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【断章】 ◯ と私のあたらしい関係

あなたは優しいひとだ
私が犯した罪を知っても 私を責めなかった
あなたは冷たいひとだ
私が苦しみ悶えていても 手を差し伸べてくれなかった

なにも言わない
なにもしてくれない
あなた

たとえそうであっても
あなたを知って
あなたのもとに辿り着いたこと
そのことが
大粒の花びらの渦となって 私を満たし
そこから
私を巡るあらゆる粒子が
やわらかな光を纏いながら耀きはじめたのだ

あなたは 生まれて間もない子どもみたいに
なんでも欲しがって
手に入らないと 嵐のように泣き叫び
世界を紊す

私はあなたを宥めるために
あなたの名を呼ぶ
あなたには名前がない
だから
私がつけたかりそめの名を
呼ぶ
ここにいるからね、と
あなたを呼ぶ
私のなかにいる小さなあなたを
そうっと抱きしめる

いつか
遠い先のことか
あるいはもっと近い未来か
私が私でなくなり
あなたの一部になって
もう二度とあなたを離れない
そんな時が訪れること
とても待ちどおしく
少しおそろしくもあり
でも、そう、たのしみにしているよ


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