は家で家事をしている時くらいしか思い浮かばない。また聴覚学習で効率化に必要な「倍速再生」があまり使えない。
言語習得などでは有用だが、他ではなかなか難しい学習方法だろう。

④ライティング:視覚+アウトプット

  • メリット:形に残る

  • デメリット:手間

ここはシンプルに書いたが、まさに「手間」が最大のデメリットだ。
聞く・話す・読むより遥かに時間がかかるし、脳の作業工程も多い。
しかしライティングに慣れて行くことは、自らのオピニオンをまとめる上では不可欠であり、どうしても外すことはできない。書いたものをこのように公開すれば、形に残るし、読み返す事もできる。
「あとから確認し、整理できる」というのはライティングにしかない大きな学習のポイントだ。

しかしその反面、典型的な学習手段ではよく用いられ過ぎているし、日本の学習は特にライティングに偏っている。ノートを取り、文章を書き、さらにまとめノートなどを書く人もいる。
そういう意味で、一度ライティングから離れてみるのは大事かもしれない。他の学習法を取り入れつつ、要点はライティングに(まさにこのように)まとめていくのがポイントになると感じている。

まとめ

色々書いてみたが、様々な学習方法を試すのが一番重要だと思う。私はこれまでに学習スタイル診断を受けたり、自分でも試したりして、自分の聴覚や視覚の特性を知ったが、そういう機会がなければあまり特性について考えることもない。
「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」というように、

最後に個人的にお勧めしたいのは、「なかなか学習の荷が思いものは、敢えてインプット方法を変えてみる」ことだ。私はずっと英語とニュース情報収集が後手に回っていた。
最近聴覚学習を取り入れるにあたり、この2つから取り入れたところ、あっという間に習慣化できた。あまり着目してこなかった学習法だけに、まずインプットできるだけで前向きになれるし、もしかしたら適切な学習法と出会えていなかっただけなのかもしれない。

「百聞は一見に如かず」、というが、それ以上に
「1トライは100見に如かず」、だとも思うのだ。
まずはやってみる、それに上回る学習法はない。

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