ウクライナへのロシア侵攻中のFacebook投稿保存 3/12 分 伊勢崎賢治さん出演、大昔17年前のNHK報道番組を見ると、海外諸国での民主化運動を操るアメリカ政府から金の出ている民間機関の活動の様子が。ウクライナのことも。


3月12日 0:17 ·
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読書師匠のしむちょんの足元にも遠く及ばないが、それでもおそらく普通の人の100倍くらいは小説を読んできたと思う。僕の場合、小説を読む、文学を考える基本テーマは「性と暴力」なんだろうと荒っぽくいうと言える。現実に生きている自分の経験の範囲では、性も暴力も、なんというかそんなにたいそうな事件は起きない。と思うかもしれないが、それでも命が生まれたり損ねたりということが、実人生でも起きる。その「性と暴力」について、人間はどんなパターンで、どれくらいのところまで、やってしまうものなのか。実人生では体験できないが、歴史の中でだったり、想像力の中でだと、そういうことはどこまでいってしまうのか。そういうことを文学作品の中で体験して考える。そのことを通して現実を理解しようとする。僕のやっていること、これからの人生で集中してやろう、それだけやろうと思っているのは、言ってみれば、そういうことである。三島由紀夫を読むことも村上龍や村上春樹を読むことも、それは付随的に様々な要素はあれ、「性と暴力」の角度から、僕は文学を読んでいる。
 文学は現実を超える、と思うことと、現実は文学を超える、と思うこと。その両方を行き来しつつ、人間とは、世界とはということを、日々考えるのである。
 戦争が終わって20年ほどしてから生まれ、学生運動の時代にはまだ幼稚園から小中学生で、暴力と言えば校内暴力くらいだった僕らの世代と言うのは、戦争や政治闘争の中で、人間が、たやすく、どれほど暴力について日常の感覚とはかけはなれた状態になるかということについて、知らない。
 戦争の中の暴力性と言うのが「どちらが正しいか」ということとは無関係に、その現場にいれば、どちらも、任務としてだったり、生き残るためだったり、そういう条件の中で、暴力性と言うのは普通のことになっていく。適応することと精神を病むことはほぼ同義である。戦争の暴力の中で人間性がどのように変容変性してしまうかについて、扱った文学作品は数多い。
 ドイツとソ連の間で戦われた『独ソ戦」というのは、現実に戦われた戦争としての、暴力の度合いのタガの外れ方、という意味では、人類史の中でも最悪のもののひとつだと思う。ドイツ軍が、国軍だけではなく、ナチスのSSが、まずポーランドからベラルーシウクライナを通ってロシアまで、村をまるごと皆殺し、村人全員を教会に詰め込んで火をかけて焼き殺すという方法で、跡形もなく全員殺す、という仕方で攻めていった。へんな話だが、このときはあんまり強姦、性的暴力が振るわれたという記録は少ない。青年壮年の男性を広場に集めて銃殺、これは戦闘員の疑いのある人を集めて殺したのだが、それなら女性老人子供は助けたかと言うと、教会に集めて閉じ込めて焼き殺す。これを、なんというか、ドイツ人的律義さで繰り返しながら東に向かったようなのである。ドイツ軍が劣勢になり、反対にベルリンに向けて攻め返す。このときには、こういう「規律正しい虐殺」はあんまりなくて、解放者として西に向かったようなのだが、しかし、性的暴力がすさまじかった。それに付随する略奪や殺人はあった。これは戦争終結間際の、満州や樺太に攻め入ったソ連軍の行動もそうであったように。
 そういう歴史を持つウクライナという国というか地域では、その「ドイツ・ナチスが加害者」だった記憶と「ソ連赤軍が加害者」だった記憶、どちらに加担したかが、ウクライナ国内でも東部と西部では違う。より細かく州、地域ごとにグラデーションがある。
 戦争にならなければ、埋もれて忘れられていたそういう記憶が、戦争になると蘇るというか、そのことを思い出し物語ることで、味方の一体感、敵への憎悪、そういうものを高めるために、忘れていたものをわざわざ思い出すのである。
 ドネツク、ルハンスクでの戦争というのは、そういう恨みつらみを持った民兵私兵が投入される形で戦われたために、どっちも、ものすごく酷いことをお互いにし合ったし、住民にもした。
 CNNやBBCを見ていると「赤ちゃん」「妊婦さん」「おばあさん」「小さい子供」「恋人・夫婦」のような、「可哀そう」という戦争被害者として情緒に訴える存在に取材しては、それを引き起こす「敵」を悪魔のようにイメージさせる。それは、それぞれの側で、同じように行われる。
 今日、インドのテレビ局のキャスターが激怒して告発していたように、欧米メディアは「金髪で、青い目の、文明化された、自分たちと同じような人」が戦争で苦しみ、殺され、難民になっているから、深く同情する、という情緒的報道をするが、それはレイシズムだといって怒っていたんだよね。同じ苦しみを、シリアの、アフガンの市民たちがしていても、同じようにBBCやCNNは同情しなかったではないかと。レイシズム以外の何物でもないと。


3月12日 0:42 ·
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さっきのは言葉たらずだったな。昨日、僕がまとめた、ドイツZDFの、自国ドイツとフィンランドの対ロシア制裁やNATO加盟ついてのニュースと、今日のNHKニュース9の、北大の遠藤乾教授に和久田アナがインタビューしてまとめた特集。同じテーマを扱った、ZDFとNHKの論調を比較してみそ。
 遠藤教授は専門家だから、基本認識はドイツZDFと重なる内容を話しているのに、無理やり米国追従文脈に合うところを強引につなぎ合わせて、「ドイツ、欧州は米国と足並みをそろえた強硬路線に転じた。フィンランドは急激にNATOに加入したがっている」という結論に誘導。
 ZDF(ドイツの公共放送)の論調は「ドイツはエネルギー制裁では米国バイデンの呼びかけに答えることは到底できない。フィンランドはNATO加入も長期的には考えなくてはいけないか、という変化は出ているが、短期的には国民の多くは変化の必要を感じてはいない」だったでしょ。
 同じ事実をもとに、全く正反対の印象になるようなニュースの作り方。これは比較として、NHKの、というか日本の報道がいかに米国に忖度して偏向しているかの、ものすごく分かりやすい事例だったな。
 ということで「バカすぎる」とつぶやいたわけだ。頭が悪いのではない。悪質なのである。政権広報放送である。

3月12日 14:52 ·
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伊勢崎さんが出演した、17年前のNHKの番組。アメリカのNEDという組織の、他国の民主化運動を支援する、政府から予算を獲得しているNGOの活動を取材した番組、動画あり。必見。ウクライナについて、きわめて多数の取材言及あり。NHKの番組だからね。
繰り返すが、必見。見ない人とは話をしたくないレベルで必見。
伊勢崎賢治
@isezakikenji
·
2時間
「自由と民主主義は命より大事」という国民の意思は、外力の支援を得て意図的につくられます。17年前に、僕が実際に経験したことから、これを語る貴重な記録です。この頃のNHKは大したものでした。繰り返しの掲載ですいません。

3月12日 16:31 ·
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17年前ということは、ブッシュ政権のテロとの戦い真っ最中、ウクライナはオレンジ革命直後、まだアラブの春が起きる前、というときに、アメリカが、他国の民主化運動にどう介入していたか、かなり無邪気に丸出しに語っているNHKの報道番組。
伊勢崎賢治さんが生出演、解説しています。

3月12日 17:04 ·
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シックスネーションズ・ラグビー真っ盛りで、フランス×ウェールズを見ながら書いているのだが、6か国のうち、イタリアだけは後で加わったのだが、あとの5か国、イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、フランスの歴史的関係というのも、何回、何を読んでも、本当によく分からない。世界史、本当に苦手なんだよな。
 アイルランドは島が別だから、なんとなく、それは独立したいだろうことはわかるのだが、ウェールズとスコットランドは、民族や言語や宗教が、昔、どれくらい違って、今はどれくらい違いが残っていて、「ラグビーやサッカーのときだけ別の国」なら満足なのか、スコットランドについては独立の動きが今でもわりと強くあるから、それはどんな気分なのか。よく分からないよね。
 フランスとイングランドの関係も、ノルマン・コンクエストから百年戦争からばら戦争、というまあ、11世紀から15世紀、これまた日本の平安末期から鎌倉時代から、室町時代くらいの時期に、なんだか複雑なんだよな。フランス語しか喋らん人がイギリスの王様だったりしたんだよな。あるいは、イングランドと対抗するためにスコットランドとフランスが組んだりした。ウェールズは?。スコットランドは島じゃあないけれど、北の方でかなり半島というか、地理的に「別」な感じはあるけれど(ちょっとだけ本州とつながっちゃった北海道、みたいに見える)が、ウェールズはイングランドの横っ腹にくっついているんだから、別の国って言ってもなあ。
 今は戦争をしていなくても、このあたりの国・地域の関係は、「一つの国なのか、国の中の地方の争いなのか、別の国が無理やり支配被支配の関係で統合されているだけなのか」というのは、複雑。「ネイション」ということでは、はっきり別なんだろう。
 なんか、イギリス周りのネイションズの歴史、死ぬまでわからない自信がある。わからないと、シェークスピアの「なんとか何世」ていう、たくさんある歴史もの王様名前の戯曲も、さっぱり分からないんだよな。
 マンガ世界の歴史に、このへんのやつ、あるだろうな。読んだらわかるんかなあ。


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