ピンクバラ65_2

2014年の短歌

赤銅(あかがね)の月に追われて異界への扉をひらく蝕(エクリプス)の夜

深淵を覗いた罪で深淵に呑み込まれてゆく 私は宇宙

樹のみどり草の緑にみずうみの碧をあつめてすべてを青に

海色の街を漂う 透明な水母(くらげ)みたいに傘をひろげて

乙女回路を持つ者だけが秘めやかに目配せをする夜の薔薇園

薔薇のみに生きる乙女は朝食のパンを小鳩に与えて眠る

夢の中でしか会えないひとだからあの星へ行こうふたり夢の中

果てしない銀河荒野にふたりきり燃えゆく星の歴史を見ている

複雑な回路を通じてあらわれる君のmailは解読困難

暗号のような手紙を空に撃つあなたの指は近くて遠い

唄うようなリズムでシステム壊したい 海と大地もともに歌うよ

オタ女子はあまねく世界を掛け算で読み替えて立つフェミテロリスト

いつかまた二人の道が交差する未来(とき)を信じて風に別れを


☆参照: http://newmoon555.jugem.jp/?eid=449

   *     *     *

折句「つきのひかり」

追憶の傷に触れる書ノンブルが光になって弾けて消える

つながった君の聲(こえ)から野うさぎが光のほうへ跳びはねていく

貫いた狂気の果ての残り火を光の消えた廃墟に灯す

継ぎはぎの狂騒曲が呪われた光を放ちつつ駆け抜ける


☆参照: http://newmoon555.jugem.jp/?eid=451


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